佐高信 高世 仁 共著 旬報社
高世 中村さんが非常に説得力があるのは、「平和」を理念やイデオロギーで言っているじゃなくて、目の前にいる
農民を実際に助けてるわけですよね。食えない人を食えるようにしている。
一人一人のいのちを守ることを実践している彼から見て、この状況で空から爆弾を落とすというのは、もうテロリスト
だと。本当に生活の目線から言っているから説得力があるのです。
「ナカムラ公園」 夜はライトアップまでタリバンは偶像崇拝してはいけないのに、特定の人の肖像画飾られるという
とてもまれなケースなんです。
民族や文化、宗教の違いを越えて、人が人であるかぎり共有できる「本当に必要なもの」をみつけていく、人類が生き延びる道はそこしかないと中村医師は訴える。
中村医師は、アフガニスタンに世界の矛盾が集中していると考えていた。
一つは地球温暖化と気候変動で、もっとも深刻に人命にかかわる危機が現れたのが中央アジア、特にアフガニスタンの大干ばつだったという。
もう一つは、グローバリズムという名のもとに、世界中で進行する「近代化」と、近代とは対極にある伝統社会との軋轢である。
中村医師は、これを戦争の元凶と見ていた。グローバリズムとそれに抵抗する伝統社会が衝突する最前線がアフガニスタンだった。
グローバリズムとは峡谷の経済システムが延命するための方便であり、推進する当人たちも制御できない。高度資本制しゃかいの膨張の帰結とみることができる。EC諸国や日本がアメリカによる報復戦争に反対することができずに消極的にでも協力せざるを得なかった背景には、世界金融資本の牙城を守らねば、自国の経済もたちゆかぬ事情があったからである。
よく若い人たちなんかに「じゃあ、私たち、何かやれるこでしょうか」って聞かれるそうです。
その時いうのが「一隅を照らす」これが中村さんの座右の銘。
国際貢献とか世界平和とかおおきなことを考えなくていい。地球の片隅、あなた方の身の回りから、あなた方が精いっぱい努力するってことをやればいいんだと。
荒野に希望の灯をともす
ある女子高生「信頼できない大人ばかりみてきたけど、こんなにも信頼できる大人がいたんですね」
中村さん 若者へのアドバイスで「犬も歩けば棒にあたる」と言うそうです。
若いんだから失敗をおそれず何かをやっていけば、そこでまたご縁がつながっていくと。