【AI】異世界旅行【Generated】 | TOSHI's diary

TOSHI's diary

Feel this moment...

※最後に大事なお知らせがあります。

 大文字で目立つように書きますので、どうかご覧くださいませ。

 それと長いので無理なくお読みくださればと思います。

 

先日、地元の駅から電車に乗り、ひたすら西に向かっていました。

ちょうど某巨大なお寺がある山の下を掘ったトンネルを通過した時のこと。

うまく説明できませんが、なぜかいつもの電車移動とは違うような感覚がありました。

その違和感が何だったのかもわからないうちに、電車はトンネルを抜け出て、

それぞれの窓から一斉に光が差し込んできました。

今までに経験したことのないあまりのまぶしさに強く目を閉じます。

まぶしさが徐々に引いてゆき「もういいだろう。」と目を開けた瞬間、

自分の目を疑うような光景が飛び込んできました。

電車内にいた他の乗客がその一瞬の間に、先ほどとは違う人たちばかりになっていたのです。

聞いたことのない言葉で話している人もちらほらといらっしゃいます。

また、電車内の窓、椅子、ポスター、その他デザインが全く違うものになっていました。

ポスターを見てみると、見たことのない謎の文字が使われています。

車窓の向こう側に映る景色はよく見かける普通の街並みなのですが、

何だかいつも見る街並みとは違っていました。

一瞬で大きく変わった状況を長々と書きましたが、実際その時の私はというと、

何が起こったのかわからずパニックになっていました。

焦っている中でまず思い付いたのが携帯電話の確認でした。

電波が繋がっておらず圏外になっており、誰とも連絡が取れません。

一生このおかしな状況にいるかもしれないと思うと、もはや絶望するほかはありません。

真っ先に、近々済ませようと思っていた残っている役所の手続きを思い出して、

他にも元いた世界でのやり残したことが走馬灯のようにあれこれと脳裏を駆け巡ります。

思い切って近くに座っていた人に話しかけてみることに。

ところが、何を話しているのかさっぱりわかりません。

私は日本語以外の言語を三つ、簡単な意思疎通ができる程度に学んでいたのですが、

そのどれもが全く通じていませんでした。

相手も困っているようでしたので、気まずくなった私は軽くお辞儀をしてから、

咄嗟に「Sorry.」と言って速足にその席を離れることにしました。

そうこうしている間に、電車は駅に到着しました。

そこそこ都会の駅のようだったので、とりあえずはいったんここで降りて、

どうにか言葉が通じる相手を探すことにしたのです。

 

 

 

とりあえず電車を降りて、駅の中をうろうろと徘徊していました。

アジアンテイストな設計ということで、東アジアなのだろうとは想像が付きます。

ただ、文字は読めそうで読めない、どうも漢字を崩したようなそんな文字ばかりです。

駅舎の上に書いてあるのは「麗」の字でしょうか?

時代的には元いた世界と同じようで、QRコードらしきものがあったり、

小型のスマートフォンを持つ人がいたり、近未来的なファッションの人がいたり――。

行く宛もなく、駅の外に出てみることにしました。

見知らぬ土地を歩き回るのは苦手ではありませんが、どうしても不安は残ります。

 

 

 

街並みを見ているだけでは、日本なのか別の国なのかわかりません。

都会かと思っていたものの、人通りが全くない小路はどうにも不気味です。

小路を抜けて辿り着いた建物の周りには、着物のような服装の人が何人かいました。

ところでこの建物は寺院か何かのようで、入口でお金を払って入っていく人たちが見えます。

そういえば私はこの異世界の通貨を持っていません。

参拝はともかく、食べるものを買えないと生きていけません。

財布の中には五千円ほど残っていましたが、この異世界で価値があるとも思えません。

そんなことを考えているとお腹が空いてしまうものですね。

 

