児童虐待罪創設・厳罰化に向けての若手勉強会の設立総会が今朝行われました。自民党3期生以下の若手議員にお声がけしましたが、早朝から約30名の議員の先生本人が集いました。

 

冒頭は、後を絶たない児童虐待の犠牲となった子ども達への黙とうを一同で行い、その後は、法務省、国立国会図書館から過去の議論や海外の児童虐待罪相当の事例について説明を受けました。

 

昨日も大阪での児童虐待死事件で検察が「拷問のような」虐待であったと認定しました。

常習性・継続性がある虐待事件。最後の暴行対応や傷害致死対応だけを見るだけでは、子どもを軽視しているのではないかという問題意識を持っています

 

以下、少し詳しく本日の議論をご紹介したいと思います。

 

とりわけ、日本でも昭和15年、36年において児童虐待罪創設に向けて実際に刑法典に条文案が盛り込まれておりました。戦前からの問題意識であったことは意外に知られていないことです。但し、二年以下の懲役又は五万円以下の罰金ということでした。これは「虐待」そのものへの罰則です。殺人や傷害致死においては既存の刑法典で罰するものでした。

 

但し、昭和49年の改正刑法草案では、特別法の諸罰則を活用すれば十分に対処することが出来ると考えられること、「虐待」という概念が必ずしも明確ではなく、適用範囲が不当に広がるおそれがあることなどの理由により、保護・監督すべき者に対する虐待を要件とする罪は、設けないこととされました。

 

この後、児童虐待罪創設についての議論はしばらく行われなくなりました。

 

一方、海外においては、ここ最近の児童虐待事件の悲惨さなどにより世論主導で厳罰化が行われています。

 

とりわけ韓国においては、児童虐待罪が児童福祉法に規定され、更に「児童虐待致死罪」、「児童虐待重傷害罪」という規定が「児童虐待処罰法」という法律に盛り込まれるようになりました。

 

我々、若手勉強会の今後の議論も、刑法典における虐待罪の位置づけと合わせて、こうした個別法による対応の合理性などについても議論をして参りたいと考えています。

 

なお、ドイツ・米国(ペンシルベニア州)などでも、「保護を委ねられた者の虐待罪」、「子供の福祉の危殆化罪」ということで、「危険にさらす」、「危険を創出した場合」にも罪に問われます。

 

この点、こうした国々では、保護法益として「子供の福祉」や「児童の福祉」、「児童の保護及び児童の健康な社会構成員としての成長」などがあると言われています。

 

日本では、身体の安全や安全などの子どもから大人まで広く受益される保護法益がありますが、子どもに特化した保護法益は盛り込まれておりません。

 

こうした保護法益を法律上明確にし、厳罰化によって犯人の取り締まりだけでなく、社会意識の醸成なども行っていくべきです。

 

危険運転致死罪、DV法の時も世論の後押しで制定され、それによって危険運転やDVは行けないなんだという社会意識の醸成がなされたと思っています。

 

今後、有識者や団体の方の意見を聞きながら、関係省庁と議論しつつ、具体的な厳罰化の手法をどうするかについて提言に盛り込みたいと思います。

 

(児相の拡大や体制整備は当然重要で、こちらについても当然後押しして参りたいと思います。

 

なお、本日出席の議員からは、以下の質問もありましたのでこちらについても合わせて議論して参りたいと思います。

・ネグレクトにはどうするのか?

・親権はく奪はどうするのか?

里親体制の整備など厳罰化した後の先の子どもの環境整備をどうするか。

・離婚の原因になってしまわないか。

・警察がどう対応していくか。実際の現場での強制力を持っているのは警察。

・子供の声なき声。これは裁判でも証言として認められていないケースが多いのでは。そもそも声すら挙げていない例も。性的虐待など何をされているのかもわかっていないケースも。

・性行為同意年齢の引き上げも重要ではないか。

・再発防止とメンタルヘルスも重要では。

・児相で保護された後に家に連れ戻した後に、虐待がエスカレートしているケースが多い。また、虐待が発覚したケースも同様。今回のみあちゃんのケースも。

よって、児相に発覚した後のモニターやGPS管理なども重要ではないか。

・少年院があるように、親の保護院とか親に適切な指導を行う施設も重要ではないか。

・未然防止ということで厳罰化は必要。未然に介入できるような予防体制も重要。

 

 

来週以降の勉強会についてもブログで詳しくご報告させて頂きます

なお、本日・明日の文化放送のラジオ番組でも本件についてご報告させて頂きます。

 

児童虐待罪創設・厳罰化に向けての若手勉強会 発起人代表

衆議院議員 石崎徹