「俺海ノ横大学に行きたい」

希望の進路を両親に告げた。両親は

「あんたの行きたい道に進んだらええ」
「お前のサポートなら俺たちなんぼでもする」

この一言で俺は決めた、絶対に海大に行くと。
ここから猛烈な地獄のような勉強漬けの毎日が始まった。
早朝の1人オセロに始まり、歯磨き、スクワット、長座体前屈、めざましじゃんけん、高校に行く電車の中では三点支持倒立、授業中も名門海大に行くということもあり、女教師からの居残り特別授業「学校でやっちゃおII」を受けた、学校後にはもちろん塾に行く。名門塾「指紋」では主に数字の2の美しい書き方を学んだ。家に帰るともうくたくただ。

俺は海大行けるのか?自問自答の毎日だった…


俺には小学校からの親友がいる、その名も国立 号瑠、読み方はコクリツではなくクニタチ、クニタチ ゴウル、名前からわかる通り彼は野球をしていた、小学校3年の時に地元の少年野球チームで出会いそこからの親友だ、別々の小学校だったのだが2つの小学校から集まる中学校では3年間同じクラスでもちろん卓球部に共に入りピン球を追った、そして高校は別々の道に進んだ、卓球に限界を感じた俺は勉強ができたということもあり進学校へ、お世辞にも勉強はできなかった号瑠はスポーツ推薦で地元のバスケの名門校大阪豆腐イソブラボン、略して豆インに進んだ、号瑠は寮生活になり会うことは少なくなった。そんな号瑠が夏休みに帰ってくるということになり地元のラブホテル「松屋」で会うことになった。

「おっ、号瑠久しぶり!お前痩せたな〜」
「言ってなかったけど俺バスケやったことないのにバスケ部入ったのは知ってるよな?実はバスケ部を3日で事実上辞めさせられたんだ…バスケ経験のない俺は、先生にお前の身長(160cm)と体重(102キロ)を生かせるのは陸上部じゃないかって言われて陸上部に入ったんだ、そしたら顧問に痩せるまで大会には出さないと言われて猛練習の末40キロの減量に成功したんだけどカラダが持たなくてね…靭帯がやられて…高2の秋から相撲部に転部したんだ…けど60キロじゃ吹き飛ばされまくりで…最終英語部だったんだ俺…英検4級を取れなかったのが唯一の実績かな…そんなことはもう終わったことだし良いんだお前進路どうすんの?俺は関西体育大学で水泳やろうと思ってる」
「俺は海大に行く」
「海大って国立だよな、やっぱりお前はすげえな、けどなんで東の都大学や京の都大学、福岡タオル振り回しエンジョイユニバーシティを狙わないんだ?お前ならいけるだろ?」
「いけるよ、ただ魅力がなくてね…」
「魅力?あの三大大学に入ったら人生勝ち組だぜ?魅力しかねえじゃねえか」
「俺…海にいるビキニのお姉さんが見たいんだ…海ノ横大学ならビキニのお姉さんをあの三大大学より見れる」
「ビキニか…スク水じゃないのか?」
「俺はビキニが見たい、絶対あそこ以外受けないよ」
号瑠はその時ふと中学時代のことを思い出した、こいつ水泳のサポーターよく忘れてたよな…


時は流れ受験の日…センター試験の結果も良かった俺は前橋でテストを受ける時がきた…
前橋には車で行った、受験勉強そっちのけで習得した自動車運転免許があったからだ。ETCのところに間違えて遊戯王カードのオシリスの天空竜を入れていてレバーを破壊したハプニングや、CDと間違えてDJを持ち込みビートを刻みながら運転してしまい事故寸前にいくことは何回もあった…それを乗り越え前橋についていた。
テスト会場に着くとそこは独特の雰囲気だった、「セリヌンティウスの右肘」と廊下でラジオ体操第一をしながら叫ぶもの、カップラーメンのフタで糸電話を作っているもの、ソフトクリームオンデマンド社から発売されている「大人の赤本」を読んでいるものなど海大に入るんだ思いがひしひしと伝わってきた。
テストは順調に進み、残すは地歴のみだった。海大の合格とビキニのお姉さんが見えてきた、ウキウキの俺はポンポンと問題を解いていった、そこにこんな問題があった。

Qこの4つの県の中から海のない県を選びなさい。
a.神奈川県 b群馬県 c兵庫県 d高知県

俺はすかさず正解はBの群馬県とマークシートに記入した、群馬県?県庁所在地は前橋市、そんなこと誰でも知ってるよ!知ってるよ…知ってるよ…


著者 丸山貴也
「海」より