つい先日、驚くべきニュースを目にした。あの大阪にある代表的なテーマパークの USJ が、何と遠く離れた東京圏で初のバイト募集をしたというのだ。最初聞いたときは何だそれは?と仰け反ってしまったが、どうやら新エリアの開業や大阪万博を見据えて人員を確保するとの事らしい。

既に東京都内や神奈川県横浜市で採用選考会を開催する事が決まっているそうで、採用が決まれば家賃や引っ越し代までも補助するのだと … 随分と至れり尽くせりで USJ からすればかなりの出費だが、兎にも角にもそうまでして人を確保したいのだ。

こんなとてつもない話は、ひとえに大阪圏が「要するに人不足」だからに尽きる。もちろんこの人不足は USJ に限らず街中の普通の飲食・小売・宿泊業に共通の事で、そしてこの状況では今の大阪圏で飲食バイトを最低賃金近くで雇おうなんて全く無理な話なのだ。先日見たチラシでは、僕の住む奈良ですら、某スパゲッティーチェーン店のホールスタッフ募集の時給が1100〜1300円に達していた … なお、奈良の最低賃金は936円だ。いつも言う事だが「これが現実」だ。


さてこうなってくると、それなりの体力があってなおかつ万博を控えている USJ のようなところであれば、あれだけ「頑張った」人員募集をしてもそんなに不思議ではないだろう。何しろ本当に人手不足なので、需要と供給の関係で普通のミクロ経済上の現象として労働賃金上昇が加速するわけだから。

一方で不思議なのは、この USJ がバイトを募集したのが「東京」だと言う事だ。これが名古屋なら分かる。大阪から200km足らずで、しかも名古屋は元々観光にあまり恵まれずコロナ後のインバウンドでも苦戦が伝えられていたので、そりゃ目下の状況なら人余りにもなるだろう。実際に USJ が最初に目をつけたのは名古屋からのバイト募集だった。

ところが東京となると、そもそも500kmも離れていて、もちろん東京圏にはディズニーランドのような強力なテーマパークがあり、街には多くの飲食店があって、国際空港も2つある。そして実際に、コロナ後のインバウンド局面では京都や大阪と並ぶ3強とされているのだ … なのに、なぜ東京でバイト募集??

そしてこの疑問の答えはまさに驚くべきもので、何と最近の東京は「人余り」だからだ … これぞまさに「何だそれは?」となりそうだが、この実態は本当に奇妙なもので、確かに「街中に人は余ってる」のに「多くの現場は人手不足」という、極めて歪(いびつ)な状況なのだ。

そしてこんな歪な話が起きる理由は単純で、つまり「低賃金で働き手がいない」のに「円安インバウンドで特に飲食店の客は増えてる」だけの話なのだ … 当然、店員は給料が安い上に酷使となる。

こんなの誰が見ても「東京の飲食店が値上げして店員の給料も上げればいい」だけの単純な話なのだが、東京にはこれはまず出来ない。それをやると、貧乏サラリーマン客を全部捨てる事になって、店がもたないからだ。


結局何やかや言って、東京の問題点は「給料を上げられない」事だ。それは JTC 本社オフィスのサラリーマンから飲食店バイトに至るまで共通だ。東京という街全体が通貨供給不足のデフレ状態に適応しきっていて、インバウンド加速という外的状況が、むしろ飲食店の現場で店員の薄給と酷使とを生んでしまう … まさに何をやっても上手く行かない悪循環だ。

実はかつての大阪だって、平成初期からの長いデフレ(通貨供給不足)状況に強く適応した街だった。実際、当時の大阪の繁華街は鬱陶しい呑んだくれの勤め人で溢れていた。サラリーマンとはまさに「デフレの象徴」で、この存在といかに縁が切れているかがデフレ脱却に向かう適応力の鍵を握る。

そして大阪は、この「デフレの象徴との縁切り問題」には7〜8年前に直面していて、そしてその時点で既に対応完了しているのだ。だから、コロナ後のインバウンド再開期に、街全体が完全なインフレ(通貨の供給過剰)になっている。それは、目下の超円安状況に正しく適応しているとも言える。

