凄惨な新潟の女児殺人事件を受けて、政府も総合的な防犯対策の強化方針を固めました。この点を受けて、本日朝、自民党文部科学部会が開催され、政府方針について地元の要望なども踏まえ質問をさせて頂きました。また政府方針作成にも関係した立正大学の小宮信夫教授から犯罪原因論から犯罪機会論へという演題で今後の犯罪防止についてのご意見を頂きました。以下詳しく議論の内容をお伝えします。ご意見など頂戴出来れば幸いです。

 

◎文科省の方針について

登下校時における子供の安全の課題は、①子供の被害は、登下校、特に下校時(15~18時)に集中。犯罪件数が減少する中、ほぼ横ばいで推移している②既存の防犯ボランティアの高齢化と共働き家庭の増加で「地域の目」が減少し「見守りの空白地帯」が生じている。

以上を踏まえた対策として、登下校時における総合的な防犯対策の強化が急務。主な登下校防犯プランとして、以下の項目になります。

1. 地域における連携の強化

2. 通学路の合同点検の徹底及び環境の整備・改善

3. 不審者情報等の共有及び迅速な対応

4. 多様な担い手による見守りの活性化

5. 子供の危険回避に関する対策の促進

 

具体的な取り組みとしては以下の通り。

・通学路の緊急合同点検等の徹底では、防犯の観点からの通学路の緊急合同点検を実施。

・教育委員会、学校、警察、道路管理者、自治体、地域住民、その他関係者・関係機関が連携し合同点検を実施し、危険箇所の共有、環境  の整備・改善の検討をした上で、環境の整備と改善をおこなう。

・登下校時における安全確保対策の強化として、見守り活動の活性化や、不審者情報の共有及び迅速な対応、実践的な防犯教育の充実、様々な登下校時の安全確保策の共有を実行。

・地域ぐるみで子供を守る連携体制の強化。

 

◎警察庁の主な取組について

1. 地域における連携の強化では、登下校時における防犯対策について意見交換・調整を行うため、今後各地域に構築される「地域の連携の場」に警察が参画する。

2.  通学路の合同点検の徹底及び環境の整備・改善では、緊急合同点検実施の際に、点検に資する防犯対策上の情報提供、助言等を実施する。また、把握された危険箇所について、警察官による警戒・パトロールを重点的に実施するとともに、防犯ボランティア団体等に対して効率的・効果的な見守りに向けた助言を実施する。

通学路における防犯カメラの設置につて、現場のニーズを把握するとともに、設置個所、方法、運用等について必要な助言等を実施する。

3.  不審者情報等の共有及び迅速な対応では、警察と学校で連絡担当者を決め、双方で情報共有を推進します。また効果的な見守りや保護者等の防犯対策に資するようプライバシーに配慮しつつ、より粒度の高い情報や、保護者等が取り得る防犯対策、提供した情報に係る検挙情報等、受信者側の対応に資する情報についても提供・発信してく。

 

〇こうした点を踏まえて、私からは以下の要望を行いました。

・見守りの自治会の方々の高齢化が進んでおり、防犯カメラの設置のニーズは高まっているが、自治体負担だったり自治会の負担による設置もあるため、国の予算確保が重要である。

←これに対しては、今後予算確保含めて対応をしていく。(リース形式もあるようです)

 

・今回は4月に別の性犯罪で逮捕されていた犯人の再犯であった。警察から地域の方や保護者への適切な情報が提供が必要。

←今後、学校と連携してしかるべき情報提供の拡充を検討していく。

 

これらの回答に対しては、まだ不十分であるといえるので、引き続き自民党文部科学部会で議論をしていくこととなりました。

 

◎小宮信夫教授講演の概要

・犯罪の原因を究明するのは不可能。→犯罪原因論から犯罪機会論へ。欧米では法律続々。日本は一つもない。

・不審者という言葉は日本だけ。日本の防犯後進国。・再犯防止は犯罪原因論。2つ分けているのが世界。

・犯罪が起こりやすい場所は 入りやすい場所と見えにくい場所。

 ・犯罪者にはこどもは勝てない。しかし、教育の中で危機意識を醸成していない。犯罪機械論で考えるとゾーンディフェンス。場所エリアで守る。 リスクマネージメント。クライシスになったら手遅れ。 騙されて連れていかれる事件をどうするか。

 

政策1 学校:地域安全マップづくり

 ・景色解読力の向上。地図ではなく景色。写真を使った地域安全マップ作りが重要。

・学校の外行くと守れない。学校の役割。教育を全面に出す。地域で生きる力を教育で。

 ・高槻市と新潟市の事件は同じ景色。犯罪者はブロック塀が大好き。

 

政策2 地域:ホットスポットパトロール 

・選択と集中 ドラッカー 経営も防犯も。

 ・わんわんパトロール、ジョギングパトロールなどの効果は海外は否定。

 ・犯罪が起きやす入りやすくて見えにくい場所を重点的に。

 ・犯罪防犯効果が唯一実証された方法。エビデンスに基づく犯罪予防。

 

政策3 政府・自治体・企業:防犯環境設計(デザインによる防犯まちづくり)

 ・犯罪をやりにくくする要素を、住宅、道路、学校、公園、トイレ、福祉施設などの設計に盛り込む。

・公園もゾーニングする。遊具は子ども向けエリアに。樹木は大人向けエリアに集中。

ゾーンディフェンス。日本だけがやっていない。

 

このような講演の後、私からは以下の質問を行いました。

 

Q 性犯罪者などへのGPSや人工去勢などのディフェンス措置は?

A 徹底的にやるべき。仮釈放の条件にGPS設置というのもある。

 シグナルを犯罪者も望んでいる。学校や施設の何メートル以内に入るとシグナルなるとか。(アメリカのメーガン法は性犯罪者の居場所だけ共有しても抑止効果なかった。)

 

Q 防犯カメラ設置への国の予算を増やすべき。自治会負担だけとなっている。

Aどこにつけるかを犯罪機会論的に効果の高いところに付けるべき。工事しやすいところに付けるのは意味がない。

 

その他の出席者からは以下の質問がありました。

 

Q ふれあいポリスを増やすべき。

A 交番をもっと増やすべき。 制服で飲食出来るようにするなど、抑止効果がある。

 割れ窓理論の教授は、交番をアメリカに持ち込んだ。交番はその地域で犯罪を減らす効果があり増やすべき。

 

Q 安全な場所だと思っていた場所。池田小学校の事件も学校の中だった。

A 池田事件では門が開けっ放しだった。学校周辺、公園、団地という人通りのあるところも危ない。暗さも原因ではない。街灯作れば良いというのはない。

 

長くなりましたが、防犯体制の強化に向けて、私も地元の要望踏まえて今後もしっかりと国の政策を強化していきたいと思っています。

また、再犯防止についても別途提言をまとめていきたいと思います。

 

以上、今後またご報告させていただきます。

 

衆議院議員 石崎徹