ERといえば、言わずと知れた人気テレビシリーズで、ドラマファンならその名を聞いたことのない人はいないくらいのレジェンドシリーズと言っていいと思います。ジョージクルーニーの出世作としても有名ですよね。
ところが、私は実はちゃんと見たことはなくて、なぜか見逃してきたドラマの一つ。
いずれ機会があれば…的に考えていたのですが、ようやくその機会が訪れてくれました。WOWOWで第10シーズンを放送することになったのです。
とはいえ、それももはや半年くらい前なのですが、ずっと録りだめ状態で、やっと1本目を見たら、そのあとは雪崩を打った如くに、シーズンを通して一気見!
昨日、シーズン全話、見終わりましたので、簡単に振り返ってみたいと思います。
まずこのドラマの映像的特徴である長回し、これは臨場感の演出に大いに貢献しているわけですが、ホワイトハウスを彷彿とさせました。
もはやどちらが先なのかわかりませんが、会話を通してストーリーや人間関係を上手に表現していますし、会話とカメラの自然なパス回しは見事というよりほかありません。
そして、ERという、緊迫した状況になかで、閉じられた人間関係(特に恋バナ)が雑多に絡まり合う様子は、のちにグレイズアナトミー等その後の医療ドラマに受け継がれたのでしょう。
このドラマが果たしたパイオニア的な役割は大きいのだな、とか思いながら楽しめました。
他のシーズンを知らないので人間関係の把握は不十分なのですが、このシーズンのキーマンは、アビーと感じました。
恐らくこのドラマのファンならみんな知っている過去でも、私にとっては少しずつ解き明かされていく過去であり、それも面白みの一つだったりしました。
アビーは看護師としてこのERで働いていますが、ある日思い立って、メディカルスクールに「復学」するのです。復学、ということは、もともとはメディカルスクールで医師になるために勉強していたわけですね。
どんな事情があったかは存じませんが、途中で看護師としての道に切り替えたのでしょう。
ずっと復学については考えていたのかもしれませんが、プライベートでのこととか、同僚医師のちょっとした一言が彼女の背中を押したのですね、メディカルスクールに復学して、看護師と医学生、“二足の草鞋”生活に突入するわけです。
この展開は新鮮でした。
このアビーがかつて付き合っていたという、医師のジョンカーター、そして同じく医師のルカコバッチュ、この二人がまあ、お盛んな恋愛事情を繰り広げるんですね。
なんていうと、しょーもない男たちって印象を与えがちな感じですが、そんなことはなくて、二人とも真面目で腕のいいドクター。
シーズン序盤ではカーターが、コバッチュが死んでしまったとの情報を得て、彼の遺体を引き取りにアフリカに渡ります。
要するにアフリカの戦地で医師の仕事をするような、とても勇敢な二人なのです。
ルカの方はアメリカに戻って、ERの新人ナースと、ジョン・カーターはアフリカで知り合ったドクターと恋バナを繰り広げます。
この二つとも、今シーズンではなかなか難しい局面を迎えるわけですが…この辺の人間ドラマもそれぞれ胸を打ちます。
それ以外にも主要人物が死んだり、子供が取られて調停になったりと、厳しい人生模様が描かれるのですが、ひとつの忘れられない見どころは医学生の苦悩ですね。
頭脳明晰で真面目なインド系の医学生ニーラは、人間好きとはいえない自分は医師には向かないのでは…と考えています。
そして、客観的には医学生としてそれなりにきちんとできているにもかかわらず、ある判断ミス(とも言えない事故のようなもの)で、患者を死に至らしめてしまったことで、ものすごいダメージを受けてしまいます。
彼女が苦悩に泣くシーンは、責任のある仕事をするすべての人から共感を得られるのではないでしょうか。
私もちょっとしたことでくよくよしがちですが、直接的に命に関わる仕事というのは、本当に重圧なんだろうなって、同情を禁じ得ませんでした。逆に、私自身はそこまでのプレッシャーとか苦悩を抱えているわけではないのだから、頑張らなくては、という勇気みたいなものを与えられましたね。
ニーラとは異なり、成績はそうでもないけど、医療人としての感覚やセンスが抜群に優れているアビーは、メディカルスクールの単位取得には苦労します。
現場ではみんなからの厚い信頼を得ているにもかかわらず、卒業できるのか、医師になれるのか、というところで躓くアビーと、成績は抜群でもそもそも自分は医師に向いていないのではと苦悩するニーラの対比は、現実的にもよくありがちです。
本シーズンは、連続ドラマらしく、いろいろな課題を抱えたまま、一つの大きな事件というか事故というか・・・?をクリフハンガーとして終わってしまいました。
機会があれば、彼らの今後をぜひ見届けたいです。
今更ですがやはりすごいドラマシリーズだな、と改めて感心した次第です。
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