首長と教育長の関係 | 和歌山市議会議員 戸田正人 オフィシャルブログ Powered by Ameba

平成24年12月定例和歌山市議会一般質問(教育行政について①)


首長と教育長の関係


和歌山市の教育長は、教職を経験された方のみが対象となっており、9月末に退任された大江教育長までは全て教職経験者でありました。本年10月1日をもって就任された原教育長は歴代教育長としては初めて、一般行政職ご出身の方です。


就任された当初の頃、私の耳には「教育現場を知らない者が教育行政のトップとなり、現場の声を理解してくれないのではないか」とか「教鞭をとったことのない者が学校の先生の気持ちをわかってくれるのか」など、どちらかと言えば批判的な声が聞こえてまいりました。


しかし、その反面、文部科学省発表の平成23年教育統計によると、1720名いらっしゃる現役各市町村教育長内で教職経験のない一般行政職出身の教育長が32.2%を占めているという結果になっており。


教育長=教職経験者ではなければならないという方程式は当てはまらない統計の結果なのです。


戦後、我が国において教育行政の役割を担ってきた教育委員会制度はGHQが取り入れたアメリカ的制度であり、戦前の軍国主義教育の反省と称し、政治が教育に口出しできないようにした制度であると私は考えています。


それは、一般的な行政からの独立性を旨とする教育委員会とされてきた結果へ、教育委員会の機能や運営については様々な問題が発生し、現在では深刻ないじめ問題などが社会的な問題となっており、教育委員会のあり方の、その正当性に対する疑問が投げかけられ、一部からは教育委員会廃止論まで提起されています。


しかし、その定義とは裏腹に教育行政においても、予算決定権者は各市町村長であり、その教育予算の根拠は少なくとも首長の哲学、理念に基づくものであると思っています。


また、教育委員においても首長が意中の人を任命し、その教育委員会の中から教育行政事務を取り仕切る教育長が互選される訳ですが、実質的には、首長が教育長を選任していると考えても差し支えないものであり、形の上では、首長は直接的に教育委員会への関与や、指導はしていないものの、何らかの形で首長の意思が反映されているのであります。それは、良識の範囲内であると考えるものです。つまり、首長と教育長の連携は、教育行政発展のためには、不可欠な構成要素であると考えます。




教育に政治は介入してはならない。


そうした解釈は「地方教育行政組織法」に首長の権限と教育委員会の権限が書き分けられており、その内容を解読する限り教育目標は首長が設定するのは法律違反であるとされているのです。


しかし、大橋和歌山市長においても、初当選された直後の平成14年度臨時議会において、「義務教育のパワーアップにつきましては、特に優先的に取り組んでまいりたいと考えております」と述べられたり、四年後の平成18年度2期目に向けた選挙では、選公報紙においても公約のひとつとして「教育のまちづくり」を市民に訴えられ、そうした姿勢に賛同する、民意を受けて見事ご当選されたわけです。市民が、また市民の代表として選ばれた市長が、如何に本市の教育行政に様々な思いがあるという事の現れではないでしょうか。


また、教育の政治的中立という見地を鑑みますと。民主党野田政権において、文部科学省政務官は、那谷屋正義(なたにやまさよし)参院議員で元日教組教育政策委員長であり、また、前政務官も2006年に施行された教育基本法 には反対派の急先鋒として活動したり、まったく事実無根である従軍慰安婦を称する女性たちが法的解決を求めるとされる『戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案』の成立を早期に求める運動にも積極的に参加していた、元日教組の役員であった神元美恵子(かみもとみえこ)参議員を任命されており、私から見れば、政治の中立性など、とても保たれているとは言いがたい教育の現実です。


また、本市においては、昨年の12月定例和歌山市議会、私の一般質問で、教科書採択とは誰がどのように行っているのかなど教科書採択の透明性を求めた「教科書採択における調査員の開示」の質問に対して、教育委員会は開示できない理由として未来の子供たちのためではなく、「教育委員会と教職員との信頼関係がゆらぐ」ためとの議会答弁が行われました。


子供たちのための教育委員会制度は、教職員のための信頼を重視した教育委員会制度だったのかと!その答弁を聞いて私は愕然としたものでした



現在の地方行政組織法の解釈で、市長は政治家と言う立場上、教育行政への介入はできないものとは一定の理解しています。しかし、私は地元の民意で選出された市長が、教育行政の目標を立てる権能がないという事に対し大変疑問を抱くものとして、大橋和歌山市長においては、少なくとも本市教育行政に対して、民意の想いが伝わる手立てを講じて頂きたいと思うものです。それが、大橋市長と原教育長との関係であり、本市独自の教育行政の構築における、構成要因であると私は考えるものです。