今日、厚生労働省は、中央省庁が雇用する障がい者数を水増ししていた問題で、各省庁を再点検した結果、3,460人分が国のガイドラインに反して不正に算入されていたと公式に発表しました。障がい者数の約半分が水増しだったことになります。雇用の中心的な役割を担う中央省庁自らが数値を偽っていたことになり、制度の信頼が大きく揺らいでいると思います。

 

なんと、国税庁では、障がい者数が最も減り1,000人超のマイナスとなり、総務省や法務省、文部科学省など計18機関で雇用率が0%台でした。

 

国の法律である「障害者雇用促進法」では、民間・行政機関に対し、一定の割合以上の障害者を雇うよう義務付けていて、今年4月にはその基準=法定雇用率が民間企業では2.0%から2.2%、行政機関では2.3%から2.5%と引き上げられています。厚生労働省は、国の33行政機関の障がい者雇用数について昨年6月時点で約6,900人と発表し、当時の法定雇用率(2.3%)を達成したとしていました。

 

本日政府は、この水増し問題を巡り、関係閣僚会議を首相官邸で開き、菅義偉官房長官は、加藤厚生労働相を議長として再発防止策などを検討する関係府省連絡会議を設置すると表明しました。「10月中をメドに政府一体となった取り組みのとりまとめができるように検討を進めてほしい」と指示しました。この連絡会議のもとに弁護士など第三者による検証チームもつくるそうです。

 

本来先導役となるべき行政機関による水増しに、障がい者の皆さんを含め多くの国民は納得できないのではないでしょうか。民間企業の場合、基準を達成できなければ納付金が徴収されることになっていますので、到底国民に理解されるとは思えません。

 

しかし、私は今回の問題を「役所は許せない」と、感情論だけで結論付けることはよくないと思います。問題の本当の実態、本質がどこにあるのかを冷静に考えねばならないと思います。私は財務省出身で、役所の実態を見てきましたが、最近は省庁も人員をギリギリのところまで縮小して人員を削減し、また外部への業務委託も進んでいるため、内部の仕事は、企画立案などがメインとなっていると思います。

 

こうした問題や課題をきちんと解決していくためには、実態を踏まえて、社会全体でどのように障がい者の方を雇用していくのか、考えていかねばならないと思います。単に、一律や定率の数字を出して全ての企業や行政が個々で対応するのではなく、障がい者の方に向いた仕事や事業をより多く展開し、社会全体での障がい者の方の雇用率を高めていくことが求められているのではないでしょうか?

 

こうした総合的な改善策を国・自治体がきちんと進めていけるよう尽力して参りたいと思います。

 

衆議院議員 石崎徹