先日、地元新潟市出身で、公益社団法人中越防災安全推進機構で移住女子サミットを主催している日野正基さんと、実際に移住を検討している移住女子見習いの土屋望生さんをお招きして、私が事務局長を務める地方居住推進議員連盟でお話を聞きました。
日野さんは、全国移住女子サミットというイベントを開催し、長岡への移住をはじめ地方移住促進を行っておられます。また、今回は、全国市長会から千葉県いすみ市の太田市長、全国町村会から島根県邑南町の石橋町長にもお越しいただき、それぞれの自治体の取り組みを交えながら国への要望を伺いました。
日野さんは移住を実際にするまでには、以下のような5段階が必要とするとしています。
①きっかけづくり 移住予備軍を確保する・(機運を)醸成する
②地域を体験 地域への第一歩を誘導する
③トライアル体験 地域のリアルを体験する
④移住したい(長期インターン、地域おこし協力隊等) 移住をサポートする
⑤定住したい(就職支援、就農、起業支援等) ライフスタイルに応じた定住を支援する
全国移住女子サミットは、この①のきっかけ作りに当たります。
日野さんのお話の概要は以下の通りです。
・このサミットにより、都会にいる女性が気付き始めた「地方でオリジナルな暮らしをつくる」ことを実現するため、「先輩移住女子の選択の理由」や「背中を押してくれるきっかけ」を提供することで、移住に向けた後押しをしている
・サミットには、約80名の女性が参加し、多様な暮らしをしている移住女子の生の体験談を聞きながら女子会のようにトークセッションを展開している
・移住のポイントは、「地域の人がほこりや希望を持った暮らしをしていること」が「憧れ」や「共感」を生む
・安易な移住は誰も幸せにならない(移住したら○○がもらえます等、制度はサポートであってそれが目的ではない)
・多様な暮らしをしている人が知れる、触れる機会をつくる(単に地方へ行く機会をつくるだけでなく、暮らしている人を知れるきっかけが必要)
移住女子見習いの土屋さんからも、移住に向けて、地域の人々の誇りを学び、地域の人々を元気にしたいと熱い思いを語られました。
太田市長のお話の概要は以下のようなものです。
・いすみ市では「住みたい・選ばれるまち」を目指して、経済循環・所得向上・人口減少対策・魅力アップによって市の活性化を図っている。
・ビジネスを興すことで、市民の所得を向上させることや、全国的な知名度を高めることで地域の魅力アップを図ること、地域に仕事を作ることで移住者の定住を図ることなどに取り組んでいる
・地域産品でも、こだわりをもって、今だけ、ここだけ、の新鮮ないすみブランド認定産品を提供している。
・美食の街スペインのサンセバスチャンを参考に、サンセバスチャン化計画を策定し実行している。この計画は、平成28年8月に地域再生法に基づき国からの認定も受けている。
・生物多様性戦略に基づき、自然豊かな街づくりをすることにより、農産品の安全性を高め、2万円のコメなど、付加価値を高める。
・学校給食に安心な地元の有機米いすみっこを使用し、子どもたちの健全な生育を促している。
・農村体験交流施設を活用して、都会との交流による農村の活性化を図っている。
・千葉大学、早稲田大学、武蔵野美術大学などとの域学連携により、大学生などの若い感性をまちづくりに生かしている。
・2017年度版の全国12エリア別の若者世代が住みたい田舎1位、子育て世代が住みたい田舎1位、シニア世代が住みたい田舎2位で、総合ランキング1位に輝いた。
・経済競争だけだと、進学や就職を機に転出した人は戻ってこない。地域に仕事を作り、安心して住める環境を作ることがカギだ。
また、石橋町長のお話の概要は以下のようなものです。
・広島から約1時間の場所に位置する邑南町では、スイスのような環境を活かし、日本一の子育て村を目指して、攻めと守りの定住プロジェクトを実施している。
・町内へのU・Iターン者数を見ると27年度は100名であり、20~30代の女性は26名で全体の4分の1、そのうち4割は、Iターンで、多くは広島からの転入者。子どもの人口も増加している。
・合計特殊出生率は、2.46で、27年の出生数は70名、子育て環境を良くしたことがこの結果につながった。
・攻めの定住プロジェクトとしては、A級グルメを目指し、食の学校、農の学校を町立で設立した。町内では、良質な農産物を生み出し、シェフによる人材育成などを行っている。都内の調理師専門学校などからも研修生を受け入れている。
・守りの定住プロジェクトとしては、日本一の子育て村として、身近で安心な医療体制を整備し、産婦人科、小児科の機能を充実させたほか、ドクターヘリを導入し広島への緊急搬送にも対応している(20分)。
・子どもの医療費を中学校卒業まで無料化し、保育料金は第2子目以降は完全無料とした。第一子も国基準の6割で、保育所は完全給食(無料)とした。
・保育所や小中学校は統廃合しないという方針を打ち出し、地域の核として子どもたちも地域の大人と一緒に地域の課題解決を図る教育プログラムを実施している。それにより地域への愛着を持ち、将来地域に戻ってきてくれる子どもたちを育んでいる。
・移住者へのケアとしては、町職員の定住支援コーディネーターを任命している。また、地域に定住促進支援員を配置し、手厚く相談に乗る体制を整備している。
・地域ではまだ商店街の衰退など課題も多く、あらたに仕事づくりセンターをつくり、センター長として全国から年収1200万円で公募を行い、約90名の応募者を得た。
・地域に仕事を興し、地域型循環経済を確立していきたい。
・邑南町は、理想郷に向かってこれからも前進していく。
なお、次回以降は、提言の策定に向けて、更に議論を重ね、地方移住を通じた地方の活性化、ひいては日本全体の均衡ある活性化に取り組んで参ります。
地方居住推進議員連盟事務局長
衆議院議員 石﨑徹
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