カーテンの隙間からの強い日差しで目が覚めた。外には綺麗な虹が放物線を描いている。恐らく連日続いていた雨もあり、七色に輝いているのであろう。昨日は少し飲み過ぎた、体が凄く重たい。重たいというよりは、生死を分けたリンボーダンスとでも言っておこうか。今日は仕事も休み、久々の休日なのに体が勝手にグリコのポーズをしていた。仕事に行く前の癖が出てしまっている。「タランチュラフェスティバル!」寝室からの声に、またかとため息を吐いて、最愛の彼女の元へ駆け寄った。
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「タン、タ、タンのリズムに合わせて!」お昼の情報番組が始まった。二日酔いが抜けないまま休日を満喫していた。リアルタイムでこの番組観れるというのは休日ならではである。小さい頃はよく観ていたなぁと昔を思い出して少し愛液が漏れた。私の名前は田淵洋介(たぶち ようすけ)そこそこの大学を卒業したものの、今は営業マンとして日々駆け回っている。10月だというのに残暑というやつか、暑さがハンパではない。日々走り回りながら、汗を流して足が棒になるくらいだ。棒というか、なんというか、そうだなぁ。陥没乳首だ。休日だからいいかと、冷蔵庫からキンキンに冷えた缶ビールを出した。おもむろにポテトチップスを開け、だらしない休日がスタートした。「観光バスで行かせて!行かせてよ!」寝室から愛しの彼女が呼んでいる。静かに扉を開けて駆け寄った。
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昼の1時になろうかというときに、店は一層賑わってきた。スーツを着たサラリーマンばかりだが、この時間帯はいつも満員だ。流石立ち食いパフェだな、いつの時代からか、サラリーマンのお昼といえばこれが定番になった。「警部!ここのスペアリブうまいっすね!」立ち食いパフェ屋でスペアリブを頼んでいた部下に、あまりにも腹が立った。おもむろに南南東ストレートを右頬にかましてやった。昼飯も食べ終わり、仕事に戻った。「警部!どうします?もぅ逮捕いっちゃいますか?我慢できないっすもん!」靴下とネクタイ以外身に付けていないこいつを逮捕しようかと思ったが、我慢し一喝してやった。こんな街中で捜査内容をベラベラ喋りやがって。でも、警部!警部!と私を慕ってくれるものだから、部下の中でも一番可愛がっている。どこか私の若い頃に似ているな。そう感じながら、唯一身に付けている腰にぶら下げたネクタイを引き締めて気合を入れた。
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すみません。失礼します。今日で何件断られたのだろうか。そんなことを考えると憂鬱になってしまう。我が社は中小企業ではあるが、トップクラスの便器屋さんだ。中古の便器を主に売っている。というより、中古の便器しか置いていないし売っていない、もちろん中古の便器専門で買い取りを行っている。早く帰って彼女に会いたい。それをガソリンにして、営業を続けた。
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今日はえらく悶々としている。冬の寒さとは裏腹に、この悶々とした気持ちを抑えきれない。どうしようかな。おもむろにパソコンを開いて「デリバリーヘルス 若い 巨乳 ナビタイム」と検索を始めた。「90分420円!激安巨乳王国!」「40分からOK!若武者時代!」「貧乳!美乳!巨乳!爆乳!美巨乳!なんでもそろいます!ヌルヌル倉庫!」「目的地まで...時間ピッたし!!」と色々なサイトが出ててきた。どれにしようか、ただあまり経験がないものだから相場がわからない。すると、その中にひとつ「デリバリードール」興味深いなぁ。二度クリックをして、心を躍らせながら左ふくらはぎをもぎ取った。
