僕の名前は、脇ノ下亜斗夢(わきのした あとむ)。高校3年生で、都内の高校に通っている。僕はサッカー部に所属しているのだが、チームメイトに少し変わった奴がいる。彼の名は、浦名翔平(うらな しょうへい)。彼とは高1の仮入部の時に初めて出会って以来の付き合いだ。そんな彼と共に過ごす高校生活の中で、僕は一生忘れないであろう経験をすることになる。


高1の5月、仮入部期間が始まり、僕は緊張と不安と不安と不安、それに加えて不安までもが入り混じり、胸がいっぱい、いやそれどころかおっぱいになってグラウンドに向かった。グラウンドに降りると、先輩達が練習前にフリーキックなどをして遊んでいた。グラウンドの隅に目をやると、1年のゼッケンをつけた体操服を着た、インテリチックな生徒がサッカーボールの白の部分を1つ1つマッキーで黒く塗りながら座っていた。
「マッキー派?僕はポスカ派かな」僕は彼に話しかけた。「僕はポスカよりもホワイトアスパラガスの卵とじの方が好きだよ」彼はそう言った。「初めまして、脇ノ下 亜斗夢です。」僕がそう言うと、彼は、「浦名 翔平です。よろしくね。」と言った。「浦名翔平?なんて珍しい名前なんだ…」と僕は思った。人生ではじめてこんな珍しい名前の人を見たことによる驚きに頭が真っ白になりそうになりつつも、その珍しい名前が少し羨ましくも感じた。


そんな浦名に変化が訪れたのは、高3の4月であった。彼は誕生日が4月3日と、僕の周りの中では誰よりも早い。新学期が始まり、新しいクラスにワクワクする反面、腕がパチョリとするというか、肩がゲベっとする、いや、股間がチュペンとするような感覚に襲われながらも、僕は学校へと向かっていた。まさにあの時の僕は、ことわざで現すならば、「九州男児の左乳首」がふさわしいだろう。学校に着くと、下駄箱の前で浦名がいた。「おはよう浦名!」そう浦名に挨拶をして靴を脱ぐために下に視線を向けた時だった。目の前に衝撃のものが見えた。なんと、浦名の制服の尻の部分が丸く切り取られていた。切られた端は立派に返し縫いがされていた。浦名はパンツも履いていなかったため、浦名のズボンからは尻が丸出しになっていた。しかも、浦名の肛門からは1本のローソクが出ており、その周りには生クリームが少し付いていた。誕生日だったからなのだろうか。僕は驚きのあまり頭が真っ白になり、その日の記憶がそれ以降何も無い。僕のその時の様子はことわざで言うと、「耳のよちよち歩き」のような状態であったに違いない。


それからというものの、浦名は毎日、尻を出し続けた。雨の日も、風の日も。しかし冬至の日だけは、右尻に貼るカイロを貼っていた。また、ハロウィンの時には、尻にカボチャのペイントをしてきた。1番困ったのは、体育の時間だ。授業の初めに準備体操の一環で腕立て伏せがあるのだが、浦名は僕の前だった。腕立て伏せをしている間、彼の切り取りられた体操服から露わになった尻が目の前にあった。その時に思ったが、やけに肛門が綺麗だった。伊達に尻を出している訳ではないのだな、と思った。


浦名が尻を出してから2か月、季節は梅雨といっていい時期だった。浦名は毎朝登校してくると、しきりに降る雨に尻が濡れて輝いていた。雨上がりには尻に虹が出ていることもあった。梅雨に見るべきものは、花の朝顔、浦名の朝尻なのではないかとさえ思った。そんなある日、我慢できなくなった僕は、ついに禁断の質問をしてしまった。
「な、なあ浦名、、ず、ずっと気になってたんだけどさ、お前ど、どうして、あの、、急に尻出し始めたんだ…?」
僕は緊張のあまりカミカミだった。あの時の僕はことわざで言うならば、「乳輪のかかと落とし」状態であっただろう。少しの間2人の間に沈黙が流れたあと、浦名は重い口を開いた。
「僕の家では、18歳を超えると尻を出さないといけないんだ。」
僕は動揺が隠せなかった。動揺しすぎて右乳首を出して浦名の口の前に持っていったが、浦名はそれを拒んでこう言った。
「嘘だと思うなら、放課後僕の家においでよ。」
断るに断れなかった僕は、放課後浦名に案内されて家へお邪魔することになった。


浦名家へ着いた頃、辺りは暗かった。浦名家へは学校から竹馬で45分と少し遠かったが、竹馬に乗る浦名、いや尻の後ろ姿には胸を動かされるものがあった。浦名家は三階建ての一軒家だった。家に入るとすぐ、浦名の母親が階段で一階に降りてきた。「あら、こんばんは。お友達かしら?翔平がお友達を連れてくるなんて、珍しいわね」その後だった。それを言って再び階段を上がる浦名の母親の後ろ姿を見て僕は度肝を抜かれた。尻が丸出しだったのだ。浦名の言ったことは本当だった。浦名は家にあがるとまず、洗面所へと向かった。普通の家では手洗いうがいであるが、どうやら浦名家では手洗い尻洗いうがいらしい。手を洗ったあとに尻を洗っていた。特に肛門を入念に洗っていた。僕も右尻をスポンジでこすってあげた。その日は結局浦名の家族全員と会ったが、父親、母親、2人の兄と、10歳の妹を除く全員が尻を出していた。驚いたことに、全員肛門を中心にとても綺麗だった。


夏休みになり、とうとう僕たちが所属しているサッカー部も引退の時期が迫ってきた。毎日サッカーの練習に励んだ。僕はミドルシュートが得意だった。対する浦名は、味方からのロングパスを尻でトラップすることを得意としていた。僕たちはあまり強いチームではなかったため、引退がかかったリーグで一勝もできないまま、負ければ引退という試合がやってきてしまった。試合は後半を終えた時点で0-0。勝負はPK戦へともつれこんだ。3人目までが蹴り終えた段階で、まだ勝負はつかず、4人目になった。相手選手は華麗に右方向へゴールを決めた。こっちのチームのキッカーは浦名だった
「頼む浦名…入れてくれ…。」
浦名が蹴る位置へ行く間、僕は目を閉じて頭の中で祈った。浦名が蹴る位置にたどり着いたところで、僕は目を開けた。と、同時に視界に驚くべきものが映った。
浦名の背番号の上に書かれたアルファベットである。
「URANA」
これを右から読んだ瞬間、僕は目の前が真っ白になった。試合結果がどうなったのかは、全く覚えていない。
著者 尾田謙真 
「青春の1ページ」より