石器づくりの歩み(その3) | カチカチ石器作り

カチカチ石器作り

石器作りと日々の運動について書いております。
石器を作る方のご助言、ご指導をよろしくおねがいします。

(2012年)

 

◎1月24日

 アメリカから購入した石器づくりのDVDを観た。

 当初、こういうものは参考にしたくないと考えていたが、俺流を探すなんてことは凡人には相応しくないと考えを改め、あらゆる情報を活用することにした。

 DVDの中で、実に耳が痛いことを話していた。

石器づくりよりも先に、石の割り方、有効的に規則正しい剥離片を取り出す方法を先にマスターすべし。」

 

何だ、やはり俺みたいなのが沢山いるのだな。満足に石も割れないのに、やじりだ尖頭器だと騒いでいる奴が。

 

 1月中の石器づくりは、やじり2個作っただけで終わる。

 

◎2月2日

 細い鹿角の先を1kg分1500円で購入。結構な数だ。

 

◎2月7日

 アメリカからハンマー用鹿角と、厚手の革を2枚購入。

 

◎2月26日

 県内埋蔵文化財発掘調査報告会と同時に開催された石器づくり講習会に参加。

 黒曜石に初めて触った。やじりつくりに挑戦したが、頁岩や玉髄と勝手が違い、苦戦した。詳しく指導できる人はいなかった。

 

※2月中の石器づくりは、石割少々と黒曜石のやじり1個だけで終わった。

 

◎3月11日

 秋田県立博物館でやじりのスケッチ。

 出来の良いやじりを横から見ると、横のラインが定規で線を引いたような直線に仕上がっていることに感激。ケース越しなので触れないのが残念。

 2月25日に出版された”北の縄文鉱山”という本を購入。

 

◎3月12日

 今年初の石探しに出かけた。我がタウンは道路わきに残雪がかなりあるものの、UH市のM海岸には全く雪がない。約20kgずつ車まで5回運搬した。あまり、良質なものはなし。

 

◎3月17日

 かなりの数の石割を行う。満足な剥離片をとることができず、無駄にした石が多数あり。石の上部を平らにする方法がわからない。

 昨日、幾分取った剥離片を細工してみたが、成果品は一個もできず。

 目に石塵が入ったせいか、充血して痛む。

 

◎3月22日

 右目に石くずが入り、ごろごろして痛い。眼科に行ったが、石塵は確認できず。

上瞼に引っ掛かる感じがするのは、眼球に少し傷ができたからだと言われた。

 以前購入した防塵めがねは通気用の穴が多数あり、石塵が入り込むので別のものを購入。

 

◎3月28日

 市内にある川で2回目の石探し。100m位の長さで石が敷かれている状態で、かなり期待したが、皆無。石器づくりには使えないが、2kgほどの白い石を採集。

 

※3月中もほとんど石器づくりはできず。

 

◎4月10日

 M町K地区に石探し。140個、200kg採集。

 

◎4月13日から4月14日

 質のよくない石を選んで、石割の練習を長時間実施。石器づくりでは失敗のみ。

 

◎4月21日

 ボトルの底でやじりを作ろうとして、右手親指の腹の部分を深く切る。

 

◎4月25日

 UH市、M海岸で石探し。20kg。

 

※4月中もほとんど石器を作れず。

 

◎5月2日

 UH市、M海岸で石探し。40kg。

 

◎5月21日

 O市U海岸へ石探し。少しだけ採集できた。

 

◎5月24日

 県埋蔵文化財センターで、石鏃に触らせてもらう。長い割りには薄く、軽いことを実感。

 

◎5月29日

 鉱業博物館の展示品を見て、ようやく硬質泥岩と硬質頁岩の違いを認識。

 県立博物館で石器のスケッチ。

 

◎5月31日

 M町、K地区に石探しに。

 良質なものだけを採集するため、割って確認する。割って残した石は、危険が及ばないように処理する。

 

※5月に入ってからやじり作りに拍車がかかった。

 

◎6月1日

 やじり481個に到達。

 

◎6月18日

 割った頁岩の破片などの不要物を屋敷内に穴を掘って埋めた。かなりの量があり、まだ半分以上残っている。処分が大変だ。

 

◎6月22日

 県立博物館でやじりスケッチ。

 展示の敷物が網目状になっているので、ガラスケースの横に定規を当てて、1cmあたりの目の数を数え、有茎やじりの寸法を測った。

 最も形が良いと感じた二つのやじりのサイズは次のとおり。

 

  (長さ)   (幅)      (茎長)

1) 6cm  2~2.4cm   2.4cm

2) 5cm  2cm       2.0cm

 

 

 

◎6月25日~6月30日

 スリングショットつくりのため、石器づくり休止

 

◎6月30日

 やじり530個到達。

 

◎7月1日

 首筋に激痛が走り、寝返りもできず。スリングショット作りで毎日同じ姿勢で作業を続けたのが原因だろう。石器作りよりかなり厳しいからなあ。

 

