かれに痛みはないのか
 
春が来て、眠りから覚めるまで
 
かれに痛みはないのか
 
それとも知りながら、声を失っているのか
 
黒い裂けめと切り取られた枝
これほどまでに傷ついても
 
かれは眠っている
 
小川の片隅でじっとして、
 
鳥の鳴く声と雪の音を聴きながら
 
かれは眠っている