それまでの常識を打ち破り、
新たな時代を築き上げた
ファッション界の偉人「ジョルジオ・アルマーニ」

90歳を超えても、まだまだ現役だった。
彼の時代は終わらないんじゃないか?
そんな幻想を抱いていたよ。

でも、悲しいかな。
時代には必ず、変革期が来てしまうらしい。
世の常は、彼にとってもまた世の常だった。

昨晩の訃報がいまだに信じられない。

ジョルジオ・アルマーニは、
医学部に進学しているんだ。
しかしデザイナーとしての才能が開花。
1975年に設立したのが、
「ジョルジオ・アルマーニ」社だった。

「誰が来ても同じに見える!
自分らしい装いを妨げる元凶だ!」

クラシックなイタリアジャケットに疑問を抱き、
ジャケットの再構築をしたんだよな。
医学部だったことも功を奏しのか、
解剖学などあらゆる知識を集約することで、
誰もが自由に動けるジャケットを作ったんだ。

これが肩パットや芯地を使わない、
モードなジャケットの始まりだ。

細身のラペル。
大胆に絞ったウエスト。

瞬く間に世界中に広がっていったんだ。
保守的なクラシコ・イタリア派も
認めざるを得なかったんだから。
彼は確実に、一つの時代を創り上げたよな。

「身体を作ろう」
そう戸賀に思わせてくれたのも、
アルマーニのジャケットだったんだよ。
胸のラインの美しさに感動してね。



独立をする時、
記念に一張羅のタキシードを作った。

戸賀が選んだ答えは、
「GIORGIO ARMANI」だった。
揺るぎない、戸賀の最高傑作と言っていいだろう。

MEN'S EX編集長時代は、第一特集で、
アルマーニさんの自宅クローゼットまで
見せてもらったっけ。



10年間近く、
ミラノコレクションには年に2回、
必ず参加させてもらった。 

2004年?2005年?
フロント中央部がセレブ席だったんだけど、
なんと戸賀の席もその中に用意してくれていたんだ。
ただのフロントロウではない。

夢かと思ったよ。
隣の隣の隣はカールルイス!だった!
隣はコリアンスターのレインだった!

ケヴィンスペイシー!もいたかな。
目の前には、L.A.コンフィデンシャル。
リッキーマーティンもいたっけ。

スターがスターを取り囲んだこの景色は、
一生忘れないだろう。


特別に彼が乗っていた

ベントレーを見せてくれたこともあった。


もう会えないのかと思うと、悲しくてたまらない。
ブランド誕生から50周年の今年……

今まで、本当にありがとうございました。

時代は変わってしまうけれど、
あなたが築き上げた功績は、
確かに戸賀の心に、
そして全てのファッション関係者の心に残るでしょう。

あなたの功績に敬意を表しながら、
新しい時代を歩んでいきますね。
戸賀に「時代を創る」なんて大それたことはできないが、
共に歩むことはできると思います。

ご冥福を心よりお祈り申し上げます。