◎7月6日

 スリングショットの試し撃ちをした。かなりの飛距離があり、喜んでいた矢先にパチンコ球が本体にあたり、跳ね返って右手の親指の関節の骨を直撃。見る見る内出血して腫れた。

 

◎7月9日

 6月24日以来のやじりつくり。良い剥片が取れないので、やじりの出来も最悪。

 

◎7月19日

 O氏からまた新しい情報を得て頁岩探しに出かけた。

 UH市のK川を橋の上から見ると、赤茶けた石が結構あった。しかし、質の良い頁岩は少なく、40個ほどだった。

 

◎7月23日

 スリングショットの本体を9個作った。合板を糸鋸で切るのは大変な作業なので、公共機関で電気糸鋸を使用させてもらった。

 

◎8月5日

 スリングショット作りに時間を割きすぎて、石器づくりお留守に。

 ebayのオークションで最強のゴムを落札。

 

◎8月7日

 県立博物館でやじりスケッチ。

 久々にやじり作り。いつもやじりの歯の部分を先に仕上げていたが、二股の部分を先に丁寧に作る方が良くできるみたい。

 

◎8月8日

 UH市I地区で頁岩探し。60個。泥岩が多い。

 

◎8月15日

 スリングショット用Therabandのゴムが届いた。

 

◎8月20日

 やじりの二股の部分が良くできないので、本物に触りながら方法を考える。

 カットを入れる前に三角の底辺部分を徹底して薄くした方が良いような気がする。

 

◎8月22日

 D市、A川、M川、A鉱山跡で石探し。皆無。

 

◎8月23日

 N市、鮭の遡上で有名なK川へ石探し。皆無。

 

◎8月24日

 片側が丸い表皮の残る厚い部分を見事に除去した。

 打点調整を十分に行えば、いびつな剥離片でも使えることが分かった。

 これまでは、全部捨てていたものだ。

 

◎8月29日

 玉髄と思い込んでいた石を持参して鉱業博物館へ。

 間違いないとのこと。

 

◎8月31日

 今年最高の温度で35.4℃。公園の木陰に大きなシートを敷き、石割とやじりつくりをした。さすがに暑いせいか広い芝生の上に誰もいない。

 

※7月から8月の終わりまで、スリングショット作りに時間をかけたので、石器づくりはお留守になった。

 

◎9月1日

 35℃を超えたので、今日も公園の木陰で石割とやじり作り。さっぱりだ。

 

◎9月6日

 厚手の革を6枚重ねてパッドとして使ってみる。間接打撃の段階でほとんど失敗。

 まだ、この方法がベストだと言える段階に至っていないことが悔しい。

 

◎9月10日

 Hammer stone  Clovis  Chapter1~6まで観る。

 ゴロッとした石から薄く剥離した槍先を作る技術に感心する。大いに参考になる。

 

◎9月14日

 連日やじりを作っていたが失敗続きのため、気休めに石探しに出かけた。

 家から60km位離れているM町、K地区の川原で玉髄を随分拾った。

 32~33℃の炎天下で、ヘトヘトになりながら車まで運搬。大小あわせて189個。

 帰りに寄ったM温泉は客もなく、大浴槽を貸切状態で使った。

 平日だとこんなもんなんだとのこと。良いお湯で疲れが取れていくのが分かる。

 

◎9月20日

 やじり600個。

 

◎9月21日

 川原の石ころ、海辺の石ころの本を借りて、石器づくりに適する石の産地をまとめる。

 

◎9月27日

 札幌の赤レンガ館で黒曜石で作った石器を初めて見る。

 

※9月になっても外気温が高く18日は36.1℃。エアコンがない珍しい家に住んでいるが、今年も家族全員無事だった。

 

◎10月1日

 やじり618個。

 

◎10月2日

 黒曜石が見つかったとの記事が新聞に載っていたので、T湖に石探し。皆無。

 D渓谷にも行ってみたが、黒い頁岩1個のみ。

 

◎10月4日

 県埋蔵文化財センターが主催する考古学バスツアーに参加。

 大湯環状ストーンサークル、藤株遺跡の発掘現場を見学。

 

◎10月7日

 やじり7個つくる。集中力が欠けてしまう。

 

◎10月9日

 UH市、C町に頁岩の露頭をさがしに出かける。見つからず。

 

◎10月12日

 再度UH市、C町に露頭さがしに出かける。場所は見つけたが、良質な頁岩は全くなし。ただ、薄く割ってもハンマーストンの代わりができるほど硬い石を見つけた。

ざらざらしているので、擦り石にも最適。

 

◎10月13日

 押圧剥離のときに使う新しいパッドを作る。

 小さな木の板に厚い革を接着したものである。

 自信を持って作ったが、剥離片が折れてしまった。

 おそらくパッドが硬いことと、剥片がいびつだったせいで、2点に力が加わったものかな。何か柔らかいクッションが必要だな。

 

