安倍総理は昨日の参議院予算委員会で、千葉県野田市で女児が虐待で死亡した事件を受け、今国会に提出する児童虐待防止法と児童福祉法の両改正案などに体罰禁止を盛り込む方針など政府の強い姿勢を示されました。
本日の法案概要審議において示された改正案は、先ほどシェアした報道記事にもあったように懲戒権の5年目途とした見直しの検討や、児童相談所の拡充、体罰禁止などの項目が含まれております。
しかし、処罰規定が一切盛り込まれていませんでした。
そのため、私からは、児童虐待防止法や児童福祉法に定める子どもの福祉などの権利を担保する刑法の規定も処罰法もない。民法との関係で5年間かけて懲戒権の見直しを議論するのであれば、刑法との関係でも処罰の在り方、常習性のある児童虐待の適正処罰の在り方についても検討項目に盛り込むべし!と強く要望しました。
厚労省からは、関係省庁と議論したいと回答があったので、次回の厚生労働部会での回答に期待したいと思います。
結局、包括的な対応策でも財源と人手の問題が出てきます。この点、児童虐待罪創設や処罰規定はコストや人員確保の問題はそれほど出てこないというのは利点であるとも述べました。
今後も、党のしかるべき場所でも児童虐待罪創設・厳罰化(適正処罰化)について強く発信して参りたいと思います。
そして、本日、午後1時から児童虐待罪創設・厳罰化に向けての超党派若手勉強会の2回目となる会合、有識者ヒアリングの1回目として、島根大学名誉教授の林弘正 先生をお招きし、『児童虐待罪創設について 問題解決への刑事法的アプローチ』と題して、お話を伺いました。
林先生は、現代的な様々な課題に刑法の視点からアプローチされ、特に児童虐待についての研究においては、1991年から継続的に取り組んでこられ、児童虐待罪創設や厳罰化を提言されてこられた方です。
本日の勉強会も昨日の急なご案内にも関わらず与野党3期生以下の若手議員が30名以上集まり、また多数のマスコミ関係者が集まりました。これは、世間の関心が児童虐待への厳罰化を求めていることの現れだと思います。
林先生からは、多くの議員からの質問なども受けながら、
・刑法典の改正よりも個別法で処罰規定を設けることには合理性がある。
議員立法でやるのも早いのではないか。
・最近の裁判員裁判でも、裁判員の心証も児童虐待については厳罰化の方向となっていることも追い風。
・児童虐待4類型の中で、「心理的虐待」については、他の虐待と異なり、刑法典上にもそもそも「構成要件」がない。これは児童福祉法で田泓しているが、実行力がない。
・処罰規定が設けられると、警察も家庭に介入しやすくなる。
・「抑止力」については、厳罰化反対論者から、効果を測定できないだろ!とよく言われるが、それはそもそも難しいが効果はある(他の刑罰でも測定は不可能)。
・強制性交罪や強制わいせつ罪の客体年齢の引き上げも検討に値する。
・既存の刑法典上の保護監督者も事実婚内縁の夫など広く定義を捉えることも考えるべき。
・性犯罪被害者支援ももっと拡充すべき。
・なかなか刑法学者で児童虐待について専門とする人は少ないが、最近では事件も増えてきており検察官も独自に勉強する人が増えてきた。
・例えば4歳~7歳までの間に実の父親からレイプされ続けた事案。しばらく性的虐待を受け続けても、結果として懲役3年。という事案など、声なき声が司法に届いていないという問題意識をずっと持っていた。
など大変多くの示唆に富むご発言がありました。
明日は、勉強会有識者ヒアリング第2回として、NPO法人シンクキッズ代表理事・弁護士、野田市「児童虐待事件再発防止合同委員会」委員の後藤 啓二先生からお話を伺います。詳細は、追って報告させて頂きます。
非常にタイトなスケジュールの中ですが、勉強会を精力的にこなしながら、若手勉強会としての緊急中間提言を今月中までに取りまとめたいと考えています。
児童虐待罪創設・厳罰化に向けての超党派若手勉強会 呼びかけ人代表
衆議院議員 石崎徹