電話でご相談頂きました。大きい羅紗鋏との事。出来ますよと、お答えして今日の午前中のお預かりで夕方のお届けにしました。羅紗鋏と言う響きが何とも懐かしいですね。私の母親は、裁ち鋏の事を、確かに羅紗鋏と言っていました。羅紗とは、江戸時代に ウールの織物をスチームで蒸して縮重した物がオランダから入って来て、厚みの有る紳士用の生地を羅紗と言ったそうです。それを切る道具として入って来たのが羅紗鋏の最初でその後、明治になって東京の鍛冶職人が今の裁ち鋏に改良していったそうです。お伺いして現物を見せて頂くと、デカイねぇ。まさしく羅紗鋏と言うに相応しい、デカイ鋏です。何を切るのに使っているのかお聞きすると、建築関係のお仕事で、なんたらウールと言う、断熱材を切るんだそうです。先の方が切れ無くて、何とかなりますか?。何とかするしか有りませんね。




先が開いて切っ先が合いませんね。中間の刃もガタガタです。先に研いでガタガタを取ります。切っ先から2-3㎝が噛みあいません。こじ棒で少しづつ修正して行きます。最後の2㎜が噛み込みます。怖いけど、金床に乗せて、金槌で、コッ、コッ、と、慎重に叩いて、切っ先も合いました。




御在宅を確認してお届け。裏地の端切れで試し切りして頂くと。あ”-、これや、これや。と、ネイティブな関西弁で、喜んで頂けた様です。