《「考えて〇〇する」という力をつけているか》

9.10歳ごろから子どもは、具体的思考から抽象的思考への離陸・飛行が始まります。

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 内面的な思考が生まれてきます。「考えて〇〇する」

 書くときも「考えて書くことができる」ようになります。

 具体的な事柄を言葉に置き換えてものを考えられるようになります。

抽象的思考とは「抽象的に考えること」

「抽象的」とは、「事物の共通点に着目し、一般的な概念でとらえること」です。そして、その考え方を「抽象的思考」といいます。簡単にいうと、ざっくりと大きなまとまりで考えるということです。

具体的思考との違い

抽象的と対になる言葉が「具体的」です。具体的思考は、抽象的思考の反対になります。「犬」を表現するときを例に挙げてみましょう。「チワワ、トイプードル、近所のポチ」と表現するのは具体的です。「4本足で歩く動物、哺乳類」と表現するのは抽象的です。

つまり、具体的思考はより狭く分解して考えること。抽象的思考は、より広く大きなまとまりで考えることを指します。

抽象的思考力はどんなときに役立つ?

抽象的思考ができる能力のことを、抽象的思考力といいます。実際にどんなメリットがあるのか見てみましょう。

実態のないものが理解できる

抽象的思考力があると、実体のないものを理解したり、イメージしたりすることができます。たとえば「割合」は、割合そのものが実際に存在するわけではありません。「200円は1,000円の2割である」ということを理解するには、頭の中で「2割」の意味を理解し、それをイメージして自分の中に感覚的に取り込む必要があります。そのために必要なのが、抽象的思考力なのです。

また、抽象的思考力の発達によって、実際に自分の目で見たり体験したりしなくても、ニュースや本などで得た情報から広い世界を認識したり、説明を聞いてその事象を具体的にイメージしたりできるようになります。

応用力が身に付く

抽象的思考力があると、応用力が高まります。先ほどの割合で考えてみましょう。割合は、算数の授業で習いますよね。しかし実際には、理科や社会、日常生活の中など、さまざまな場面で使われるものです。抽象的思考力があれば、「算数」とはかけ離れた場所であっても、割合を応用することができます。

「あれと同じだから、こっちにも使えるんじゃないか」と柔軟に考えられるのは、抽象的思考があるからこそなのです。

発想力が豊かになる

抽象的というのは、捉え方によってはどこまでも広くなります。「犬」と「テレビ」という一見関係のないものも、「地球上のもの」のように大きくまとめられますよね。つまり、枠にはまらない斬新なアイデアが浮かぶ可能性があるということです。

具体的思考で止まっていると、狭い枠の中でしか物事を考えられなくなってしまいます。新しいものを生み出すには、抽象的思考が必要なのです。

説明が上手になる

人に何かを説明するときに、「つまり……」とまとめて話すのはまさに抽象的思考。抽象的思考力があれば、わかりやすく簡潔に説明できるようになります。

また、具体例を話したいときにも一度抽象化する必要があります。たとえば、卓球を知らない人にわかりやすく説明しようとする場合、「テーブルで行うテニスみたいなもの」と伝えることができますよね。これは、テニスも卓球も「ネットを挟んでラケットで打つ競技」と広く捉えられているからこそできる説明です。

まとめるのにも具体的に話すのにも、抽象的思考は必要なのです

 

自分なりの予想や仮設をもつことができるようになります。

「こうしたらこうなるんじゃないか」「こうして、ああして、こうなる」というふうにいろいろな場面で自分の思考をくぐりぬけて行動することができるようになります。

言いたいことを考えて、まとめて話す。構図を決めてから描く。反省して次の計画をたてる。理由や根拠をあげて意見を言う。

このように抽象的思考ができるようになると「考えて〇〇する」という行動ができるようになるのです。

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そのためには 大人があれこれとすぐに指図したり、指示したりするのでなく、こども自身に考えさせる「間」を置くことが大切です。 すぐに答えや結論を与えない。間違った答えや個性的な発言を大事にする。ささいなことでもこどもたちの疑問を大切にするなどの大人の接し方が大切です。

子ども達が迷ったり、葛藤したりしながら考え選んでいく「間」を与えてやれない「間抜け」の教育、子育てになっていないでしょうか。 

いまの先生たちは忙しすぎて、そういう「間合い」がなかなかとれないと思います。

たとえば、クラスで「学級会」でいろんな問題を話し合って、どうすればその問題を解決するために取り組んでいくのか。

今のクラスはどんな課題があるのか。それを考えよう。

 

子ども達のなかでトラブルやけんかがおこったとき、ていねいに事情を聴いて、「何が原因だったのか」「どういうやりとりがけんかやトラブルにつながったのか」

そういうていねいさとすぐに怒ってあやまって事をおさめるのでなくそういう「間」が大切なのです。

 

間合いは「真愛」ほんとうの愛ーこどもたちをほんとうの意味で大切にすることです。