鉄筋コンクリートの建造物を巡る旅・鉄コン其古卍 Part 30 、松代アパートです。松代と書いて「まつしろ」と読みます。

つくば市にある県営アパート。供用開始は1991-92年、設計は大野秀敏+三上建築事務所とアプル総合計画事務所。
松代アパートには4つの棟が「ロ」の字型に配置されています。

4号棟の外側の景色

国道408号から見えるのがこの面です。
4号棟の内側の景色

完成から約30年の時が流れ、イイ感じに"枯れて"ます。内側(=ベランダ側)と外側とでは枯れの進行に大きな差があるのが興味深いです。この差は、エアコン室外機の有無? 建材・構造の違い? いまはないけど、春~秋はベランダに皆でプランターを置いてるとか? 何でしょう?
写真を後で見返してみたら、外周は4号棟しか撮ってませんでした。こりゃ失敗。ということで、1号棟の外周をストリートビューにて。
こちら、北側に当たる面なのでのっぺり感がありますね。
さぁさぁさぁ、それでは最初のミドコロ、2号棟と3号棟の「連結部」をご覧ください。

この建築で最も象徴性のあるポイント、と言ってよいと思います。
わたしは、ココを見て「見和アパートのパクリじゃん!」って思いました。
↓これは見和アパートでみた景色

ほらネ、似てるでしょ?
でもこれ、わたしの勘違い。起工も竣工もココ松代アパートの方が先なのです。
この他にも、見和アパートと似てるというか、相通じる部分が多いんですよねー。色の使い方とか架構の見せ方とか金属部分の意匠とか。
下は、両アパートの設計者のプロフィール(の一部)。
松代アパート:大野秀敏氏
'49年生れ、'72年に東大工学部建築学科卒
見和アパート:三上晴久氏
'54年生れ、'79年に東大工学部建築学科卒
松代アパートの建築年度は1989-90、見和アパートの3号棟(=上に掲げた部分)の建築年度が1994。同じ大学の出身とあれば、先輩作例の引用は、さもありなん。この辺は「新建築」のバックナンバーを読んで経緯を知りたいものです。
そ・し・て、松代アパート最大の特徴、4階部をグルりと巡る空中回廊&プチ庭園へと進んで参ります。その前に、松代アパートの概況を改めて平面図でご覧ください。

引用元:茨城県住宅管理センター
スタート地点は2-3号棟の連結部。上の図でいうと、右上のカドが該当するポイントです。そこから時計回りに(=3→4→1→2号棟の順に)進みます。
階段を上ります

ひと際赤いところは、平面図と見比べるに、3号棟のエレベーター部分と思われます。ちゃんと確認してない…。せっかく行ったのに!
3号棟の回廊部

ここは階数でいえば4階にあたります。睦月の曇天、絵面が殺伐とするのは致し方ない。
3号棟回廊からみた中庭側

左が4号棟、右の再塗装工事用足場が組まれてるのが1号棟。
再塗装による劣化防止や美観維持は十分理解できるんですが、経年変化が醸し出す風合いをご破算にしちゃうのは勿体ない、と思っちゃう。傍観者の戯言と言われれば、返す言葉はないけれど...
3-4号棟の連結部から対角線方向を

4号棟の外周側

ここで最初の「庭園エリア」と遭遇。せめて冬晴れだったらねぇ…。
シケインのような動線

記事化してる最中に気付いたのですが、最初から4棟造ることは決まっていたでしょうから、もっとシンプルな動線にできたように思います。
シケイン先の植え込み

ここが一番華がありました!
4-1号棟の連結部から対角線方向を

ここにもプチ庭園があり、チョロっと緑が…。上掲の平面図で確認すると、画像の右側が南になります。
これは、植物の生育には不向きな造作、とわたしは見ます。南側にビシっと壁が立ちはだかっちゃってる。植栽を活かす空間にするなら、回廊の逆側に"グリーンベルト"を配置するか、南側の壁に採光・通風用のスリットを入れます。仮に、わたしが設計者だったらの話しネ。
1号棟回廊から中庭側を

正対しているのが3号棟で、その右が4号棟
1号棟から4号棟を望むの図

空中庭園がハゲチョビン…。この辺りは、再塗装のために草木がギリギリまで刈り込まれたっぽいです。3、4号棟とは対照的に、回廊には緩いカーブがついてるだけで、スっと伸びています。
2号棟へ

3号棟のいちばん手前にあるのは集会所
そして、2-3号棟連結部近く=スタート地点へ

初夏から秋にかけては、草花に彩られた瑞々しい景色になる、はず。その時期にもう一度訪れてみたいものです。
ときに、ここまで、見和、もみじが丘、滑川、そしてココ松代と4つの県営集合住宅を見学して参りました。その上で感じたことを一つだけ。
いずれも、年配の方、身体に不具合のある方には、ハードルが高い造りに思えました。もうできちゃったモノに文句を言っても詮無いので、この点は当局による今後の対応を期待するところです。

