2018/11/24:投稿
2021/12/29:更新

 鉄筋コンクリートの建造物を巡る旅・鉄コン其古卍 Part 9は、那珂市にある笠松運動公園体育館です。

笠松運動公園体育館の正面玄関。白くて巨大な三角形の塊が倒れんばかりに

 笠松運動公園体育館は、1974年の茨城国体にあわせて建設されました。竣工は同年、設計は小林美夫+斉藤公夫、施工は大成建設。

 建築としての知名度は低いものの、70年代ならではのモダニズム後期の造形。なかでも、表玄関上部の倒れ掛かってくる様な量塊には圧倒されます。

 ときに、この量塊の形状に既視感を覚えます。「はて、この類の建築は他で見たことはなし、何だろう?」と脳内を検索したところ…


映画「STAR WARS」に登場するミレニアム・ファルコンがヒットしました。表玄関上部が、あたかも不時着したミレニアム・ファルコンが機首をもたげている様に映った、みたいです。

 惜しむらくは、機首下に当たる部分から突き出た柱によって、造形的なアクロバティックさが損なわれています。仮に、この柱がなかったなら、後期モダニズム建築の佳作として名を馳せていた、でしょう。

 公園に入ると、陸上トラックの先に
木立の向こうにチラりと姿を見せる笠松運動公園体育館
姿をあらわす体育館

 ネットで調べたところ、21世紀になってから
青空と笠松運動公園体育館の白のコントラストが美しい。
現状の様に改修&塗装された模様です。

 改修前のコンクリート打ちっ放しの方が
笠松運動公園体育館を真正面から。
テクスチャーの表現が豊かで良いと思います。

 耐久性の面からペンキで塗装したのでしょうけど、改修・延命するならば洗浄&フッ素コート仕上げを選択して頂きたかった。

 体育館の左側に回り込んだ画像二点
笠松運動公園体育館の側面。空に突き出る様は地球の重力に抗っているみたい

 側壁に突出する出窓は、
笠松運動公園体育館の側面には80年代によく見かけた出窓がある
70年代建築によくみられる「三角柱」型

 反対側。正面と比較すると、
笠松運動公園体育館の反対側
出っ張り具合が緩やか。

 さて、館内へ。ロビーは、アリーナと観客席に割いた
エントランスから外を向いて
ボリュームの余りで生じた空間が充てられており、「いかにもモダニズム」な感じがします。

 構造を内部装飾にも活かすところにも、時代の雰囲気を感じます。
メインホール客席がせりあがる模様
上は、メインホールでトンガリ部分を見上げたところ。

 トンガリのてっぺん部分からアリーナに目を向けると…
客席最上部から館内を見渡す

客席最上部から館内を見渡す

客席最上部から館内を見渡す
 ボリューム全体をよく見渡せます。

 反対側のトンガリには、
館内の逆サイドを見上げる
実況席やコントロールルーム的なものがあるようです。

 あと、時代を感じさせる丸窓とか
体育館側面にあしらわれた丸窓

 昔はよく見かけたタイルなど、
客席ディテール。タイルが時代を感じさせる

細部にまで70年感が満ちてます。