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「警部!もういっちゃいましょうよ!自分我慢できないっす!聞き込みあきたっす!」あきたと言いながらも愛液を垂らすこいつは、ふしだらで仕方がない。ホシの隣人に聞き込みをしていると、中々興味深い話が出てきた。「隣の人、仕事なのかなんなのかわからないけど、朝は早くに出て行きますよ。あと最近私マジック覚えました。」年の頃でいうと80は超えていそうなマダムが、自慢気にマジックを披露してくれたが、手の平からいきなり軽自動車を出しただけで、全く驚かなかった。周りの家からしらみ潰しに聞き込みをして、かなりの情報を得た。あとはホシの核心を突き止めるだけだ。やはりコンビニスイーツもあなどれんな。そう感じて、調査を続けた。
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日が暮れて小雨が降り出した。折り畳み傘を忘れてしまって、少し濡れながら家路を急いだ。基本的に彼女は料理ができないため、いつも出来合いの物を買って帰る。今日は何にしようか。Motto motto弁当で選んでいた。
家に帰ると「お豆腐パンナコッタ!」お腹を空かせた彼女の元へ、弁当を持って寝室へと入っていった。
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起立!礼!只ならぬ緊張感が20人の警察官を奮い立たせる。今日!6時30分!ホシ宅にて突入を開始する!等々この日がやってきた!くれぐれもこの中から死者が出ないように!突入は私とこいつで行く!援護頼んだぞ!「警部。今日いっちゃうんすか?やめましょうよぉ。なんか腹痛くなってきました。帰っていいすか?」こいつってやつは、仕方なく可愛いな。初めての経験だからな。私はこいつに期待してる分コンビでやって、突入しようと決めたのだ。ただ帰りたいと言い出したので、とりあえず陰部を出して二人で暴れた。よし!いつも以上に腰にぶら下げたネクタイを引き締め、20人の精鋭で現場へ向かった。
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恐らく雨も上がったのだろう、カーテンの隙間から日が射している。コーヒーを飲もうとやかんでお湯を沸かし出した時だった。「ピーンポーン」誰だろうこの時間に。インターフォンを出ると「田淵洋介さんのお宅ですか?」聞きなれない男の声だった。「警察です。ドアを開けてください。開けてください。開けろ!ガチャ」鍵をかけるのを忘れていたため、無理矢理二人の男が入ってきた。一人は裸に靴下とネクタイだけを身につけた男と、もう一人は裸に腰からネクタイを引き締めた男だ。なんなんだこいつらは?考える余裕もないまま馬乗りの状態にされ、取り押さえられた。「午前6時43分!女性監禁の容疑で逮捕する!」何のことかわからないまま裸の男二人に連れられて、車へと乗せられた。
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田淵洋介をパトカーに乗せて室内を捜索した。おかしいぞ、監禁しているはずだった女の姿がない。どうなってるんだ。そして寝室へと入ったその時だ、一人の女が横たわっていた。「大丈夫か!わかるか!」目を開けているのに返事がない。まてよ、こっ、これは!!
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取り調べも一通り終わり、手錠を外してもらえる様になった。あまりの嬉しさに愛液がだだ漏れになっていたが、女性警官に掃除をしてもらったので綺麗になった。あれは去年の冬の事だったか、えらく悶々としていた私は「デリバリードール」というものを頼んだ。これはとても精巧に出来ていて、本当の人間と間違えてしまうくらいの肌質とスタイル抜群の女体だ。性器の感触も人間の女体と変わりやしない。ただいつのまにかそのドールと暮らしているうちに、変な幻覚を見ていたのだろう。会話もしていたし、当然性行為も、時には一緒にババ抜きやジジ抜き、あやとりをしながら足の臭いを嗅ぎあうときもあった。でも今回の件でわかった、性欲のみで行動するのはほどほどにしないといけないんだと。警察署から少し散歩して帰ることにした。公園の川沿いを歩いていると、前から体にフィットしているウェアーを着た女性がランニングをしている。携帯で「デリバリー 女体」と調べて空を見上げた。雨上がりの昼空に、放物線を描いた綺麗な七色が空を彩っていた。
著者 覚野元気
「女体」より