先日、宇宙科学を支援する若手議員の会の一員として、宇宙科学研究に関する予算の確保・拡充についての要望書(「学術研究の国際的な大型プロジェクト推進のための予算確保・拡充について」)を、財務省の神田主計局次長に手交しました。

 

これまで、宇宙科学に関して当選3回生同期の小林鷹之先生をはじめ、若手の有志議員=宇宙科学を支援する若手議員で勉強会を重ねて参りました。

 

平成20年に施行された「宇宙基本法」により、我が国の宇宙政策は、それまだの科学技術・研究開発重視から「科学技術」、「産業振興」、「安全保障」の三本柱からなる宇宙開発利用の推進を重視する方向へと変革しました。

 

さらに、「宇宙基本計画」が、平成28年4月1日閣議決定され、「宇宙安全保障の確保」、「民生分野における宇宙利用の推進」、「宇宙産業及び科学技術の基盤の維持・強化」等に積極的に取り組み、次世代航空科学技術の研究開発を推進する方針を打ち出しています

 

宇宙開発利用は、非常に重要ですが、そのためには、それを可能とする技術開発や、さらにはその基盤を支える宇宙科学研究が不可欠です。我が国における宇宙科学研究は、純粋な学術研究にとどまらず、これまで宇宙の技術開発に先導的役割を果たしてきました。今後も、宇宙科学の発展無しには「宇宙基本計画」の推進は有り得ないと思います。

 

特に、1990年代以降進展してきた学術研究の大型プロジェクトは、わが国の研究者の叡智と技術力を結集して推進され、日本人のノーベル賞受賞につながる画期的成果をもたらしてきました。また、世界中から優れた研究者が集まり、国際共同研究の推進や産業界と連携した最先端の研究装置の開発などイノベーション創出に多大な貢献を果たしてきました。

 

こうした中で、現在学術研究の大型プロジェクトとして「大型光学赤外線望遠鏡すばる」、「大型電波望遠鏡アルマ」、「30m光学赤外線望遠鏡TMT」、「大型低温重力波望遠鏡KAGRA」といった望遠鏡の運用・建設や、「スーパーカミオンデ」、「大強度陽子加速器施設J-PARC」、「スーパーBファクトリー」によるニュートリノ等の素粒子物理学の研究、またこれらの大量のデータ流通・解析及び研究データの利活用を推進するためのリアルタイムデータ利活用基盤の機能、さらには、サイバー攻撃からのセキュリティに配慮したシステムを有する「高速通信学術情報ネットワークSINETなどが推進されています。

 

これらの大型プロジェクトは、長期間にわたり多額の投資を要し、社会や国民の幅広い支持を得る必要があることから、具体的なロードマップの策定と進捗の評価をしながら推進されてきています。

 

しかし、当該大型プロジェクトに必要な予算は、この10年でなんと約2割も減少しており(当初予算ベース)、その結果として、十分な運転時間の確保や老朽化対策、さらには「ハイパーカミオンデ計画」や宇宙科学研究所における「火星衛星探査計画MMX」、「深宇宙探査技術実証機DESTINY +」などの新たな計画への着手が困難な状況が続いています。

 

私たち「宇宙科学を支援する若手議員の会」としては、こうした現状への強い危機感を共有するとともに、我が国が世界の学術研究を先導し、研究活動の共通基盤を提供することができるよう、政府に対し、学術研究の大型プロジェクト推進のための予算の確保及び拡充を求めることを目的として、今回の要望活動となりました。

 

そして今日、宇宙航空関係予算案のお知らせを頂きました。宇宙科学関連予算として、145億円(前年比で+34億円)と大幅に増額されました!!

 

主なものとして、X線分光撮像衛星(XRISM)の開発に38円(+15億円)、火星衛生探査計画(MMXのフロントローディングに16億(新規)、深宇宙探査技術実証機の開発に7億円(新規)などです。

 

引き続き、宇宙科学を支援する若手議員の会の先生方と学術研究の大型プロジェクト推進のための予算確保・拡充にしっかりと取り組んで参ります!!

 

宇宙科学を支援する若手議員の会

衆議院議員 石﨑徹