考察:スカイキングの折り重ねに関して | 十枝とえん の「折り紙飛行機」

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戸田先生の名作「スカイキング」に関してです。

 

この機体、紙が折り重なる部分は翼の下側ですが、これを逆にして、上側にしたらどうだろうと思い、折ってみたら意外に良いのでは?と感じました。

 

折り重ねを上にすること自体、ネットで検索すると、他の方達がすでに紹介しているので、特に新しいことではないのですが、私なりの考察を記載しようと思います。

 

 

ここでは、説明をわかりやすくするため、普通に折った機体を「通常」、折り重ね部分を逆にしたものを「リバース」と名付けます。

 

下図でいうと、左が通常、右がリバース

 

 

以下、リバースのメリットを書こうと思うのですが、前提として、「折り紙飛行機の初心者にとって」のメリットを記載します。

 

中級者以上であれば、どんな機体でも折り方や調整をうまくできるので、メリットと感じない可能性があります。

あとは、私ごときの考察ですので、間違っているかもしれません。参考程度に読んでいただけると幸いです。

 

 

<リバースのメリット>

その1:翼がヨレにくい

折り進めていくと、後半に翼を折る工程があります。

そのときに「通常」だと内側に紙がよるのに対して、「リバース」だと、引っ張られる方向になります。

 

下図は「通常」。翼を折るときに翼の重なっている部分は、内側の方向に押し込まれる形になり、寄れやすくなります。(しわができています)

 

 

一方、「リバース」の場合は、翼を折るときに、重なり部分は引っ張られる方向になるので、ヨレにくくなります。

 

Tシャツとかもそうですが、ヨレを直すには引っ張るので、そういう点で、リバースの方がヨレにくいと考えます。

もちろん、中級者以上であれば、折り方の工夫でカバーできると思いますが、初心者であれば、リバースの方がヨレにくいのではと考えます。

 

 

その2:T字を維持しやすい

滞空しているときは、空気の抗力によって、機体はY字型になる傾向があります。ここで、T字を維持したいと思うのであれば、リバースの方が優位かと。

 

赤枠に注目してほしいのですが、両翼の重なりの多い部分がぶつかることで、Y字になりにくいと考えます。

 

試しに「通常」と「リバース」を、翼の下から指で押してみて、反発力を比べてみたのですが、リバースの方が固かったです。

 

 

その3:先端が破けにくい(厚めの紙の場合限定)

最近、私のメインの紙種が坪量80gsmのせいでもあるのですが、厚い紙だと折ってる途中で紙が破れることがあります。スカイキングでいうと、頭の先端部分が破けやすいです。

ところが、リバースにすると、下図のように先端の重なりが減るので、破けにくくなります。

 

 

 

<リバースのデメリット>

メリットを3点書きましたが、やはりトレードオフがあります。

デメリットについても考察してみます。

 

デメリット1:空気抵抗が大きい

空気抵抗が大きいと、真上に高く飛ばすときに不利になります。

抵抗が大きくなる箇所は、まずは「その3」で記載した頭の部分ですね。

リバースの場合、重ね部分の段差ができます。通常に比べると空気抵抗を受けやすいと思います。

 

あとは、胴体が開きやすい。

下図の右側がリバースですが、重ね部分を胴体で挟み込む形(オレンジ枠)になるので、胴体が開きやすいです。これは高く飛ばすときには空気抵抗になり不利になると思います。

 

 

デメリット2:フックがなくなる

個人的にこれは微差かなぁとは思いつつ、無視できないとも思ったので、記載します。

下図は「通常」ですが、紙の重なりの段差に親指が引っかかってますよね?つまり、この段差が飛ばすときのフックとなりえるのではと。

フックがあるかないかでは、飛ばすときの力の伝わり方が違うのではと思いました。

リバースだとこのフックがなくなるので、真上に飛ばす際に高さを出すには不利に働くかもしれません。

 

 

以上、折り重ねについて考察してみました。

 

 

今回は、通常とリバースの2種について比較しましたが、下図のように、ハーフ&ハーフというスタイルもあります。

 

さらに言うと、戸田先生の作品には、「ミッドキング」シリーズという、スカイキングベースの派生作品があります。翼の上下に重なりを作っているのが特徴です。

 

 

いろいろ試して、自分にあうスタイルを探ってみるのが楽しいと思いますね。

デザインの点で考えると、私は「通常」が一番好きです照れ

 

 

※2023/12/22追記

2023/12/21の読売新聞の夕刊に、戸田先生のインタビューが載っており、「折り重ね」について少し言及されていました。興味のある方は手に入れて読んでみてください。(まだ市販されて間もないので、内容は記載できません。)