130年前の道後温泉改築落成式 | 松山兎月庵 文化歴史館

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野育ちなれど格高し・・・・

先週、愛媛新聞社某記者の協力を得て明治二十七年四月廿日の海南新聞の記事を複写してもらった。

市と町、国家の体制も大きく変わっており、参考になるかどうかは分からぬが道後に関わる者であればどうしても気になる記事である。


道後温泉改築落成式

明治二十七年四月十日火曜日


一、午前六時式場並飾 

第一號砲火煙を以てす。


一、午前八時神壇荘飾

第二號砲


一、午後一時来賓を三層楼に招し神式及上棟式を挙行す。

第三・第四號砲


一、午後二時層楼に来賓を招し茶菓を供し能楽を挙ぐ

第五・第六號砲


一、午後三時風詠舘に来賓者を招し酒饌を供す。

第七・第八號砲


一、午後六時終宴

第九・第十號砲       

( 明治二十七年四月十日海南新聞より)




十発の號砲なるものが如何なるものかは凡その想像はつくが道後十六谷に響き渡る豪快な音は曇りを散らし、晴天を衝く新たな時代への希望が込められていたと推察する。と、同様に本年7月の道後温泉本館保存改修落成の日もコロナ禍も政治の混乱も国際紛争も綺麗に吹き飛ばすような快挙であってほしいと心から願う。

再生儀礼の最たる温泉が人々に与えるポジティブは計り知れないものがあるが湯守たちにとっては尚更格別だろうと思われる。
平和産業のイロハのイでもある観光業に大いなる弥栄があることを祈念しながら、郷土史家としてさらに深い処の歴史ロマンを訪ねてみたいと思ってみたりする。

一般入浴料・五厘から700円、通貨的価値は大きく変わったが、人の期待や思いは何ら変わらず。
弥生時代を黎明とする文献伝承の歴史構造では群を抜いて日本最古の温泉地、そんな歴史的ブランドが次世代へも繋がれる事を心から願っている。