去年の今ごろ、僕はとっても苦しかったあせる

今回は長いよ(いつもよりもっとあせる


1月4日、天気がよかったし、
久しぶりに何年間も眠っていたカタナ(SUZUKI GSX1100)でひとっ走りしようと出かけた。
自宅近くの交差点で、止まっていた車をアクセルターンで旋回しながらよけて通ろうと思った途端、
後輪が見事にスリップして、思いっきり地面に叩きつけられた。普段からアクセルターンだのクイックカウンターだのは得意でヒョイヒョイすり抜ける自信があった (知る人ぞ知るMAXターンもやってたよ)。
だから自信を持って勢いよく腰を入れて傾けたから、相当大きな遠心力が働いて、さらにものすごい重量のバイクだったから本当に叩きつけられた。ダウンむかっ爆弾
道路も乾いていてタイヤの山もしっかりあったのにどうしてスリップしたのかわからなかった。
声も出ないほど痛く、苦しく、辛うじて呻くだけだった。近くを通りかかった人が救急車を呼んでくれて、助けてくれようと声をかけてくれるけど、何しろ応答もできないくらい顔をしかめたままだった。くの字に横たわった身体も少しも動かせない。ほんの少しの振動がやたらひびくのだ。
息苦しい。身体を動かそうとすると胸の奥がゴリゴリする。
骨が複雑に交差でもしてるようなイメージの感触だった。ドクロ
そうとうヤバイぞ。そう感じた。
同時に、それでもまだまだ生きるんだから!
大丈夫だぞちっち!(当時4歳の息子)と食いしばった。
同時に、これでもうバイクに乗れなくなっちゃう?まさか!とか、いろんなことを同時に思う。
で、やっぱり同時に、指が動くし、息ができるだから3日後のコンサートもなんとかなるんだ!って。


病院では何をするにも激痛だからレントゲンやCTを撮るときの姿勢を動かすことがたまらなく苦痛。すべてのちょっとした振動が響いて激痛を誘う。叫びドクロ

医者は「なんだ東儀さんじゃない!しばらくコンサートは無理だよ.肋骨を少なくとも2本折ってるんだから」と。そうこうしているうちに次の急患が来たので診察室から急いで出されてしまう。でも急げない。歩く振動が痛いから10センチ刻みにゆっくり歩くことしか出来なかった。ロビーに出ても椅子に座るための動作も辛いからただ困って立ちすくす。看護士さんたちも変に触ると痛いのはわかっているのでただ見ているしかない。実家の近くの病院に運ばれたのだけど、実家に電話をしても誰もいなかった。本当に途方に暮れていたそのとき、なんと偶然に母が僕の真横を通り過ぎて行った。通り過ぎてから不思議そうに母が振り向いて、それが僕だったからびっくり!僕もびっくり!蚊の泣くような声で「ああ、いいところにいた。」と僕。
なんと母は病院に用があったわけでもなく、近くに買い物に来ていてたまたまトイレを借りようとその病院の裏口から入ったところ、たまたまその裏口近くに僕が立っていたのだ。母は三角巾で左手をつり上げて立ちすくす僕の後ろ姿を見て「ちょっと汚らしいけどずいぶん秀樹に似た人が病院に来ているものだ」と‥‥。それにしても、ほんのちょっとでもタイミングがずれていたら出くわすことのない、なんだか呼び寄せられたような不思議な偶然でなんとか家に帰ることがでた。家内と息子は家内の実家に遊びに行っていたのでゆっくり遊んでもらいたいので黙っていることにした。心配かけるから事務所にも黙っていた。もしかしたら僕の気合いで1日で回復できるかもしれない、なんて思ったから。あせる

でも一日寝ても全然だめ。それに、なんとニュースにまでなっているのを知って、あせるもう隠せないなと観念した。というより、黙っていられるほど回復なんかできやしない状態だった。叫び

そして、大きな問題はコンサート。なんとか篳篥のリードを自分の息に合うように調節し直してなんとかしなくてはと、集中してリード調整。左手を動かすと痛いし持ち上げられないけどなんとか吹く姿勢までは持ち上げられる。でも、舞は到底無理だと思った。でもコンサートの前日になって、なんとか右手だけでなら出来るような気がして、それで臨むことにした。辻村寿三郎さんの人形と舞うというコラボレーションはそのコンサートの重要な部分だったし、どうしてもやりたかった。


・ ・・で、なんとかやりとげた。無理をするわけだからからだには良くないのかもしれないけど、やらないよりずっと後悔は小さいだろうと思った。で、もちろん後悔などしていない。それどころか、やはりコンサートは楽しい。それで精神も生き生きするのだ。たぶん無理したぶん治りが長引くのだろうけれど、それでいい。気持ちが治まるから。東儀秀樹はそんなことでは守りに入らないのだメラメラ

事務所に「何故あんな状態でコンサートに出させるのだ」とか抗議めいたことを言った誰かがいたらしいけど、それはあまりに東儀秀樹を解っていない、ということなのだ。僕がやりたいからやっているのだから。事務所も僕の気持ちをとてもよく理解してくれていた。