つくば市にある県営アパート。供用開始は1991-92年、設計は大野秀敏+三上建築事務所とアプル総合計画事務所。
松代アパートには4つの棟が「ロ」の字型に配置されています。

4号棟の外側の景色

国道408号から見えるのがこの面です。
4号棟の内側の景色

完成から約30年の時が流れ、イイ感じに"枯れて"ます。内側(=ベランダ側)と外側とでは枯れの進行に大きな差があるのが興味深いです。この差は、エアコン室外機の有無? 建材・構造の違い? いまはないけど、春~秋はベランダに皆でプランターを置いてるとか? 何でしょう?
写真を後で見返してみたら、外周は4号棟しか撮ってませんでした。こりゃ失敗。ということで、1号棟の外周をストリートビューにて。
こちら、北側に当たる面なのでのっぺり感がありますね。
さぁさぁさぁ、それでは最初のミドコロ、2号棟と3号棟の「連結部」をご覧ください。

この建築で最も象徴性のあるポイント、と言ってよいと思います。
わたしは、ココを見て「見和アパートのパクリじゃん!」って思いました。
↓これは見和アパートでみた景色

ほらネ、似てるでしょ?
でもこれ、わたしの勘違い。起工も竣工もココ松代アパートの方が先なのです。
この他にも、見和アパートと似てるというか、相通じる部分が多いんですよねー。色の使い方とか架構の見せ方とか金属部分の意匠とか。
下は、両アパートの設計者のプロフィール(の一部)。
松代アパート:大野秀敏氏
'49年生れ、'72年に東大工学部建築学科卒
見和アパート:三上晴久氏
'54年生れ、'79年に東大工学部建築学科卒
松代アパートの建築年度は1989-90、見和アパートの3号棟(=上に掲げた部分)の建築年度が1994。同じ大学の出身とあれば、先輩作例の引用は、さもありなん。この辺は「新建築」のバックナンバーを読んで経緯を知りたいものです。
そ・し・て、松代アパート最大の特徴、4階部をグルりと巡る空中回廊&プチ庭園へと進んで参ります。その前に、松代アパートの概況を改めて平面図でご覧ください。

引用元:茨城県住宅管理センター
スタート地点は2-3号棟の連結部。上の図でいうと、右上のカドが該当するポイントです。そこから時計回りに(=3→4→1→2号棟の順に)進みます。
階段を上ります

ひと際赤いところは、平面図と見比べるに、3号棟のエレベーター部分と思われます。ちゃんと確認してない…。せっかく行ったのに!
3号棟の回廊部

ここは階数でいえば4階にあたります。睦月の曇天、絵面が殺伐とするのは致し方ない。
3号棟回廊からみた中庭側

左が4号棟、右の再塗装工事用足場が組まれてるのが1号棟。
再塗装による劣化防止や美観維持は十分理解できるんですが、経年変化が醸し出す風合いをご破算にしちゃうのは勿体ない、と思っちゃう。傍観者の戯言と言われれば、返す言葉はないけれど...
3-4号棟の連結部から対角線方向を

4号棟の外周側

ここで最初の「庭園エリア」と遭遇。せめて冬晴れだったらねぇ…。
シケインのような動線

記事化してる最中に気付いたのですが、最初から4棟造ることは決まっていたでしょうから、もっとシンプルな動線にできたように思います。
シケイン先の植え込み

ここが一番華がありました!
4-1号棟の連結部から対角線方向を

ここにもプチ庭園があり、チョロっと緑が…。上掲の平面図で確認すると、画像の右側が南になります。
これは、植物の生育には不向きな造作、とわたしは見ます。南側にビシっと壁が立ちはだかっちゃってる。植栽を活かす空間にするなら、回廊の逆側に"グリーンベルト"を配置するか、南側の壁に採光・通風用のスリットを入れます。仮に、わたしが設計者だったらの話しネ。
1号棟回廊から中庭側を

正対しているのが3号棟で、その右が4号棟
1号棟から4号棟を望むの図

空中庭園がハゲチョビン…。この辺りは、再塗装のために草木がギリギリまで刈り込まれたっぽいです。3、4号棟とは対照的に、回廊には緩いカーブがついてるだけで、スっと伸びています。
2号棟へ

3号棟のいちばん手前にあるのは集会所
そして、2-3号棟連結部近く=スタート地点へ

初夏から秋にかけては、草花に彩られた瑞々しい景色になる、はず。その時期にもう一度訪れてみたいものです。
ときに、ここまで、見和、もみじが丘、滑川、そしてココ松代と4つの県営集合住宅を見学して参りました。その上で感じたことを一つだけ。
いずれも、年配の方、身体に不具合のある方には、ハードルが高い造りに思えました。もうできちゃったモノに文句を言っても詮無いので、この点は当局による今後の対応を期待するところです。