食品・農産物輸出やスマート農業、障がい者・ひきこもり就農を推進すべき~予算委分科会での質問など~

昨日、平成28年度予算関連法案、税法案が衆議院を通過しました。
私は、衆院総務委員会の理事として、新潟市や新潟県などの地方自治体の財政に関わる、地方税法・地方交付税法についての法案審議を担当しました。実は、政権交代後、地方税収は毎年伸びてきており、アベノミクスを通じて地方経済・地方財政も着実に回復しているということが分かります。
しかし、まだまだ実感に乏しいということも事実であり、地方創生に関わる事業を地方自治体が積極的に行えることをサポートする地方関連の予算案が通過出来たと思います。
なお、去年に引き続き地方自治体が行える人口減少対策関連の予算はしっかりと盛り込まれています。

ところで、地元紙の掲載はありませんでしたが、私も先日の予算委員会分科会で、森山農林水産大臣などに新潟の農業特区や農産物輸出などについて質問をしました。新潟は、26年3月に成長戦略の目玉の国家戦略特区に指定してもらい、これまで2年の経験と実績を持っています。今回は、新潟の特区制度運用で見えてきた諸課題について、国として更に後押しをしてもらうために、また、国全体で進めていく農政新時代政策において、参考・教訓にしてもらうために、森山大臣に直接質問を致しました。

その質疑応答の概要は以下のようなものです。それぞれに対し、森山大臣や伊東副大臣などから丁寧に前向きな回答を頂きました。

〔TPPについての質問〕
・TPPについて、地元のコメ農家の不安が確かにあることを認めざるを得ない。ただし、民主党政権の交渉入りの段階と、今回自公政権でのTPP締結段階で、我が国への影響は大幅に減少し、一方で農産物についても国内対策を含めて影響を最小限とし、万全の対応を行っていくとの話も聞いている。とりわけ新潟はコメ王国であり、TPPのコメ農家への影響などについて改めて影響試算などを踏まえた大臣としての見解を伺いたい。

回答要旨
・TPPについて、国産米全体の価格水準が下落する懸念が現場にあるのはよく承知している。
・ミニマムアクセス米で輸入が義務付けられている米とTPP枠で決めた国別の枠は基本的に違う。
・TPP枠には輸入義務がない。
・政策大綱に基づき、国別枠の輸入量に相当する国産米を備蓄米として買い入れるなど輸入量の増加による需要と価格への影響を遮断する。

〔輸出促進についての質問〕
・中国向けコメ輸出の促進のため、放射性物質に係る10都県の規制撤廃を進めるべきではないか。(中国へ日本の農産物を輸出するにも、放射線物質関係に係る規制があり、事実上10都県からは輸出停止、その他も産地証明が必要となる。動物検疫上の扱いを協議中とは聞いているが、新潟県産のコメ輸出の促進のための精米工場やくん蒸倉庫の整備を進めるためにも規制撤廃が必要ではないか。)
・中国への輸出促進に向けた精米工場やくん蒸倉庫の追加に関し、中国との協議状況はどうなっているか。(日本産米の中国向け輸出にあたっては、植物検疫条件により、中国側が承認した精米工場で精米された米のみが輸出できることとなっているが、現状に於いては1カ所に限定されており、自由に輸出促進を進める上での障害となっていると懸念している。これまでの取組と方向性を答弁願いたい。)
・農林水産物の輸出支援の取組としては、まずは海外における認知を高めるとの観点から、品目別に輸出団体を設立し、そこを主体にオールジャパンでの推進することを基本としていると認識している。新潟県など地方の自治体や個別事業者にも支援内容を十分周知した上で、新潟県を含めて創意工夫を凝らして取り組む意欲のある、地方の自治体や個別事業者の取組を取り込みながら推進すべきではないか。

回答要旨
・中国に対しては農水省、在中国日本国大使館から中国の規制当局に輸入規制の緩和を働きかけている。
・WTOなどでも働きかけをしている。
・日中韓農業大臣会合の際の日中大臣会合でも、働きかけを行い、先方としては日本側の懸念を理解し、農業部としては積極的に対応したいとの発言があった。
・中国へのコメの輸出に当たっては、指定精米工場での精米及び登録燻蒸倉庫での燻蒸を行うこととなっている。
・新たな指定には、中国側から検疫条件に即していることの確認を受ける必要があり、検査官の派遣を強く要請している。今後も粘り強く働き掛けていきたい。
・農産品の輸出については、地方自治体や関係団体、個別事業者等が連携して取り組むことが重要。
・海外の小売店において常に日本の産品が揃えられるよう、リレー出荷等で連携して取り組みたい。
・農水省で品目別輸出団体を立ち上げており、多様な支援メニューを含めて地方自治体や個別事業者等へ情報提供やPRを行っていきたい。

