2018/11/30:投稿
2021/12/31:更新

 鉄筋コンクリートの建造物を巡る旅・鉄コン其古卍 Part 11、佐野市文化会館です。

佐野市文化会館

基本情報 ────────────
 竣工:1979年
 設計:(株)都市環境建築設計所
 施工:(株)鴻池組はじめ全8社
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 佐野市文化会館には、前出<日光市今市文化会館>を

見た足で、訪れました。11月の15時頃。陽はかなり傾いています。

 設計を請け負ったのは、今市文化会館を手掛けた神谷五男氏が興した会社。竣工は、1979年で今市の2年後に当たります。

 今市文化会館では、動線(≒アクセス)や周辺との関係性について、辛口のコメントをしました。対してコチラ、佐野市文化会館は周囲に上手く馴染んでいます。両物件の差異からして、今市においては制作サイドの力量だけでは如何ともし難い事情があったのだろうと推測します。

 佐野市文化会館の外観で最も特徴的なのは、段丘状を成す建物中央部でしょう。わたくしが訪れたとき、低高度からの陽光に照らされた会館は、神々しくもたおやかな雰囲気を醸し出していました。まるで、インカ帝国の遺跡・マチュピチュを仰ぎ見るかのよう。

 しばらく見入ったのち、建物全体を写真に収める撮影ポイントを探し求め、建物の周囲を歩き回ったものの、「ここだ!」という撮影ポイントに辿りつけません。逆に、歩き回って見るほどに「この建物って、どういう形?」と疑問が生じるばかり。

 さもありなん。佐野市文化会館を空撮で俯瞰すると、実に変則的な平面構成と樹木配置。

これでは初見で混乱するのも無理はありません。

 わたくしがお邪魔した時、わりと大きなイベントをやっていたので、撮影はホワイエ手前で切り上げました。下の画像で、天井がカクカクと高くなっているところが、外観の段丘に相当する部分です。

佐野市文化会館

 この空間は、屋外とドア&壁なしで直結しており、ガラスの向こう側にホワイエがあります。鉄鋼と煉瓦とガラスで構成されるこの場の名を「メタモール」。メタモールとは、メタタグの「meta」とショッピングモールの「mall」を掛け合わせた設計者による造語、だそうです。

 ときに、佐野市文化会館の外観を堪能するなら、時間帯はマジックアワーを強くオススメします。外壁の滑らかなテクスチャと段丘が成す神秘性は一見の価値ありです。

 来館時刻は成りゆきまかせでしたけど、
佐野市文化会館
グッドタイミングでした。

 ちょうど日差しが、
佐野市文化会館
いい具合に弱まってます

 前掲の笠松運動公園体育館(1974年)でも登場した
佐野市文化会館
「三角柱型出窓」のための出っ張りを発見。

 建物の反対側へ。
佐野市文化会館
段丘構造は反対側からも見て取れます。

 稚拙な表現でお恥ずかしいかぎりですが、
佐野市文化会館
ミルクチョコレートみたいで、スプーンで掬えそうな感じでした。

 裏手はインダストリアル風にまとめられているとはいえ、
佐野市文化会館
市民会館の常、やっつけ感は否めません。

 さらに進んで
佐野市文化会館
一周したところ

 メタモール全体を見渡して。ガラスの向こう側がホワイエになります。
佐野市文化会館
ガラスの手前は、コンコースという表現がマッチすると思います。

 ひと通り写真を撮って外に出たら、
佐野市文化会館
月が昇ってました。見えるでしょうか、画像中央のちょい左に月が出ています。