"将来を見通すには、優れた理論を利用する以外に方法はない。なぜなら、誰の目にも明らかなデータが手に入るのは過去のことに関してだけだからだ。"
イノベーションについての理論を説明し、イノベーションが起こるシグナルを見分ける方法をまとめています。
≪破壊的イノベーションの理論≫
破壊的イノベーションという概念を生み出した研究では、企業にとって持続的なものと、破壊的なものとを分類している。
既存企業は持続的イノベーションをほぼ確実にマスターするが、破壊的イノベーションには対処できない場合が多い。
破壊的なビジネスを立ち上げようとする企業が活躍できる機会は二種類ある。
無消費と競争して、まったく新しい市場をつくるか、市場のリーダー企業が上位市場に進出する際にできれば手放したいと考える、あまり要求の厳しくない顧客でも利益を上げられるビジネスモデルを採用して、市場のローエンドから攻撃を始めるかだ。
≪片づけるべき用事の理論≫
人々が本当にやり遂げたいと思っている用事を見きわめ、それをより簡単に片づけられる製品を開発できれば、従来型の市場調査では見つけられなかった新しい市場を発見できる。
既存製品ではうまく片づけられない用事を理解することによって、既存顧客を喜ばせ、無消費の状況にいる人たちを新規顧客として獲得できる。
≪非対称性はどのようにして破壊的な新規参入企業の原動力になるのか≫
破壊的イノベーションの環境では新規参入企業が勝つ。なぜなら、新規参入企業が非対称性を有利に活用できるからだ。
既存企業の強みは、裏を返せば弱みでもある。既存企業は、優れた製品を要求の厳しい顧客に提供する原動力である価値基準に阻まれて、新規市場を追求できない。
≪「下の下」をターゲットにする≫
ピラミッドの底辺は無消費者の宝庫だ。
一人当たり所得が相対的に高い国の人口は約10億人。これに対して一人当たり所得が相対的に低い国の人口は25億人以上いる。底辺に近づけば近づくほど無消費者の数と上位市場での成長余地は大きくなるのだ。
<感想>
単純に製品を良くしようと改善を続けていくのは、持続的イノベーションであり、既存企業が有利な立場にあります。
これに対して、一から市場を作り出すのは破壊的イノベーションで、新規参入企業が有利な立場にあります。
既在の大きな市場は、誰もが手にしたい果実です。
その果実を奪い合うために、製品の品質の向上に力を入れて、コストダウンに汗を流します。
そこでの戦いは、体力がモノをいうガチンコ勝負になります。
それに対して、今までに無い新しい市場は、大企業の目からは、取るに足らない規模で、場合によっては今まで築き上げてきた労力を捨てなければない、腐ったミカンのような旨みの無いモノに映ります。
そのために、魅力的に成長する新しい市場に参入するタイミングを逃してしまい、高みの見物をしていた大企業はいつの間にか追われる立場へと変わってしまっています。
自分の居た市場は小さくなるばかりで、新しい市場にとって代わられようとしているからです。
このようなストーリーは今までいくつも存在してきました。
大企業は、このようなことにならないように、新規市場に対するアンテナを敏感にし、
新規参入企業は、大企業ゆえに入らない市場を狙うことが大切です。
新しい市場の新しい顧客とは、無消費を当たり前に考えている顧客です。
片づけたい用事に対して、その顧客は、対応する製品を買うことができない、またはその製品が存在しないから無消費に甘んじています。
機能は限定的でいいから用事を片づけられる製品を安く作り出すことができれば、無消費だった顧客は喜んで使ってくれます。
新規参入企業にとって、ターゲットにすべきる顧客は、無消費を当然のように考えている、目には見えない顧客だと思います。
破壊的なイノベーションを起こすことができても、それが大企業にとって大きな果実に見えてしまってはいけません。
大企業にとって攻めにくく、新規企業にとっては攻めやすい非対称性を有利に扱うことが重要だと感じます。
-引用元-
『イノベーションの最終解』
クレイトン・M・クリステンセン 著
ISBN978-4-7981-3231-0