たまに意味もなく携帯電話の画面を覗きながら、宛もなく建物の周りを徘徊していた時でした。

職員らしき人が近付いてきて、私が行こうとしていた方を指さして何やら言ってきました。

何を言っているのかはわかりませんでしたが、ジェスチャーから察するに、

「この先に行くな。」と注意されているのだろうと想像しました。

やがてその人は反対方向を指さして「イォカ゚キゥライ(耳コピカタカナ音写なので不正確)」

と繰り返しており、その言葉はやたらと耳に残りました。

そして片手で私の背中を押して、どこかへ連れて行こうとしています。

私は導かれるがままに大人しく連行されていきました。

私を呼ぶ時は決まって「ニォ」と言っていた記憶で、恐らく「お前」の意味かと。

この世界の警察にでも連れて行かれるのだろうと半ば諦めのような心持ちでした。

こうして連れて行かれた場所は、先ほどの寺院のような建物の近くにある、

交番に似たような一室でした。

交番の職員らしき人間と向かい合うように椅子に座らされました。

連れてきた人間は交番の職員と少し話して後、どこかへ去ってしまいます。

そのまま交番の職員も奥の扉を開けて行ってしまいました。

交番の中で一人取り残される私は、先の展開が読めずに不安が募ります。

5分以上待った時でしょうか、奥の扉から陽気そうな男性が入ってきました。

そして驚いたことに、部屋に入るなり「日本人か?」と訊いてきたのです。

私がそうだと答えると、彼はこの異世界についてあれこれと話し始めました。

とはいえ日本語を全て理解しているわけではないそうで、

ここは時間をかけて相手の話を聞き続けて情報を集めることにしました。

彼は元々この異世界の人間で、数年前に私が元いた世界に飛んだことがあるのだとか。

この場所は日本ではなく、パラレルワールドの中国大陸にある某大都市で、

私が元いた世界の元いた町とつながっているのだそうな。

この異世界にも日本があるとのことですが、細かいことは聞いていません。

異世界側は私が元いた世界の存在を認識しているのだとか。

そのためか私が持っている物は、マニアの間では高価なのだそうです。

彼は何でもいいので私の世界から持ち込まれたものを売ってくれと言ってきました。

ただ、携帯電話やお金は渡したくなかったので、

カバンの中にあったアルコール消毒のミニボトルを渡しました。

これをパラレルワールドマニアに転売すると高額になるらしいです。

私が受け取ったのは10000のアラビア数字と髭の男が描かれた紙一枚でした。

これが高いのか安いのかはわかりませんでしたが、ありがたく受け取っておきましょう。

 

やがて男性は、

「ここは博物館だ。一緒に行こう。その後ご飯を食べに行こう。」

と片言で言ってくれました。

こうして私たちはこの博物館を見て回ることになったのです。

 

 

 

 

銅鏡や埴輪(?)、兵馬俑のような文化財が展示されています。

あくまで想像ですが、千年以上は前の文化財ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

日本の浮世絵らしきものも展示されています。

将軍や皇后(?)の肖像画や屏風のようなものもありました。

読めそうで読めない崩された文字が気になります。

 

 

昔の高貴な身分の人間の肖像画でしょうか。

ちょっと今っぽい雰囲気もあるような気がしますね。

 

 

 

村や宮中のお祭りとも取れる風景画ですね。

いずれもいつの時代に描かれたものなのかは不明です。

 

 

どこの国で描かれた世界地図かは不明ですが、アルファベットなのでヨーロッパでしょうか。

私が元いた世界とほぼほぼ変わりがないようにも見えます。

それにしても日本が適当に描かれているのが非常に気になりますw

 

次は食事に行こうと誘われたので、博物館を後にして町に出かけました。

そこそこ賑わっている通りが近くにあるということです。

 

 

 

古都らしい風情ある街並みで、私が元いた世界と同じ時代とは思えない光景です。

あえてそういう場所に連れて行ってくれたのかもしれませんが。

近現代的な服装の方もいらっしゃいますが、着物のような服装を多く見かけます。

この近辺で伝統的な料理を食べることになりました。

ついでなので翌日の昼食も載せておきましょう。

 

 

 

なかなかおいしそうなスイーツが出てきました。

赤いケーキはバラのような香りと味わいで、黒いケーキはよくあるチョコレートのようです。

 

 

 

炒め麺(?)は普通においしそうですが、この青黒いものは食べても大丈夫なのでしょうか……。

見た目で判断してはいけないのでしょうけど、青い食べ物は食欲が減退します。

お味の方はというと海っぽい味で、食感はうなぎっぽいような……。

結局何だったのかは不明です。

 

 

 

 

 

この国ならではのものが見たいと言ったところ、

廟らしき場所に連れて来られ一緒に参拝をしてきました。

赤や黄色、緑といった色合いが伝統的な中華風らしいですね。

撮影してもよかったのかはわかりませんが、仏像の笑顔がとても愛らしいです。

 

