私が所属する衆院経産委員会(417日)で、デジタルプラットフォーム法案が可決されました。デジタルプラットフォーム(DPF)とは、情報通信技術やデータを活用して第三者にオンラインのサービスの「場」を提供し、商品やサービス・情報を集めた市場を形成するというビジネスモデルで、例えば、Amazonや楽天市場です。私も書籍の購入などで時々利用させていただいております。

 

※正式には「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案」と言います。

 

この法案は、218日に閣議決定されており、いわゆる閣法です。同じ日に可決された5G法案と同様に、今後、衆院本会議の可決を経て、参議院へ送られる予定です。今国会での成立を目指し、今夏に施行される見通しです。

 

この法案は、DPFの透明性及び公正性の向上を図ることを目的にしています。

 

DPFの性格は次のように指摘されています。

【メリット】利用者の便益の増進に寄与し、経済にとって重要な役割を果たし、多面市場の大量のデータを集積・構造化することで社会に多大な便益を提供すること。

【デメリット】ネットワーク効果や低い限界費用等の要因により、独占・寡占に至りやすく、ロックイン(囲い込み)効果が働きやすいこと。

 

特にデメリットについては、利用事業者(出品店事業者など)の懸念として、

(規約変更による取引条件の変更等)

• 規約の一方的な変更によって手数料を引き上げられたり、新しい決済システムを導入されたりした。

• 規約を一方的に変更され、同意しないとサービスが制限される。

• 悪質な返品の受け入れを事実上強制されている。

(自己又は関連会社と異なる扱い)

• 検索表示、決済方法、手数料などで自社又は関連会社を優遇している。

(取引データを利用した直接販売)

 DPF提供者がモールの取引データを活用して同種の商品を後追い的に販売。

 DPF提供者はアプリのユーザー情報を得た上で自ら提供するアプリの販促活動に利用することができる。

(最恵国待遇条項)

• モールでの価格を他のモールと同等又はそれよりも優位にするよう要請された。

 

ということが従来から指摘されてきました。

 

今後、利用者にとってDPFがより良いものになり、国が発展していくためには、DPFの透明性及び公正性の向上は至上命題です。

 

そこで、この法案は、

DPFの透明性及び公正性の向上に関する施策の指針として、

DPF提供者がDPFの透明性及び公正性の向上のための取組を自主的かつ積極的に行うことを基本とし、

②国の関与その他の規制を必要最小限のものとすること

DPF提供者の創意と工夫が十分に発揮されること

DPF提供者と商品等提供利用者との間の取引関係における相互理解の促進を図ること

 

を基本理念としています。

 

この法案の全体像は下記のとおりです。

①基本理念

 上記のとおりです。

②規律の対象

DPFのうち、特に取引の透明性及び公正性を高める必要性の高いものを提供する事業者を「特定デジタルプラットフォーム(DPF)提供者」として政令に基づき指定し、内外の別を問わず以下の規律の対象とします。

③情報開示と手続・体制整備

特定DPF提供者に、契約条件の開示や変更時の事前通知などを義務付けます。

特定DPF提供者は、経産大臣が定める指針を踏まえて手続・体制の整備を実施します。

④公正取引委員会との連携

独占禁止法違反のおそれがある場合には、公正取引委員会に対し、同法に基づく対処を要請する仕組みを設けます。

⑤その他の規律

 

昨年1120日の経産委員会で私は、梶山弘志 経産大臣に対し、当時発表されたばかりのヤフーとLINEの経営統合に関連して、GAFAに比肩するような日本発のプラットフォーマーの育成を推進する立場から質問をさせていただきました。

 

その一方で、昨年末には、配送料を無料とする方針を打ち出していたDPF提供者が、配送料分を出店者に負担させようとして社会問題になりました。

 

今後、DPFの発展がそのまま国の発展につながっていくと考えております。本日可決されたこの法案はDPFの透明性及び公正性の向上を目的としており、DPFの発展に寄与していくと確信しております。

 

AI・ビッグデータ・IoTXaaS利活用促進若手議員連盟事務局長

衆議院議員

石崎徹