東海時計サービス社、代表の井上峰一です。
ブログを見てくれてありがとうございます。
さてと、前回は柱時計愛知時計30日巻と60日巻を紹介しました。
今回は愛知時計以外の柱時計を紹介します。
まずは昭和30年位からの精工舎の三週間巻柱時計です。
精工舎は2週間巻と思われる時計も発表しているのですが、この3週間巻と2週間巻はほぼ同じ機構です。
現存する会社の商品を評価するのは怒られそうですが、ゼンマイがすぐに弱くなる欠陥があるように思います。精工舎の明治から戦前にかけてのゼンマイはしっかりしていて100年経過した現在でもそのまま使えるものが多いのですが、この戦後の2~3週巻のゼンマイの修理を受けるとほぼ100%ゼンマイが弱っているのです。
この3週間巻時計は、ゼンマイ1巻で50時間動くのです。3週間は24時間×21日で504時間です。したがってほぼ10巻で21日動くのです。つまり、10巻位動かすことのできるゼンマイがあれば問題なく修理できることになります。
ボンボン時計は八日巻(数えの八日つまり1週間)ですが12日から14日位は動きます。ボンボン時計は1巻1日動くので12巻以上の力があります。セイコーの3週間巻は、ボンボン時計用のゼンマイに交換すると動く計算です。
つまり、3週間巻の修理依頼があった場合には分解掃除をしてボンボン時計用のゼンマイに交換すれば直ってしまうのです。
次は愛工舎の1か月巻時計です。
左右にパワーリザーブがついています。
このパワーリザーブの取付が結構面倒なので、この時計が来ると嫌だなといつも思ってしまいます。この時計の1巻の持続時間は48時間ですつまり1巻で2日間動く計算です。つまり15巻で30日動く計算になります。
この愛工舎の30日巻と上記セイコー社の3週間巻は、左右のゼンマイ共左回り(反時計回りにゼンマイを巻くのです)愛知時計は右ゼンマイは左巻き、左ゼンマイは右巻きです。ボンボン時計はこの愛知時計と同じ巻き方だったのですが、戦後の柱時計では右左のゼンマイともに左巻きが主流になっています。つまり戦後では愛知時計が非主流の巻き方になっていくのです。
最近は、ボンボン時計のご依頼が少なくて戦後の柱時計のご依頼が多くなってきました。私が時計を触り始めたころの製造品が最近ではアンティーククロックの主流になってきたのでしょうか。私もアンティークになってきたのかもしれません。
ありがとうございました。