先日、街にちっち(幼稚園年長の息子)と買い物に行った。

そのとき、ある山岳用品のお店で、なんと

いきなりスゴいチャレンジを味わった。

   クライミング!

そんなことをしに出かけたわけではなかったのだけど、

ちっちがやってみないかと店員から声をかけられた。

  最初は躊躇していた。

建物の中なのだけど、見ればほとんど垂直の絶壁だから。

3階分を突き抜けた高さもある。
(子どものゴールは低い地点にある)

で、ちっちは少しは興味も有りながらも迷った。

「怖そうだからいやだ。」と。

僕は促した。

「やってみないとどれだけ怖いかもわからないよ。

やってみたらもしかしたら全然怖くないかもしれない。

でもそれもやってみないとわからないんだよ。

やってみた人だけが、それがどんなだかがわかるんだ。

チャレンジするだけでもそれはすごいことだよ。

ほら、ちょっとそこの出っ張りに手をかけてごらん、その次の出っ張りはどこがよさそうかなあ?

そうそう!ちっち、できそうだよ!

いつも誰よりも上手に木登りしてるじゃない。

あんな感じだよ!

幼稚園生でこんなチャレンジする子なんてなかなかいないぞ!」と。



ちっちは「やってみる!」と決心!

   いいぞ!

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しっかりハーネスを付けて命綱を付けて

  いざ挑戦!

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でもやはり 垂直の壁!

それに、わずかな突起しかない。

そうとう力を使ってしまう。

最初につかまっただけでそれを感じたようだ。

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「クッ!」と、渋い顔をしてからだを支えた。

それでもちっちらしく冷静に観察している。

「からだをささえようにもつま先しかかからないから次の足を動かせない!」とか

停まっているだけでもどんどん手の力がなくなっていく!」とか

「クッ! あそこに手を伸ばしたいんだけど思うように手がうごかない!」
とか。

しっかり分析している。(パパ似?)

でも力が尽きると恐怖心も増す。

「もうダメだ。」

と途中でストップ!

でもしっかりチャレンジした!

「難しかったね! でもスゴいよ!ちっち! 初めてなのにパパの背の高さより高いところまで行ったよ! 」

「ちっち挑戦したよ!」と、嬉しそう。

  いいぞ! 充分だ!


で、僕もやりたくなった。


実は以前から興味はあった。

テレビとかでよくクライミングの大会とか観ているときにいつも

自分だったらどうだろう、、、と置き換えて観ていたものだ。

 それにあれは力でなく、リズムとバランスで、

ためらわずヒョイヒョイとやっていくもの。

僕なら得意かも! なんて思って観ていたものだ。




で、そのトライアルがこんなに突然やってきたのだ。

「パパもやってみるよ!」


「うわー!パパ!がんばれ!」


で、靴を借りて、いきなり始めた。

アドバイザーの店員さんが言うには、

手の力はなるべく使わないために壁に身体を寄り添わせて足で踏ん張るように、と。

それでもそうとう手の力を使ってしまうから、ときどき片手を離してブラブラ振って回復させながら登るといい、と。

なんだか本格的なのだ。

確かに最初から手の力をそうとう使う。

手というより、完全に指の力だ。

わずか数センチしかない突起に指先をかけるだけだから。

足もときどきすべって踏み外しそうになる。

なにしろほとんど垂直の絶壁だから。

最初はけっこうスイスイリズムにのって登った。

店員さんにも「器用ですね」と褒められた。

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でも、

まだ3分の1ぐらいまでで、そんなに簡単なことじゃないというのが

はっきりわかった。

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指先の力で身体を支えるということがどんなに大変なことか。

バランスやリズムはきっととても大事だけど

やはり、根本的な手の力がなければどうしようもない!

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だんだん腕全体の感覚が鈍くなっていく。

満タンにあった力があっさり尽きていく感覚がわかるから

とても悔しい。

身体を壁に張り付かせ、片手ずつブラブラさせて、気も落ち着かせる。

ただ上に向かうだけでは突起がなかったりするから、横の遠くの突起にどう向かうか、、、

  それがとてもバランスを失わせるから大変


 半分くらいまで来ると

  高さの恐怖もでてくる。



いつでもやめられるのだけど。

簡単にやめてなるものか!

本当にどうしようもなくなるまでやるんだ!

大事を取ってやめるのではなく、尽きて仕方なく落ちてしまった、までやらないことには!

限界の大変さまで味わわないと気が済まない!


それに下でちっちが店じゅうに響く大きな声で

「パパぁ! がんばれー! 落ちてもロープがあるから心配しないでぇ!

大丈夫だよー! がんばれパパー! ベルを鳴らしてきてー!」

と叫びっぱなし!

一番上の天井にはベルが付いている。

行くんだ! なんとしてでも行くんだ! ベルを鳴らしてやる!


13メートルの垂直の壁につかまっているのは初めてだ。

これが山岳の実践だったら、

あるいは何かのアクシデントでこんな状況になってしまったら、

遊びやスポーツでない、余儀なくされたサバイバルだったら命綱の安心感などないはずだ。

指の力がなくなったときには死を意味するのか、、、、

火事場の馬鹿ヂカラってどういうものなのか、、、、

などといろいろ想像した。

力も尽きそうだし高さも怖いのにけっこう冷静なものなのだ。

    で、

勝ち気な僕は最後まで登り切ったよ。

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 やった! ベルを鳴らしたよ!

 「やったー! パパスゴいよ!スゴいよ!」

ちっちは下で大はしゃぎ!

降りる時はストーンストーンと

壁をバウンドさせながら一気に下る。

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これもよくサバイバルや戦争ものの映像で観ていた感覚をそのままやってみたらとてもうまくいった。

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アドバイザーさんにも褒められた。


でも降りたとたん、僕の腕は他人の腕のようだった。

握力が出ない。

書類に字を書くのに思うような字がかけない。

普段使わない力を一瞬にそうとう使ったようだ。


それにしてもとってもおもしろかった。

自分の力の無さも改めて感じた。

なにしろイメージ通りにいかない。

イメージははっきりしているのに身体が思う通りになるまえに

力尽きていくもどかしさを味わった。

でも楽しかったし、やり甲斐があった。

いきなり予期せぬチャレンジによくも巡り会えたものだ。

ちっちが一緒だったからだ。

ちっちも嬉しそうだった。

「パパ、できるかどうかわからなかったけど、挑戦してみたらできた?」

「ああ、出来たよ! ダメかもしれないと思ったけど挑戦したら上まで行けたよ!チャレンジしてみて本当によかったよ。いろんなことがわかったよ!

パパはまた今度もう一回やりたいな。もっとうまくやりたい!」


「ちっちもまたこんど挑戦してみる!」


「この次はきっと今日より高いところに行けるよ。でもそれがどこまで行けるかは、やっぱりやってみないとわからないよ。楽しみだね。」

「うん!またやりにこよう!ちっちもいつかベルを鳴らす!」

二人でワクワク!!


次の日も腕全体の力が取り戻せていなかった。

コンサートでなくてよかった。


また新たな趣味が増えるかも・・・。


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