袴田事件第二次再審請求審特別抗告審で

 

最高裁第三小法廷は、

 

本日(2020年12月23日)

 

静岡地裁の再審開始決定(原原決定)を取り消して再審請求を棄却した東京高裁決定(原決定)を取り消して

 

審理を東京高裁に差し戻す決定を下しました!!

 

多数意見は、ようするに

 

静岡地裁再審開始決定が再審の根拠としたDNA鑑定の信用性を否定した原決定(東京高裁)の判断は是認したものの

 

五点の衣類の色に関する静岡地裁決定の判断を否定した原決定(東京高裁)の判断は

 

推論過程に疑問があったり、専門的知見をふまえた判断ではないから審理不尽の違法があるとして

 

「上記の違法が決定に影響を及ぼすことは明らかであり、原決定を取り消さなければ著しく正義に反するというべきである。」

 

として

 

東京高裁決定(原決定)を取り消して、審理を東京高裁に差し戻しました。

 

これによって、審理は、東京高裁に舞台を移して、主に上記の五点の衣類の色の問題、

 

つまり、味噌タンクから発見された血液付着の五点の衣類の色調が1年4か月も味噌漬けにされたものといえるのかどうか

 

が、専門的知見をふまえて審理判断されることになります。

 

この決定には、戸倉三郎、宮崎裕子裁判官の補足意見があるほか

 

東京高裁に差し戻すことなく、再審開始決定を確定して再審を開始せよ

 

とする林景一裁判官、宇賀克也裁判官による「反対意見」があります。

 

林、宇賀反対意見は下記のように「結論」づけています。

 

「多数意見は、本田鑑定の信用性を認めなかった原決定の判断を是認しつつも、5点の衣類に付着した血痕の色合いについて、メイラード反応の影響等に関する審理が不十分であるとして原決定を取り消し、この点についての審理を尽くさせるため原裁判所に差し戻すこととした。多数意見は、原決定を取り消すという限りでは、私たちの考え方と方向性を同じくするところがある。しかしながら、私たちは、多数意見を一歩進めて、みそ漬け実験報告書は、確定判決の有罪認定に合理的な疑いを生じさせる新証拠であり、また、多数意見と異なり、本田鑑定についても、再審を開始すべき合理的な疑いを生じさせる新証拠であると考える。そして、私たちは、確定審におけるその他の証拠をも総合して再審を開始するとした原々決定は、その根幹部分と結論において是認できると考える。このような理由から、単にメイラード反応の影響等について審理するためだけに原裁判所に差し戻して更に時間をかけることになる多数意見には反対せざるを得ないのである。」

 

袴田さんに残された時間は、わずかであり、最高裁の裁判官のうち二人の裁判官が、明確に確定判決の事実認定に合理的疑いがあると認めているわけですから、反対意見のいうように直ちに再審を開始すべきと思います。

 

ともあれ、あの、悪夢のような東京高裁決定の不合理性、不当性が断罪されて、再審開始への道が絶たれなかったのは大変よろこばしいことです。

 

私自身、一報をきいてから、いまも手がぶるぶる震えています。

 

ほんとに、ほんとに、よかった、よかったです!!!

 

決定の詳細な分析と今後の弁護活動についての検討は追っていたしますが

 

取り急ぎ、ご報告いたします!!!