本来ならば、この目下の事態こそ東京は大得意なはずの「一極集中」を発動させるべきなのだ。そしてかつての大阪は、実際に梅田や難波という都心部への一極集中を進めてきた … というか自然と進んだ。これは典型的な「ストロー現象」で、あの頃の大阪は関西在住の若い女性を大阪都心部の飲食小売業でかき集め、そしてそれら若い女性たちのかなりの割合は実家勤務だったと思う。それが枚方や吹田くらいならそんなに遠くないだろうから。そして最近では、九州においてこの「ストロー現象」の典型が福岡市を中心に起きている。これは大都市においては当たり前の話なのだ。

なのに、今の東京はこれが出来ない。得意なはずの「ストロー現象」が出来ない。

こうして、またしても東京の「嘘っぱち」がバレる事になる。東京一極集中とか言って、新幹線が伸びたりする事でストロー現象で東京に人が集まるなんてのは、大嘘だったのだ。

実際に東京がやり続けていたのは「就活」による一極集中だった。若い誰かをどっかの正社員にして1日の大半を東京都心部で過ごさせる … それしか能が無かったのだ。

これは、要は【徴兵】なのだ。つまり東京にあるのは大本営で、出来るのは徴兵だけ。赤紙(召集令状)での動員だけなのだ。

こうして見えてきたことは、大阪や福岡は「大都市」だと言う事。だからストロー現象が起きる。一方の東京は「大本営」。なのでやってるのは徴兵なもんだから、ストロー現象なんて起きない。そして「大本営」なので、プロパガンダ機関が東京マンセーを繰り返す。軍人さんのおかげで日本は安泰だ、ありがとう東京、ありがとう軍人さん … もちろんこの種の【キモすぎるプロパガンダ】は、あのコロナ期の醜悪な「医療従事者に感謝」と同じ構造だ。


「石丸現象」でもう格好をつけられなくなった東京は、いよいよその大本営っぷりがバレバレになってしまっている。日本の問題のあらかたは東京の問題で、そしてそれは東京という「大本営」を解体する事であっさりと解消する。それだってもうバレバレだ。

日本の諸問題は、東京という街の「非武装・中立」化で解決する。そしてこの事は、東京圏住民の99%以上を救う事になるだろう。

そして今、大阪にある USJ がやっている事は、まさに「東京の武装解除」の試みに等しい。あとは、都知事選での石丸陣営の「1000人ボランティア」も然りだ。もちろんボランティア(有志)とは無償での活動の事だが、東京の飲食店でサラリーマン客と愚劣な店長のために使い潰されるくらいなら、西日本出身で東京に大した地盤の無さそうな若い政治家のボランティアをやった方が「色んな人と顔見知りになれる」だろうし、何なら西日本への転居の道が開けるかもしれない。

今回タイトルで「大阪は東京を救う?」と書いたが、答えはこういう事だ。大阪も西日本も、東京の若者の【徴兵逃れ】を支援する事で、東京という「大本営」を破滅させる事が出来るのだ。そしてそれは、東京圏住民の99%以上を救う。すなわち大阪をはじめとした西日本が救うのは、正確に言えば東京ではなくて、東京住民の99%以上なのだ。


ニッポンの未来は、東京なんかには無い。未来も希望も、大阪を含む西日本のものだ。既に、職種の性質上リモートでの仕事が可能なフリーランス IT エンジニアは、多くがその拠点を福岡に移している。それは生活コストの安さのためというよりは、どちらかと言えば「街の空気の自由さ」と「東京からの物理的距離」だ。

再三言っているように、東京とは JTC で、JTC とは東京だ。そして JTC こそは才能破壊装置。若い人たちには最も似つかわしくないものだろう。

東京の若い人たちが今すべき事は、もう明らかだろう。東京から動く事、東京から逃げ出す事だ。大阪含む西日本ならば、奈良のような田舎でも飲食バイトは随分な時給だし、福岡にまで行けばフリーランスなどという「サラリーマン社会のタブーを犯す」生き方であっても何のお咎めも無い。この世に救いの神など居ないが、西日本は、東京在住の若い人たちの救いになるのだ … ただの「普通の生活」という名の福音によって。

我々西日本人は、後は「若者の行動」を待つだけだ。そしてその未来は割とすぐにやって来て、この国は革命としか言いようが無い程に激しく変わるだろう。それを人は「夜明け」と呼ぶのかもしれない。