メダカを飼っている。
ずいぶん前にも飼っていたことがあったけど
死なせてしまったことがある。
ちょっと前にカブトムシ用の土を買いにホームセンターに行ったときに
ちっち(6歳の息子)にねだられて新たに買ったのが元気でいる。
普通のメダカと、ちょっと小さくてオレンジ色っぽいヒメダカ、
それから金魚みたいに赤い、楊貴妃というメダカを。
こんどはもっといい環境でと、大きめの陶器の器で飼うことにした。
メダカは小さくてもその尾ひれを揺らしている姿はとてもかわいい。
細身だからその動きがとても繊細で涼しげ。
水中で止まっている時もわずかにしなやかにヒレを揺らしているその動きがとても美しい。
金魚も飼っているけど、全然違う。
僕はメダカのほうが好きだ。
動きがすっすっとしていてステキ。
最初はエサをやっても水草の陰に隠れてなかなか表面に現れようとしなかった。
とても警戒心が強いとみえて、人が近づいただけでさっと水草の陰にかくれてしまってなかなか姿を現さない。エサをやっても人影がなくなるまでじっと隠れていた。
きっと学習して条件反射をするようになるだろうと期待して、
エサを与える度に水槽のよこをコンコンコンコン叩く習慣にしてみた。
それを毎日続けていたら、いつしかえさを入れてコンコン叩くともうすぐに水面にまで泳ぎ出て盛んにえさを食べる。
さらにいまでは僕が近づくと水面近くに上がってくる。
そんなふうに慣れてもらうと一層かわいいくなる。
外で飼っているから日光でコケが繁殖しやすくなって水がすぐに緑色ににごってくる。
だからこのメダカの水も定期的に替え、その都度水槽の内側を磨かないといけない。
でも可愛いメダカたちをよく観ていたいからそういう仕事も苦でなくなる。
餌やりも毎日の楽しみになっている。
ところで水槽の中にはどこかで採って来てちっちが勝手にいれたタニシがいて
いつのまにかすごい数になっていた。
そしてあるときちっちがその中のいくつかを部屋で別の水槽で飼ってみるからと、適当に石ころと水草を水とともに別のタニシのための容器に分けた。
タニシなんかわざわざ別に飼育しなくたっていいのに、と僕は思っていたけど
ちっちにはちっちなりのこだわりがあるだろうから、やりたいようにさせた。
何日もたって僕はそのことはすっかり気にかけなくなっていて、
どうせちっちも特にタニシの世話をしているようすでもないし、
水も減ってきているし、処分する頃かな、なんて思っていたころ、
ある日ちっちが
「友達にプランクトンをあげるんだ」といってなにやらひとりでごそごそ忙しそうにしていた。
ジャムの空き瓶に水をいれたりなにやらやっていた。
「プランクトン」といえばウチでは「サカサクラゲ」も飼っていて、そのエサとなる、
「ブライン・シュリンプ」なる生き物も育てている。
これはいわゆる「シーモンキー」のことなのだ。
わずか数ミリの透明に近いエビの一種らしいけどどう見てもプランクトン。
・ ・それを友達にあげるのかと思った。
それにしても確かもう今はシーモンキーは全滅していなくなってた気もする。
どうするつもりだろう、シーモンキーの孵らなかった卵はゴミのようにたくさん浮いているからまさかそれを友達にあげるのか?
と、少々いぶかしく思っていた。
でもちっちはなんだか一生懸命ひとりでなにやらやって、
「よし、これで移せた!」といってワクワクしていた。
僕が「ねえ、プランクトンなんてもういなくない?」
ちっち「いるよ!タニシの水槽にはいっぱいプランクトンがいるんだよ」
僕「ええ? ちょっと見せてごらん」
と瓶を観ると、なんと数ミリのちっちゃなものがうようよ泳いでいた。
体長2~3ミリの子メダカ
なんと、なんと、メダカの赤ちゃんだったのだ!
いそいでタニシの水槽を観てみるとそこにはよく観ないと気がつかないほどの
2~3ミリほどのメダカの赤ちゃんがたーくさん泳ぎ回っていた。
「すっごーい!」
いつのまにか卵が産まれ、いつのまにか稚魚に育っていた!
タニシしかいない水槽だったからそこでうごめく小さなものはきっとプランクトンなんだと、ちっちは勝手に考えたのだろう。それはそれで偉い想像力だ。
「ちっち!スゴいよ!これはプランクトンじゃなくてメダカの赤ちゃんだよ!」
感激だ!
「えー! メダカなの! おもしろい!これ、ちっちが発見したんだよ!」
とちっちは大興奮!
「ちっちのおかげだよ!スゴいぞちっち!」
メダカはそのまま飼っていると、卵や稚魚は他のメダカが全部食べてしまうから育たないらしい。
でもなぜかちっちが数匹のタニシを別にしたいと言って、
水草や水を分けた。
そのことが卵を守ったことにつながっていたのだった。
なにがどうころぶかわからない。
メダカにとっては奇跡が訪れたということかもしれない。
おもしろい!
ちっちさまさまだ!
それからは僕のメダカの観察ももっと細かくなった。
水草を時々持ち上げて調べるとそこには1ミリもない透明なプツプツがついている。
卵だ。
一緒にしておけないからその水草をまた別の水槽に入れ直す。
何日かするとその卵の中に二つの可愛い目が発見でき、
それがひょいと魚の形になって生まれる。
卵をいくつか小瓶にわけて、
毎朝虫眼鏡で観ている。
一方、親メダカの見方も変わって来た。
ツガイと思われる2匹が巴になってぐるぐる回転する。
きっとこれが卵を授けるときの様子なのだな、と発見。
何日かすると今度はおなかの下にたくさんの卵をぶらさげたまま泳いでいる親を発見。
そのメダカだけすくって卵用の水草だけの水槽に移し替える。
すると、水草の脇を通りながら盛んに身体をよじって震える。
きっとこれで水草に卵をくっつけるんだ。
なかなか離れないけど、一生懸命やっているから見入ってしまう。
いつのまにかからだから卵がなくなっている。
それを確認してからそのメダカをまたもとの水槽にもどす。
これで子どもが守れる。
で、結局今ではもう100匹以上のメダカがウチにいるよ。
生き物ってホントにおもしろい!
ちっちのおかげで二度目の少年をやらせてもらっているよ。
ありがと! ちっち!
いいぞ!!!
そうそう、公園で一緒にザリガニを捕まえてそれもウチにいる。
そういえば金魚も飼っていた。
これはサカサクラゲ
ミニヒキガエルも
いきものだらけ!
で、パパは、いきものがかり!