2024年8月31日、福岡市東区香椎4丁目「不老庵」にて。
天せいろう。(写真はそば大盛り、1850円・税込)
土曜日、昼まで仕事のあと。
台風10号が過ぎ去ったこの日の福岡市内は、台風一過の青空が広がり、気温もぐんぐん上昇、福岡空港の14時の気温は31.2℃となっていた。
やはり暑いので、冷たいもの、それもつるつると食べられる麺類がいいなぁと思って検討した結果、向かったのが↓のお店。
「不老庵」。香椎4丁目、香椎宮すぐ近くの住宅街に立つそば屋さん。建物はなんと築100年を超えているのだそうで、経年から来る趣きが何ともいい感じ。
行列ができることもあるという話だったけど、14時頃に訪ねてみたらすぐにカウンター席へ案内された。店内には他にカップルが1組いるだけで、とても静かだった。
席につくとさっそく店員さんが注文をとりに来られた。事前に少し調べてあって、やはり冷たいそば、それも天ぷらがついている「天せいろう」(1600円・税込)を選ぶことは既に決めていたんだけど、やはりそばをしっかり食べたいと思って、プラス250円でそばを大盛りにしてもらった。
で、注文をしたその場で、お会計前払い。なるほど、そういうシステムなのねと。
注文してから出てくるまでは、けっこう速い。え、もう出てくるの?という感覚だったんだけども、そばの茹で時間にもかなりこだわっていて、しっかり計算されたもののようだ。
ということで出てきた「天せいろう」そば大盛り。「天せいろう」は、季節の素材を使った天ぷらと、ざる(せいろう)に載った冷たいそばの組み合わせ。こうしたメニューの場合に、そばつゆと天つゆが一緒になっているパターンもよく見かけるんだけど、このお店ではしっかり別々に提供される。
天ぷらは、海老が2尾いる以外は季節のお野菜になるんだけども、そのなかにはゴーヤがあったり、ズッキーニがあったりと、やはり今の時期らしい夏野菜が主役となっている。ゴーヤの天ぷらというのは初めて食べたんだけども、これが案外違和感なく、天つゆ、また付属の塩でいただいてもいいお味だった。ズッキーニも、素材の水分を逃がさず揚げられていて、歯触りもよかった。2尾の海老もプリプリ食感が生きていて、とてもおいしかった。
そして、そば。つなぎを使わない十割そば、国産の早刈りそばの実を使用し、色の悪い実を取り除いて使っているとのことで、さらにそれを石臼で粗めに、毎朝必要な分だけ挽いて使っているのだとか。十割そばなので短時間で茹でているんだけど、それも量や、そばが含む水分量などの条件に合わせて茹で時間を調整しているという。ものすごいこだわりだよね。
そうして出てきたそばのせいろう、十割そば独特のしっかりした歯応えがあり、程よくそばの香りも立ち上る。甘めのつゆに、刻みねぎ、大根おろし、そしてワサビといった薬味を適宜加えていただくんだけど、ほんと、これがおいしくないわけがないだろう、という感じ。しっかりと「そば」を感じられる。
最後にはもちろん、そば湯が提供される。このそば湯がまた、いい香りなんだよね~。ほっとするひととき。
「不老庵」は、10年前の2014年に発表された「ミシュランガイド福岡・佐賀2014特別版」にて、ビブグルマンに選ばれたこともあるお店。今回の訪問でいただいた「天せいろう」も、この内容、このこだわりで、かつ、このお値段で出してもらえるというところで、ビブグルマンに選ばれるだけの価値があるということは十分に理解できた。
これはぜひ再訪したいなぁ。温かいそばと天丼の組み合わせというのも、一度食べてみたいなぁと。