ところで宿をどうするかという問題があります。

こんな話をここで書いて良いのかあれですが、元いた世界では野宿をしたことがあって、

ホテルやネットカフェで一夜を明かせない時は、よく神社やお寺に泊まっていました。

異世界では言葉も通じず、宿を探すのも一苦労です。

ホテルかと思って入った施設が全然違う施設の可能性もあり得ます。

かといって見知らぬ異世界の廟やお寺で野宿というのは少々不安です。

いくら治安が良さそうな世界とは言えども、ドロボーに遭わないとも限りません。

そこで私は、同行していた男性に10000のお札で泊まれる宿を尋ねました。

彼曰く高級宿でない限りは500から2000金が相場だそうです。

素泊まりだと500金前後だということで、私が受け取ったのはそこそこ大金だったと判明。

アルコール消毒のミニボトルごときでそんなにも受け取っていたのかと思うと、

自分が転売ヤー詐欺師のようで申し訳ない気持ちが込み上げてきました。

ただ、パラレルワールドマニアはもっと高額でやり取りしているとも聞きました。

話は逸れましたが、いったん町へ戻り、とりあえず素泊まりの宿を探すことに。

彼が通訳をして宿のフロントと話をしてくれるとのことで、何とも心強い話でした。

幸い観光都市で宿泊施設自体は多いらしく、あとはグレードを選ぶ感じなのだとか。

私の希望としては安心して眠れたらそれで良いので、

カプセルホテルでも激狭部屋でもかまいません。

そういうことで導かれるままに暗くなった市街地へと向かいました。

 

 

 

 

夜になると、これまた通りは提灯の赤や黄色が映えていました。

泊まることになったビジネス旅館(?)の窓からは、

通りのイルミネーションも見えて実に素晴らしい眺めが見えます。

ところで旅館のフロントでの手続きをしてもらい、

チェックアウト時には呼び出しベルを鳴らして部屋の鍵を返すように言われました。

そこは言葉が通じなくてもできるから一人でやれとのことでした。

少し緊張しますが、彼は明日迎えに来て良いところに連れて行ってくれると言うので、

私は明日に備えて早めに寝ることにしました。

とは言え異世界なので、気持ちが落ち着くはずもなく、なかなか眠れない一夜だったのです。

 

さて、添乗員のようになっているこの男性というのは、

先ほど行っていた博物館のアルバイトだそうです。

私が元いた世界に行ったことがあるという話をしましたが、

バイト先の博物館にパラレルワールドで手に入れたものを売って一儲けしようとしたのだとか。

ところが何も持ち帰ることができず、この世界に戻った時には、

飛ばされる直前の状態から全てが再開したそうです。

どれほどの期間飛ばされていたのかは聞いていません。

英語の筆談だけは少しだけ通じたらしく、そこから独学で日本語を学んだということです。

この異世界と私が元いた世界とは英語のスペルだけがやや共通ですが、

発音がまるっきり違うということで、筆談以外は難しいだろうと言っていました。

この国は中国大陸に位置するものの漢字を廃止したのか、

現在では崩した文字だけを使用しているのだそうです。

崩し始めた時代が早かったらしく、もはやほとんど原型を留めていません。

現代人は私が元いた世界の漢字を全く読めないらしく、

むしろほぼ原形のまま何千年も残っていることに驚いたと言っていました。

ちなみに私が飛ばされたのはここの国の首都の一つとのことです。

ここの国名は「ダク゚」首都は「ディアク゚・アン」と「ラッ・イァク゚」だそうですが、

正確な発音はカタカナでは表現しきれないので話半分にご覧くださいませ。

辿ってきた歴史もまるで違うのだろうと想像ができます。

 

そして次の日の朝。

私は部屋をチェックアウト、鍵を返却し、添乗員が迎えに来るのを待っていました。

チェックアウトを済ませてから10分後くらい経って、彼は旅館の前に姿を見せました。

駅前の大きなバス乗り場に行くとのことで、私は導かれるままに付いて行きます。

バス乗り場までの道中、彼は「元の世界に戻りたいか?」と訊いてきました。

私が戻りたいと言うと彼は「そうか。」とだけ言って、それからこの話は続きませんでした。

もしかしたら私が帰りたくないというものと期待していたのかもしれません。

しかし私は自分で言うのもあれですが正直者なので、はっきりと本音を言ってしまいました。

ただ、元の世界に帰る方法がまるで思い付きません。

諦めてこの異世界に根を張るか、異世界版日本を目指してみるか――。

異世界とはいえ日本ならば何とかやっていけるかもしれません。

まあ、どれほど言葉が通じるかはわかりませんが。

歩んできた歴史も全く違うようなので、私が知らない国や町が多くありそうです。

 

 

 

