私が事務局長を務める、人工知能未来社会経済戦略本部が先週金曜日に開催されました。

 

今回は、エブリセンスジャパン()の真野浩代表取締役から「データ流通推進のための取引市場の要件、課題と実装事例」、東京大学政策ビジョン研究センター特任講師の江間有紗氏から「AI倫理とガバナンス」と題して、それぞれからヒアリングをおこないました。

 

真野氏は、AI活用に必要となるデータを取引する「データ取引市場」という新たなコンセプトによるビジネスモデルを日本で展開するという、大変興味深いお話を伺うことが出来ました。

 

AI技術の利活用にはデータが不可欠であり、データそのものが競争力となりつつあります。民間等保有データの共有、横断的活用等ということでは、データ流通を巡る動きを、AI関係者側としても積極的に対応すべきで、情報銀行、データ取引ルール等、民間主体の枠組みの活用やAPI公開等、データ連携・互換性の向上が求められます。こうした意味で、今回の真野氏のお話は、大変勉強になりました。

 

また、江間氏からは、AI倫理を巡る議論が各界でどのように展開されているかについて理解出来ました。さらに、哲学や倫理と技術を理解する人材育成の必要性についてもご指摘を頂きました。

(イギリスではAI研究機関は哲学科の中にあるとのこと・・・知らなかった。。)

 

実は、日本はAIのルール整備で出遅れていて、政府の「人間中心のAI社会原則検討会議」が7原則を定めて12月に公表し、来年6月に大阪で開くG20首脳会議で参加国に呼びかける予定となっています。

 

日本政府が作るAIの7原則は、①AIは人間の基本的人権を侵さない、②AI教育の充実、③個人情報の慎重な管理、④AIのセキュリティー確保、⑤公正な競争環境の維持、⑥企業に決定過程の説明責任、⑦国境を越えたデータ利用の環境整備。となっています。こうした7つの原則を進める上で、江間氏のお話は大変参考になりました。

 

AIの活用が様々な分野で本格しつつありますが、決定判断に関する基準や過程、結果に対する説明責任が曖昧な状況にあるかと思います。AIの判断基準を明確に定め、法整備を進めることで、AIの活用における混乱を回避し、一層の普及を促す必要があるのではないでしょうか。

 

引き続き自民党内でこの本部を中心に熱い議論が続きます。追ってご報告させて頂きます!

 

 

人工知能未来社会経済戦略本部 事務局長 石崎徹