さて、ちょっと事故を解説してみると。
バイク屋さんに何年も預けっぱなしで動かなくなっていたものを年末に調整してもらい、仕上げてもらった。仕上がった、と思っていたのだが、あとでよく調べたらタイヤが大問題だった。溝はしっかりあって見たところ新品のようなタイヤだったけど、手で触ってみたらそれは既にゴムではなかった。硬質プラスティックのようにカチカチに固くなっていた。あれではグリップ力などあるわけがない。溝のない古タイヤよりも危険なタイヤだったのだ。ゴムは使わずに置いておくと弾力がまるでなくなり、固い物質に変化する。しかも寒いこの時期だから路面との摩擦も極端に減った状態になっていたというわけ。それを履いた1100ccもの大型バイクだから、スリップの勢いも大きい。左折するとき、バイクを左に傾け、曲がりきる直前にアクセルを上げるのだけど、そのアクセルをふかした瞬間にスリップし、左にたたきつけられるように投げ出された。

何年も走らせていなかったから慎重に整備をしてダメな部品も取り替えて新たに車検を取ったばかりだったので安心していたけど、見た目ではわからないことだった。いい勉強になった。目

で、コンサートを終えてしばらくして
経過を診断に病院に行き、骨の状況を確認するためにまたCTを撮ったら、

なんと、なんと 肋骨 7箇所折れていたことが発覚! 叫び

医者も仰天して笑ってしまった。クラッカー

肋骨のCTはとても写りにくいらしい。目

「こんなんでよくも演奏したねえ。すごい精神力だ。これだと普通は絶対安静で動かせないよ。ヘタすると折れた骨が肺に刺さって重体になるところなんだから。」って。
知らなくてよかったあ・・・。ドクロ


家族や知人にその事故のことを説明しているのをいつのまにか聞いてしっかり理解しているらしく、次の日にはもうちっちの遊びのひとつに「パパのバイク事故ごっこ」なるものが加わっていた。それが細部にまで細かく正確に再現されていて、感心して笑わせてもらうのだけれど、痛くてかなわない。車のオモチャ(バイクのミニカーを持っていなかったため)と小さな人形を重ねて手で走らせ、「さて曲がろう、うわー、スリップしてしまった!バーン! すると人が来て救急車を呼びましたよ、警察もよびましたよ、って言ったの。そして救急車がきて病院に行ったの。胸のホネを折ってしまいました。痛いけどどうしたらいいんだ、って立ってたら、おかあさんがいつのまにか来ました。そしてくるまで運びました。ここは家です。カリンのテーブルに寝かせます。痛い痛い。(事実、ベットにも床に寝るのも苦痛だったので、とりあえず座敷の花梨のテーブルに横たわらされるしかなかった) バイクのタイヤが古すぎてカチコチになっていたからすべっちゃいました。なおさなきゃ。」 ・・・という具合にすべてがその通り! せっかくなまめかしくもいい表現をしているのに、ミニカーが違うのを僕は不憫に思い、自分の大事なスズキのカタナのミニカーを息子にあげた。そしたら大喜びで、お出かけのときにはよく持って出かけ、で、出先でもところかまわずしっかり再現してくれていた。合格


そんなことがついこの間のことのよう。
もちろんずいぶんよくなっている。肋骨だけでなく、なんだか肩甲骨もそうとうやられている感じだった。ただ、これはしかたないけどいまでも背中に違和感があり、左腕をあげるのもちょっと引きつる。普通の生活は問題なくできているのだけど、、、僕の場合普通じゃないこともいつも求めちゃうから(笑)。
ま、精神も(これは最初からですが)落ち込むこともまったくなくとても元気。ビックリマーク

  
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  SUZUKI カタナ


で、 事故からまだ一ヶ月もたたないころ、バイクの壊れた箇所を細かく観察して調べていたら、どんどんバイクモードになっちゃって、
ネットで、さらにかっこ良く直したり改造してくれるところとかを探しているうちに、
ついに、
別のバイク買っちゃいました。メラメラもちろんカタナも直しつつ。

それも古いバイク。高校の頃憧れた「HONDA CB 400 four」ビックリマーク

通称ヨンフォア

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ヨンフォア

これを新品同様にリビルトして販売しているショップを大阪に発見!僕は身動きできなかったから、友達に見に行ってもらって決めちゃった。バイク屋に行って現場から電話でやり取りして、
「確かにめっちゃきれいやけど、ほんまに決めてええの?責任かんじるなあ・・」といいながらもその友達も嬉しそうだった。(その嬉しそうなんが僕には嬉しかったけどね。ありがとう湯川さん)

   
いやあ、 バイクは 楽しい!

最近は、走りでちょっと守りに入っちゃっている自分が悔しい。前みたいになかなか攻めない。 
 でもそのぐらいにしておけってことなのかも。



・・・でも、それもいつまで続くか・・・・。


 ところで、そのヨンフォア、遅いんだよね。
400CCなのに原付みたい。こんなに加速が悪かったかなあ。
昔はこんなでもすごいと思ったのになあ。

これじゃあ攻めようにも瞬発力がなくて、かえって危ないから攻める気になれないよ。


昔と今のバイクのテクノロジーの違いはスゴイね。

 でもこいつはやっぱりイカしてるよ。 

   かっこいいぜ!



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  手前は最近仲間入りした60年代のトライアンフ


   ご・き・げ・ん


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