「グリーンピア南紀」を巡る大騒動と再調査して分かった新たな事実 | 和歌山市議会議員 戸田正人 オフィシャルブログ Powered by Ameba

中国系ペーパーカンパニーが数年前に取得を試みた大型リゾート施設「グリーンピア南紀」を巡る大騒動と、再調査して分かった新たな事実

紀伊山地の霊場と参詣道(きいさんちのれいじょうとさんけいみち)で知られている和歌山県紀南地区、その地区の那智勝浦町と太地町間に当時「グリーンピア南紀」という旧厚生省が1986年に122億円の公的資金を投じて建設した保養施設がありました。しかし、2003年に経営不振の封鎖さ、2005年7月には那智勝浦町に譲渡され、同年12月に中国系香港のペーパーカンパニー(資本金15万円)と再開発をするという名目で、10年で1億6千万円の賃貸契約を締結、そして、特約事項に10年後には無償譲渡するというとんでもない格安条件であった。しかも、中国系香港ペーパーカンパニーボアオの選定に関しては、一般公募をしておらず密室で決定したとの事。

しかし、その後は全く手を付けられる事なく、グリーンピア南紀内にある与根河池(よねごいけ)水系の山林伐採を一部したのみで、再開発工事は未着手のまま、2007年、この企業、及び、事業の進捗状況に不審を持った地元那智勝浦議会は「契約白紙」へと動き、翌年2008年には1億7千万円の補償をボアオに支払って調停合意ができ契約解除に至ったというもの。

1986年 旧厚生省が122億円の公的基金で「グリーンピア南紀」を建設

2003年 経営不振のため閉鎖

2005年7月 グリーンピア南紀を那智勝浦町に譲渡

2005年12月 中国系香港企業のボアオと賃貸契約締結

2007年11月 那智勝浦町がボアオとの契約を白紙撤回求める

2008年7月 補償金1億7千万円で調停合意、契約白紙に至る


最終的には、多くのメディアやコメンテーターは「ボアオはリゾート地開発する予定などは毛頭なく、将来グリーンピア南紀を横断するであろう、高速道路(バイパス)用地を事前確保して、いわゆる土地ころがしをして儲けるつもりだった」と推測されて、この話が終結したのです。

しかし、昨今の中国木々による水源地買収などの報道を仄聞すると、本当にグリーンピア南紀は単なる土地ころがしだったのかと疑義を感じるようになり、私なりに考え独自調査をしてみました。

すると、那智勝浦町、太地町との境に位置するグリーンピア南紀周辺に図の①②③⑦に、やはり水源地があったのです!(これらはすべて地下水で取水)

紀南地方の水源地が数多く集まっている部分が、グリーンピア南紀周辺に存在しており、あの時代背景では「土地ころがし」程度しか思っていなかった事が、今になっては紛れもなく「水資源を狙っていた」のではと邪推できるのです。

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その様な背景のなか、和歌山県に赴き「外国資本により森林買収」をどう意識しているのかについて、和歌山県農林水産部林業振興課副課長にお尋ねしたところ、「水を枯らせてしまったり、環境を破壊されては困るが、法の範囲で取水してもらっても問題ない、本県の森林は外国資本に買収されようが、どこの企業にされようが特に問題はない。森林法に定められている範囲ならよい。」と解答されました。

また、「本県においては、森林法に基づき、森林開発に伴う伐採強化について「伐採許可証旗」の掲示を求めており、これが抑止力になる。事前買収届けに関する条例は無くても十分抑止力がある」とも解答されました。

和歌山県は以前「紀州」という文字を中国に商標出願され和歌山県の知的財産を侵害されるという問題が起きたにもかかわらず、森林法という国が定めた法律が全てと判断し、外国資本に買収されても特に問題がないと考える和歌山県に、私ははガッカリしているところです。

地方が何らかの手立てを打つために、この問題意識を県民で共有すべきと考えます。