〔農地集積、雇用支援についての質問〕
・地元新潟においては、大規模化を進めたい農家の担い手や参入企業(ローソンファームやセブンファーム)の農地集積・集約化が進められているものの、それらの希望に農地中間管理機構が十分に対応しきれていないとの声も聞いている。農地中間管理機構が成果を出していくためには、担い手等との意見交換や現場コーディネーターの増員等が重要と考えているが、今後、どのように機構の業務を軌道に乗せ、農地集積・集約化を推進していくのか大臣の見解を伺いたい。

回答要旨
・農地中間管理機構は26年から整備しており、事業開始二年目の今年は初年度の実績や問題点を踏まえて機構の意識改革と役員体制を改善していく。
・現場のコーディネーターを増員し、地域の担い手との話し合いの推進、農地整備事業との連携を強化していく。

※土地改良費について、新潟の若手農業者からも負担金が大きいという意見を伺っており、質疑の中でも言及しています。


〔障がい者雇用やひきこもりの方々の農業就農への支援についての質問〕
・障がい者就労・雇用について、農業は非常に可能性を持っている。新潟においても、アイエスエフネットライフという人材サービスの企業が、農業に参入して障がい者をその担い手としています。こういった異業種企業・食品関連企業が、農業へ障害者就労を行っていて、農福連携という形で、障がい者の方々の力を引き出している。また、ひきこもりの方々も農業に従事することで、お天道様の元でひきこもりから積極的に外に出よう!という心に変わるなど効果を発揮している。この点、障がい者の農業分野での就労を後押しすることは、障がい者が地域で活躍する素晴らしい取組だと考えているが、厚生労働省では、福祉分野と農業分野の連携について、どのように取組を進めていく考えか。現在の施策や意気込みを教えて欲しい。

回答要旨
・厚生労働省として農業分野での障害者の就労支援は、障がい者の働く場の確保や収入の拡大につながるとともに農業分野の抱える担い手不足の課題解消にもつながるため、農福連携は双方にメリットがあると考えている。
・厚生労働省として、障害者就労施設における農業の取り組みを支援するため、平成28年度予算に、農業の専門家を派遣することで農業技術に係る助言指導を得られるようにすることや、農産物の生産、加工、販売までを行う路地産業化に向けた支援や、障がい者就労施設によるマルシェの開催などを開催する都道府県を支援する事業の予算を盛り込んだ。

〔ICT・スマート農業など先進的取組についての質問〕
・新潟の特区でNTTやソフトバンクさんが始めている農業におけるICTの利活用を進めるべき。(農業の効率化、生産費低減に向けて、地域全体で気象センサーを整備してデータを共有したり、生産管理に活用したり、農業機械をICT化したりするなど、農業においてもICTの利活用を進めるべきではないか。政府として、研究開発や導入実証など様々な取組を行っていると認識している。現場に向けて前向きな答弁を伺いたい。)
・ICT利活用のためのデータの共通化に向けた取組を進めるべきと考えるが見解を伺いたい。(農業のICTで使用可能な気象等のデータの共通化・標準化を進めることが、開発費の低減やビックデータ化につながり、効率的な生産管理体制の構築が可能ではないか。)

回答要旨
・農業分野へのICT導入は、センサー等により得られる情報に基づく水管理や適期防除等生産管理の効率化や収量の向上など様々な可能性が期待される。
・すでに実験的に実施されている農場も多く、農水省としても経済界あるいは学識経験者等々の協力を得てスマート農業の実現に向けた研究会を立ち上げて今後のロードマップ等を明らかにするとともに生産現場での導入実証等を進めている。
・今後も引き続き取り組みを進めていく。

〔G7農業大臣会合についての質問〕
・G7新潟農業大臣会合に臨む大臣の決意を伺いたい。(地元新潟で行われる大臣会合において、各国との議論はもちろんのこと、主要国農業大臣が集まり世界的にも注目される場でもあり、日本の食をどう世界にアピールしていくのか等を含め、新潟の地において戦略的なトップ外交としていくべきと考えるがどうか。)

回答要旨
・新潟は国際会議の経験を豊富に持っており、準備万端整えているものと考えており、大変心強く思っている。
・G7のそれぞれの国が直面している農業者の高齢化問題、あるいは新興国の職の構造変化、あるいは地球環境問題など、共通している課題をしっかり議論したい。
・せっかくの機会なので、新潟の食材もしっかり利用しおもてなしをしたい。また、日本の農業技術の紹介もしていきたい。
・新之助、ノドグロ、日本酒など日本の食文化をしっかりと伝える農業大臣会議にしていきたい。

〔食品産業への支援についての意見〕
・新潟は全国随一の食品産業の集積地ということで、サトウのごはんのサトウ食品さんや亀田製菓さんなどがある。これらの外食産業と連携しながら、農水省としても引き続き新潟県、新潟市、外食産業にいろいろな後押しをお願いしたい。


以上のように、新潟のこれまでの取り組みなどを現場の視点などから質問致しました。これからも食品産業が集積し、農業王国である新潟を選挙区とする代議士という自負を持って、国政で活動をしていきたいと思います。

衆議院議員 石崎とおる


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