NEW アルバムのレコーディングも終盤にかかる。

自宅スタジオでの作業にかなり時間を使ってまとめた分

後半はスムーズ。

自宅では篳篥や笙はもちろん、ピアノ、シンセ、ベース、ギターも自分で弾いて録る。

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そして、その後半では、

ミュージシャンたちとの収録がある。

ここからは大手のスタジオで。

今回はBeatles の曲を2曲カバー。

「Yesterday」と「Hey Jude」

以前もカバーしているけれどそのときはすべての楽器を自分一人だけで重ねて録った。

今回はいろいろなメンバーと録る。

僕の大大大好きなピアニスト、

松本圭司くんにお願いした。

Yesterdayはピアノと弦楽カルテットで、ジャズとクラシックが混ざったようなテイスト。

Hey JudeはBass, Drums, Guitar, Piano のバンドで。


松本君とはデビュー間もない頃からツアーのサポートやレコーディングに関わってもらってきた。

彼のピアノは絶妙!

彼にしかできないピアノがある。

とても涼しく、あたたかい。

コンマ何秒か遅めに乗っかってくるようなあのタッチは真似して出来るものじゃない気持ちよさを持っている。

だいたいの人は気張るとほんのちょっとリズムが早め早めになるのに、

松本君は決してそうならない。

どんなときでもとてもリラックスした、でも気持ちのいい緊張感もあった、そんな演奏をしてくれる。

なによりもその場で出るメロディーの美しいこと!!!

定番感も斬新感もほどよく行き来してくれるのがステキ。

で、彼はレコーディングのとき、クリックを使わない。

クリックというのは、メトロノームみたいなもの。

複数の人間が同時に演奏するのにうまく同期できるように

みんながヘッドホンでそのクリックを聞く。

つまり指揮者のようなもの。

それに、クリックがある状態で録音をすれば

どこかミスをしても、そのクリックにそってその場所だけ演奏すればずれること無く修正もやりやすい。

でもクリックを使わない。

(もちろんひとり楽器をひとつずつ重ねて行く場合はこのクリックが命綱のように絶対必要なのだけど。)

ミュージシャンが揃っているから、とライブのようにイッセーのセ、で録ってしまうのだ。

これはミュージシャンによほどの自信と技量が無ければなりたたない。

でもクリックに支配されないから、とても自然なノリ、熱さ、ゆったり感、間、
が生まれる。

ライブでしか出来ない、人間的な感覚でしかできない醍醐味も収録できるのだ。

音楽の基本なんだよね。

だから1回録音して、自分がうまくいったと思っても、他の誰かが納得がいかない場合、

そのテイクは葬られて、もう一度全員でやり直す。

クラシックっぽいカルテットの部分はしっかりした譜面があって、

それを再現するのだけど、

松本君はじめ、バンドや僕の譜面は、コードと進行の目安しか書いていない。

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こんな譜面を見て演奏(といっても僕はほとんど見ていない)


だから毎回フレーズも表現も変わる。

だからいつでもよりいいものにむけての気持ちが持続しないといけない。

でもスゴいことに、どちらの曲も、2~3回で完璧OK !

Yesterday はとてもしっとりとした、おしゃれな、大人な感じ。

この遅めのテンポ、よくぞクリック無しでキープできたものだ。

でもこれこそクリックがあってはこのオシャレな間合いはだせなかっただろう。

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松本君(向かって一番左)とカルテット



そして、Hey Jude

こんどはバンドだからみんな好きなようにやりながら心をひとつに。


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天倉正敬さん(僕の向かって右)のリズム感も超超超スゴい!

前回のアルバムでもお世話になった。

そのときも松本君と一緒でやはりクリックを使わなかったのだけど、

5分以上の曲を、何回やってもいつも同じサイズで終わる。

しかもその中でちゃんと緩急があるのに。


今回も「じゃあ、これぐらいのテンポで、」というと

「任せてください!」と自信満々の笑顔がかえってくる。

安心!!!

でもしっかり後半では徐々に熱くなって、山場では大盛り上がり。

目の前でとっても楽しくノリまくって叩いている様子を観ながらだから

こちらの演奏も熱くなる。

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全員が熱く盛り上がった。

このHey Jude 、

最初はとても爽やかに優しいのだけれど、

終盤ではスゴい盛り上がりになる。

ヒチリキがシャウトしてしまう。

ライブで盛り上がったときにはよくそうするけれど、

スタジオの収録ではいままでこんなヒチリキ吹いたことが無い。

でもライブのように録るからそんなふうになれた。

ヒチリキでは普段絶対やらないような早いパッセージや

普段絶対出せない音域まで出しちゃっている自分がいた。


ああ、楽しかった。


そして今回のアルバムの音を全面的にまとめてくれているレコーディングエンジニアはNeeraj(ニラジ)さん。

この人も凄腕!

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耳の感覚だけでスパスパ音質やバランスを構築。

メーターや数値で判断しない。

そうこなくっちゃ!!!

もうまさに僕のタイプ!

音楽は数値じゃなく感覚だからね。

「グラフ上では低音が出ているはずです」

とか言ったって肌身で低音を感じなければ出ていないのと同じなのだから。

そんな意味でもNeerajさんはとってもいい感じ。

それに感覚だけで迷い無くいくから仕事が早い!

素晴らしいエンジニアだ。


今回のアルバム、今までとはまた違った趣向で、

僕自身とっても楽しみ!

とってもステキなアルバムになるよ!

8月7日発売予定。乞うご期待!!!


TOGI