現在、連日衆議院予算委員会で平成29年度政府予算案の審議が行われています。私も委員の一人として審議に臨んでいますが、先日ツイッターで投稿した保護司制度の予算も増額され盛り込まれています。

 

私が先日放映されたNHKスペシャル「ばっちゃん~子どもたちが立ち直る居場所~」を観て、ツイッターで投稿したところ、大変な反響を頂きましたので、法務省に保護司制度の改善について確認をしました。

 

同スペシャルは、元保護司の中本忠子(なかもとちかこ)さんの物語です。中本さんは30年以上の保護司の経験から「非行の根っこには空腹がある」と確信して、地域の子どもたちに自宅を開放し、食事をふるまいながら相談に乗り、多くの子どもたちを更生させてきました。

 

国の更生保護は、犯罪をした人や非行のある少年少女を社会の中で適切に処遇することで、その再犯を防ぎ、非行を無くし、これらの人たちが自立し改善更生することを助けることで、社会を保護し、個人と公共の福祉を増進する活動です。

 

更生保護の役割を担う保護司は、保護司法に基づいて法務大臣が委嘱する無給の非常勤の一般職の国家公務員です(事件を担当した場合、交通費等の実費弁償はあり。事件を担当すると月に約6000円ほどの手当てが出ますが、ほとんどボランティアです。)。全国に約48000人いますが、平成22年には約49000人いたため減少傾向にあります。一方で平均年齢は一貫して上昇しています。

 

これまで保護司の活動の場は、先述の中本さんのように自宅が基本でしたが、住環境の変化などもあり、保護司や保護司会が地域で更生保護活動を行う拠点として、更生保護サポートセンターが整備されるようになりました。

 

以上のように、保護司には中本さんのように、自宅を開放したり、食事を提供したり、ボランティアで更生保護活動に取り組むという方が多く、保護司の方の良心に依存してきたと言っても過言ではありません。そこで来年度予算では、更生保護サポートセンターの予算を拡充し、全国で新たに42か所のセンターを開設します。

 

しかし、新たに42か所増設されても、全国で501箇所です。保護区が全国に886箇所あることを考えると、まだまだ不十分であると言わざるを得ません。また、保護司の方々と、更生保護女性会の皆様が協働していくための研修を積極的に実施する等、更生保護の体制の強化を図っていますが、せめて保護司の方々が更生保護に取り組む際の活動費については拡充していく必要性を強く感じています。

 

私も一昨年10月に、党の特命委員会の関係で地元の更生保護施設川岸寮を視察しましたが、運用面で近隣町内会の皆様のご支援に支えられている一方で、インフラとして施設入所者の高齢化への対応など新たな課題が生じているとのことでした。

 

法務省の方の説明によれば、更生保護サポートセンターは現在保護司の方々が保護観察対象者との面談を行ったりする活動拠点となっているそうです。ただ、中本さんのように様々な形で非行防止、再犯防止に取り組む活動をされている現状もあり、今後については、このサポートセンターを保護司、保護司OB、更生保護女性会、自治体職員など様々な主体が共同して犯罪防止のために取り組む拠点へと、拡充していきたいということでした。

 

私の地元にも子ども食堂を運営する方がたくさんおられます。様々な理由で食事をとれない子どもたちに食事と居場所を提供する活動ですが、中本さんに拠ればそれは重要な非行防止の手段ともなるようです。そのため、法務省の方の説明では、犯罪防止の一環として、中本さんが行っているような食事提供を、更生保護サポートセンターのスペースを活用して行うことも可能とのことでした。

 

現在の更生保護サポートセンターは、スペースに余裕が無かったり、民間の賃貸物件で家賃などの面で活動費が制限されてしまったりと、様々な問題も抱えているようです。法務省では、自治体の施設の一部を借り入れられればという期待も持っているようですが、それによって上記のような食事提供の活動も行える拠点になるのであれば、非行対策に大きく寄与するのではないでしょうか。

 

私も党の法務部会副部会長として、また、更生保護を考える議員の会の一員として、今後も地域の更生保護活動が活性化していくように、保護司の皆様をはじめ、多くの方々から様々なご要望を頂きながら取り組んで参りたいと思います。

 

                                                      衆議院議員 石﨑徹