先日、私が事務局長を務める地方居住推進議員連盟を開催しました。今回は、民間からSansan株式会社の共同創業者でCWOである角川素久先生に来場いただき、同社の神山ラボの開設や、そこで職員が働く中で生じた良い点や悪い点等についてお話し頂きました。また、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局から、国が行っている地方居住の推進に関する事業についての説明もありました。 

角川さんのお話の内容は以下のようなものでした。
・神山ラボの開設に関しては、徳島県神山町の振興を行っているNPOグリーンバレーの大南理事長とSansanの寺田社長との偶然の出会いから始まった。


・シリコンバレーは田舎にあるが、Sansanの所在地は東京であり、寺田社長はそのギャップは予てから感じていた。

・あくまでも神山ラボ開設の当初の狙いは転地効果によるエンジニアの創造性や生産性を高めることにあった。

・実際に開設してみると、通勤がないとか、規則正しい生活になるとか、ラボに滞在した社員が元気になってくるという副産物があった。

・赴任という形だと今の若者が踏み切るには重たくなるので、行きたい時に数週間滞在できるような施設にしてある。

・家族や、新入社員研修、部単位での合宿にも利用されている。

・具体的な神山ラボの効果は、①仕事の生産性の向上、②リモートワークのリテラシーの向上、③新しい働き方の実験と創造、④人材採用・既存社員のリテンション、⑤革新的な企業文化の醸成、⑥企業としてのPR効果

・マイナスだった点は、東京の会社と神山ラボはネット上などでのリモート会議をしているが、リモートワーカーが、東京の本社側の社員との意思疎通が難しいことや、会議では東京の会議室での議論が白熱すると、神山ラボの社員の存在が忘れられることなどだった

・神山ラボを開設したことは、サテライトオフィスの先行事例になったと自負している。

・最先端の仕事を東京以外でもできるという事例となり、「地方か都会か」という二者択一の働き方でなく、「地方も都会も」という“いいとこ取り”ができる新しい働き方の事例ともなった。

・サテライトオフィスを持つ場合には、地方への貢献など大義を大きくすることなく、企業はあくまでも本業のために開設することが大事だ。本業が成り立たなければ、やめる覚悟でやるべきだ。

・国には、クール・ビズのようなキャンペーンで、ムード作りをすることが大事だ。働き方改革などの機運は高まっており、この機を逃さずに進めるべきだ。

・自社のCMを作った時に、一流のクリエーターの作品の持つ力がよく分かった。国の政策でも、超一流のクリエーターにかっこいいサイトや動画を作ってもらうべきだ。

・若者には、SNSで発信して、伝播する手法が合っている。

以上のような内容でのご講演がありました。会場の議員からは、以下のような積極的な質疑応答が行われました。 

・拠点を地方に移転するために重要な条件を3つ挙げるとするとなにか。
 ⇒①良好な通信環境、②(企業と地元を)仲介してくれるNPO等の存在、③移転先が田舎過ぎず適度に文化的な田舎であること

・神山ラボを開設することでどのようなコストが生じたか
 ⇒ラボと東京の間の交通費や、通信費、ラボとして借り受ける物件の改装費などだけで、それほどかかっていないと考えてよい。

・社員がラボから元気になって戻って来るということだが、もっと大々的に行おうということにはならないのか
 ⇒東京に戻ってきて、ラボに戻りたいという人は多くいるが、住むというより行ったり来たりという方が良いという人が多い。なぜなら、完全移住だと、東京の仕事のペースに戻れなくなる恐れがある。また、逆に地方出身の若い人の中には、東京にあこがれて上京してきた人もいて、東京にいたいという希望を持つ人もいる。そのため、大々的に全面的に拠点を移転しようということでなく、行きたい時にいけるというような状況にしておいた方が良い。 

・他社の同様の取り組みはないか
 ⇒神山町には、Sansanのように拠点を設けている会社は多くある。また、そういった企業の集まりの中で情報交換をすることはある。
 

今回は、Sansan株式会社の神山ラボをテーマに、多岐に渡る情報交換を行うことができました。次回以降も、企業の拠点や社員の地方への移住を積極的に進めるべく、様々な講師をお呼びして勉強を進めていきたいと思います。
 
地方居住推進議連事務局長
衆議院議員 石﨑徹

 

 

 

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