予算委員会集中審議その④~賃金上昇と統計のあり方について

このテーマにおける私の問題意識とその背景から説明します。

 

アベノミクスは三本の矢で三兎を追ってきたと言えます。デフレの解消。雇用環境の改善。賃上げ。前者の二兎については、野党さん含めて誰も否定出来ないのではないでしょうか。

 

テレビを見ておられる国民の大事な関心事項は、賃金上昇というものが実際にあるのかどうかという点です。

 

西村統計委員会委員長も「どういう目的に使うのかということでお考えいただきたい」と述べられているように、主系列・参考値(共通事業所)のどっちを見るべきか、という神学論争をテレビで見ていてもよく分からないのだと思います。

 

景気回復と合わせて一億総活躍政策・働き方改革を進める⇒高齢者やパート労働が増える⇒「平均賃金」は当然下がる。よって、「平均」だけで議論するのは正確ではないと考えます。

 

総理も良く引用される総雇用者所得は、平均値だけを見ても分かりにくい、国民みんなの稼ぎの動向を把握する上でも重要です。これを見ると、近年、雇用が大幅に増加する中で、名目でも実質でも増加が続いていることが分かります。


また、最低賃金は6年連続で合計125円の大幅な引き上げを行っています。一方で、パートの時給は平成30年平均で2.3上昇するなど、景気の回復や人手不足に伴い、上がり続けていますが、賃金総額の平均を見るだけではこうした動きは分かりません。

 

この6年間で生産年齢人口が500万人減少する中にあっても、就業者数は380万人も増加しています。

 

このように、各種統計指標を総合的に見ると、雇用・所得環境は着実に改善していると言えますが、一方で、時代の変化や社会のニーズに対応する統計の整備が必要となっているのではないでしょうか。

 

最も国民の関心の高い賃金統計では、個人単位で賃金が増えているか減っているかを捉える統計が必要だと考えています。米国、英国で進んでいる、同じ調査対象ひとりひとりを継続的に調査するコホート調査(パネル調査)で賃上げ動向を調査するような新たな統計手法の(これは一定の手間やコストがかかりますが、)導入も検討すべきと考えています。

 

こうした背景の下に、安倍総理に、政府を挙げて時代の変化や社会のニーズに対応した、この新たな統計手法の導入を決意して頂きたく、質問させて頂きました。

 

安倍総理から冒頭に「大変重要な指摘をいただいたと思います。」とお答え頂きました。

 

そのうえで、「同一の労働者を時系列でとって把握していけばよいのではないかとのお考えに基づく重要な視点をお示しをしていただいたんだろう。いわば、そういうことができれば、もうこの論争には終止符が打たれるということではないかと思います。」と賛同のご答弁頂きました。

 

さらに、「政府としては、社会経済情勢の変化や統計ニーズの変化等に適切に対応していくことが大切であると考えておりまして、賃金統計のあり方を検討していく際には大いに参考にさせていただきたい」と非常に前向きなご答弁頂きました。

 

私は、EBPM推進若手議員連盟としても全面的に協力をしていきたいと、申し上げこのテーマについての質疑を締めくくりました。

 

EBPM推進若手議員連盟

衆議院議員 石崎徹