◎10月14日

 石材会社の社長が頁岩を輪切りにしてくれた。石器づくり人としてはずるをした。

 打点を平らにできれば簡単に良い剥離片が取れることを検証しようと思って頼んだのだが、実際は上手くいかず何個も無駄にしてしまった。

 角度もきちんとしているのに、だめだということは、加える力のかげんだな。

 ハンマーストンをもう一回り小さいものでやる必要がある。

 

 

 

◎10月19日

 石器づくりもマンネリ化してしまい、さっぱり上手くできない。石割りも同じ状況だ。

 そんな気持ちを払拭したいとの思いで、県立博物館が主催する考古学教室に通うことにした。

 

◎10月21日

 石の大移動。家の前面に置いていた頁岩や玉髄を除雪で邪魔にならない畑や家の裏に移動した。早朝から夕刻までかかる。相手が石なので、使ったエネルギーも計り知れない。

 

◎10月22日

 最大の怪我。家の後で石割をしているとき、皮手袋を使わないでゴムコーティングの手袋を使っていた。捨てようと寄せておいた小さな石に打撃を加えたときに、石が変に動いてしまい、剥片が左手刀部分に深く刺さり、血がドクドクと流れだした。

激痛はなく、鈍痛的な痛みだった。大急ぎで水道で傷口を洗い、血を絞るようにして何度も洗い続けた。

消毒してガッチリと押さえたので血は止まった。

親指側の手の平には中学時代に、幅跳びの練習をしていたときに自分のスパイクが刺さった傷もある。ちょうど手の平の両端だ。

 

夕方、石器づくりができるか試してみたが、手に力が入らずしばらく石器づくりは休みだな。

 

◎10月25日

 石器づくり再開。しかし、傷口力から血が滲んでくる。やっぱり無理かもしれない。

 年内に1000個と思ったけど完全に無理だな。

 

◎10月27日

 初の考古学教室に参加。2時間びっしりと休みなく教わった。遺物を観ながら触りながらの受講なので実に楽しい。

 

◎10月31日

 やじり686個になる。

 加熱処理した玉髄がピンク色になることを知った。色が綺麗なやじりができた。

 

※ようやく涼しくなり、一番拍車がかかる季節なのに、油断から大怪我をした。

考古学教室で色々刺激を受けたせいか、また石器づくりが楽しくなった。

 

◎11月5日

 やじり700個を超えた。

 

◎11月10日

 第二回考古学教室

 リング、フィッシャー、バルブなどという言葉を実物を使って説明を受けた。

 こういうことも知らずに石器づくりをやっているとは言えないよな。恥ずかしい。

 

◎11月11日

 M町K地区まで片道60km走り、石探し。

 誰かが石探しに来たと見えて、随分割られた石が散らばっていた。見えないところに処分しておけば良いのに。危ないのに全く人のことを考えていないんだなあ。

 水嵩が高いうえに大分拾われたと見えて、ほとんどなかった。

 

◎11月24日

 第3回目の考古学教室。石鏃、石匙、尖頭器などに直に触れることができた。

 やじりは長くても軽く、薄い。二股が無く、三日月の弧のような形のえぐり方である。矢柄を取り付ける部分の細工は実に自然なカーブで剥離されている。

 こんなやじりを早く作りたいものだ。

 

 夜ブログ開設した。素人の石器づくり、カチカチ石器づくり、大五郎の石器づくりなど、タイトルを色々考えたが、いつも軒先でカチカチ音を出しているからカチカチ石器づくりとした。反応は薄いだろうな。

 

◎11月30日

 やじり、737個。

 有茎やじりの作り方で納得のいく方法が浮かんだ。

 

◎12月1日

 有茎やじりは苦手意識が働き20個程度しか作らなかったが、当面100個を目標として作ってみる。

 

◎12月8日

 第4回目の考古学教室

 

◎12月30日

 やじり772個

 

※12月初めから降雪があり、思うようにできない日が多くなった。ブログを開設して1ヶ月と1週間で今年も終わりだ。長々と連ねてしまったが、これも記録のうちだ。

 ただ、楽しんで続けていることは理解して頂けると思っている。

 もちろん、こればかりやっているわけではないが、俺の生活に潤いを与えているものの一つだということは間違いない。

 来年は書けるかどうか分からないが、お訪ね下さったことに心から感謝する。

 

 石器作りに関する書籍やDVDを外国から求め、You tubeでは数多くの映像を繰り返して観ては、ノートにまとめた1年でもあった。そんな訳で、知識としては相当得たつもりでいる。

 ただし、俺の力が伴っていないから、受け売りの知識を提供するつもりはない。

 凡人の僅かな努力で立派な成果を出せるわけがないので、来年も焦らず楽しみながらやってみたいと考えているところだ。