●超一流の狙撃手デューク東郷を主人公とする、
さいとうたかを作 『ゴルゴ13』は、
『ビッグコミック』 に1968年から連載し、57年を超える人気劇画です。
その傑作のひとつが、原発事故を扱った表題の作品。
●これは1979年3月のスリーマイル島原発事故を契機に、
1984年7月に連載されたものですが、
福島第一原発事故に重なるストーリーであるため、
福島事故直後から注目されました。
タイトルは、原子炉から排出される
プルトニウム239の半減期が
2万5千年であることに由来します。
●ストーリーは、ロサンゼルス北方80キロにある
ヤーマス原子力発電所で、人為的なミスからトラブルが発生、
技師コモン・バリーが自らの命を犠牲にして、
ゴルゴ13の協力で、地域を荒野になることから救う、というものです。
バリーの人間性と行動が物語の中心ですが、
むしろ注目すべきは、事故収束後の記者会見です。
●パーマー制御部長が、
バリーを犯人に仕立て上げようとする経営陣への怒りと、
命をかけて事故を防いだバリーに報いるため、
クビと脅されながら、勇気をもって記者団に真相を暴露するのです。
●自分の仕事に対する責任感と倫理観、
そして行動力をもつバリーやパーマーは、
この国にだって必ずどこかに何人もいるに違いありません。
事実、原子力関係の仕事をしている方々の
良心的な声をたくさん聞いています。
原電の不良工事を内部告発した方もその一人です。
●しかし現実はどうでしょう。
フクシマの事故現場は収束にはほど遠いのに、
政府や官僚、経済界、電力業界は、事故の危険に鈍感なまま、
原発マネーの威力に惑わされ、
人命を軽視し、 未来世代への責任を放棄し、
バリーやパーマーを葬り、
フクシマを忘れ去ろうとし、
そうして今、
次々に原発を再稼働させようと躍起になっています。
■以上、 12年前に「浜ぼうふう」に載せた文章を
ちょっとだけ直しました。 ◢