戸賀敬城オフィシャルブログ「南青山で働くメンズクラブ編集長・戸賀敬城のお茶目な社交&お買い物日記」Powered by Ameba-20120916_193106.jpg

かあさん、ひさしぶりです。

おふくろは、羽田生まれ。
ぼちぼち裕福な家に生まれたんだと思う。
親父と結婚して、
親父の仕事の都合で、
綾瀬に引っ越してきた。
そこで僕は育った。

大学を出て、
世界文化社に入社した。
入社してちと経ってから家を出た。
僕はその頃、
おふくろと相性があまりよくなかった。
遊んでばかりいた僕と、
曲がったことが嫌いなおふくろと、
いつもけんかばかりだった。
そんな家を出たかった。
それから20年が経つ。

家を出て、
好きなだけ遊んで、
好きな買い物をして、幸せだった。
給料のすべてを使ってた。
が、30を過ぎて、
むなしさを感じるようになった。

買い物は楽しい。
服も腕時計も美容もクルマもバイクも、
ディナーもスキーもゴルフも、
人生を豊かにしてくれる。
今でもそう思ってる。
でも、それだけじゃいけない。

30も後半になっても、
けんかはまだ耐えなかったが、
おふくろのことを
ぼちぼち考えるようになった。
楽しい思い出くらいあるだろうけど、
親父が他界した後の、彼女の人生は?
と思うと苦しくなった。
かあさんは、何してるんだろう?
僕は、何してるんだろう?
そんなとき、メールは本当に便利だった。

こんな僕ですら、
月に一度は会うようになった。
自慢のおふくろじゃないし、
自慢の息子なわけがない。
でも、
旨い!って言ったり、
笑った顔をみるのが嬉しかった。

おふくろはモノを喜ばない。
だから、まず贈り物はしない。
初めてもらった給料で、
GUCCIのハンドバッグを買ってやった。
バンブーのついてるそれを。
20年以上前の話だ。
今までで、たぶん2回しか使ってない。
箱に入れたまま、しまったままだ。
ルイ・ヴィトンのバッグも買ってやった。
これは使ってる、かなり。
渡すときに開封して
「僕のお古だから」と嘘をついて贈った。
見事にだまされてる(笑)
それくらい執着しない、モノには。

なぜこんな僕が生まれたんだろう。
他界している親父の血だ。
おふくろにもよくいわれる。
親父は遊び人だった。
おふくろを悲しませたろう親父を
親父が死んだ後に知った。
いや、なんとなくわかってた。
子供ながらに、
わからないふりをしていたのかもしれない。

親父は、
服も腕時計も美容もクルマもバイクも、
好きだった。
まあ田舎もんだったんだけど。
悪いとこが似てしまった。

おふくろとは、
顔が似てるとよくいわれる。
それもあんまり嬉しくない。
が、仕方ない。

おふくろの喜ぶ顔、
満足してる顔は、見てて嬉しい。
喜ぶ顔をみてると、
もっと喜ばせたいと思うようになった。
僕もジジイに近づいてる証拠だ。

もっと喜ばせたいが、
もっといい店に行ったりすると、
あまり食べなくなってしまう。
焼肉屋にいっても、
キムチばっかり食べたりする。
それは悲しいので、
おふくろの気に入った店にしか
まずいかない。

結局今夜も、外食は断られた。
「作る!」といって聞かなかった。

おふくろを喜ばせる方法はいくつかある。
わかってる。

とりあえず、
旅行に連れていこうと思ってる。
かあさんと二人でいったホノルル、
5泊7日の旅。
あれ以来、二人で旅をしていない。
毎晩怒鳴られた(笑)
ロスにも行ったし、ラスベガスにも行った。
でも、親子で旅は、
6年前のハワイ以来、してない。
いまなら三人で、か。
どこに行こうか。
そんな相談したらまた行かないと
言うかもしれないので、
妻とこっそり決めてみよう。
食卓で、僕の好物、
たらこに胡麻油、ネギを入れたそれと、
金目鯛の煮付けをみて思った。


「貯金しなさいよ」
「マイレージはあるのよね」
帰りのBMW328iで、妻に言われた。

そんなことはわかってる。
企画してやる。
わかってる。