昨日、メルセデス・ベンツが良家顔、
山の手顔だと書いた。
Facebookで数人の方々からコメントもいただけた。
クルマメーカーには、
哲学からトレンドを生み出す力まで色々問われるが、
知的性能は作れても、
なかなか育ちのよさまでは、作れない。
似て非なるものだからだ。
でも、メルセデスは特別な存在だ。
昨晩、かなり遅い時間、
右手を上げて拾ったのは、
なんと最新型のメルセデスEのディーゼルだった。
個人タクシーは好きじゃないが、
メルセデスのタクなら乗りたい。
右手を下げなかった。
顔をみたので、Eとわかった。
が、乗客はケツはみることがない。
タクシーを降りてからだけだ。
が、乗ってなんとなく感じた。
ディーゼルか?
僕の門限も過ぎていたので、
道もすいていた。
運転手さんも結構スタートダッシュを決めていた。
あきらかにそのトルクは、図太かった。
ガソリンのそれではなかった。
ディーゼルでしょうか?
「はい、そうです」
やっぱり。
かすかに聞こえるディーゼル・エンジンの音。
それ以外は、
信号待ちでもとにかく静かだった。
後席からオドメーターがみえた。
13万kmをしっかり超えてる!
すげえ。
すみません、もう何年くらい乗られてるんですか?
ちょっと不思議な目がミラーに写って
「2年3ヶ月です」と。
1年に7万5000km以上走る計算だ。
深酒しててもわかった。
すごいっすね。
「僕は個タク始めて2年3ヶ月。
その間、土日は営業してないので、
週5ならその程度でしょう」
運転手さんも僕の質問の意図が読めたようだった。
どうですか、このE。
「Eだけにイイね(笑)」
それは面白くなかったが、
個人タクシーの運転手さんにしては、
丁寧な方だと思った。
「2年ちょい乗ってるけど、
それまで乗ってた国産車とは、
何が違うって、劣化がない!
納車したときのマンマだ!」
なるほど。
捨ててもいいまでは言わないが、
10万km超えたら、もう乗りたくはない気分だ。
乗ったことないけど。
それでも、このシャリっとパリっとした感じは、
異常とも思えるほどだった。
「税金のことあるからね、償却の。
だから、4年か5年しか乗らないね。
でも、もったいないよね」
本当にそう思えた。
写真撮ってもいいですか?
「Eだけにイイよ(笑)」
降りる頃にはノリノリな親父だった。
ミラノのタクシーでは100万Km超えに乗ったこともある。
それもメルセデスだった。
W124。
僕も乗ってた名車だ。
この間まで所有してたSLのベースでもある。
メルセデスは長く乗れる。
それこそがラグジュアリーの真髄。
そして、山の手顔できる。
この世界観だけは、
誰にも追従を許していないと思った。
道具は使えるから道具であり、
使えないものは道具じゃない。
道具はあまり好きな言葉じゃないけど、
尊敬できる言葉として贈りたい、メルセデスには。