バス乗り場にあった映画のポスターです。

歴史の話のついでに撮っておいたものを貼りました。

何と書いてあるのか全く検討も付きませんが。

ここで少しだけ、私が教えてもらった歴史の一部を軽く三行でご紹介します。

・大昔、とある暴君が皇帝になって、悪逆非道の限りを尽くす。

・その孫の代になって「これではいかん。」ということで善政に切り替える。

・孫皇帝が他国の侵略を防いで民を守り切り、英雄として後世まで名を語り継がれる。

みたいなことがあったらしいです。

それを題材にした映画かどうかは不明ですが、ぜひ観てみたいものです。

 

そうこうしている間にバスが到着し、私たちは都郊外にある観光地へと向かうことに。

観光地でありながら、神聖な場所でもあるそうです。

マナーが悪いと天罰を受けるなどと言われました。

ただ、私が元いた世界では見られないであろう、すごいところなのだそうな。

どんな場所なのかとても楽しみになってきました。

 

 

標高1000mを越えそうな山奥の道路をバスに乗ってひたすら進むこと1時間以上。

辿り着いた先に、カラフルで巨大な塔が見えてきました。

見た限りの予想だと建物の高さは100mを越えていると思われます。

なかなか強烈なインパクトの塔だったわけですが、こちらは目的地ではないとのこと。

運転手と乗客がここで一休みするための道の駅的な施設なのだとか。

私の知る道の駅とはまるで違い、建設にかかったコストも膨大だと想像できます。

お土産の食べ物やおもちゃが置いてあったり、トイレがあったりなどなど――。

そういう次第で、私たちはいったんここで休憩を取ることになりました。

 

 

 

かわいらしい人形のおもちゃが印象的だったので撮ってみました。

手作り感満載なところがこれまた味を出していますね。

添乗員(のようになっている男性)から聞いた話だと、この山は神聖な土地であり、

実際に高徳な仙人たちが住んでいて、たまに人里に降りて来るのだそうです。

そういった伝説をモチーフにしたおもちゃなのかもしれません。

ただ、標高1000mにも達するような広大な山の中であり、

確かに仙人や山の怪が出てきそうな雰囲気ではありました。

広大な山々を越えた先には万里の長城があり、そこが事実上の国境線になっているらしいです。

実際の呼び方は違いましたが、この異世界にも万里の長城があることに驚きです。

先ほどお話しした孫皇帝が他国の侵略を阻止したという伝説の舞台が、

まさにこの異世界にそびえる万里の長城だそうです。

こういう話を聞くと、ぜひとも見ておきたい気持ちが込み上げてきます。

 

 

 

 

目的地である仙境に到着しました。

緑の中に映える東屋や赤い松などの木々がこれまた圧巻です。

おとぎ話でも見られないような光景に、本当に異世界にいることを実感させられます。

仙人が現れるという話も単なる都市伝説ではなさそうな雰囲気です。

ただ、観光地化されてから、建物などは特にカラフルになったらしいです。

仙人は俗世との接触を避けたがるという勝手なイメージですが、

この異世界ではまた違うのでしょうか?

 

 

 

さらに奥へと進んだ先に、美しい滝や高くそびえる山々の景色がありました。

あの岩山の頂上には本当に仙人が住んでいるのかもしれません。

ここまで来たらどうにかして仙人に会ってみたいところです。

私のような下界の人間が仙人に会えたとなれば、一生自慢できるような気がします。

そんな話にどれほどの需要があるかはわかりませんが。

 

と、その時でした。添乗員が驚いたような大声で私を呼び、服を引っ張るのです。

いきなり何やねんと思って、彼が指さす少し離れた庭園に目を向けます。

すると驚いたことに先ほどまで青葉しか繁っていなかった木が、

なぜか一瞬で花が満開に咲いているではありませんか。

 

 

先ほど通った時はただの植木だと思っていたので撮っていませんでした。

なので比較ができないところではありますが、確かに満開となっています。

どうやら仙人が術を使ったのではないかとのこと。

そんな無茶苦茶な話があるのかと思いつつ、元いた世界と常識が同じとは限りません。

魔法の世界みたいなことが当たり前なのかもしれません。

もしかすると赤色の松なども仙術で色替えしたものなのでしょうか?

とも思えてしまうような話ばかりです。

実はそういうアトラクションでしたというオチの可能性もありますが。

ただ、この後私に説明の付かないようなことが起きてしまいます。

 

私たちは他にも先ほど通った時と色が違う木々などを探しました。

が、桜や梅、桃の花が突然開いたような様子は見付かりません。

池の水面にいないはずの人影があってすぐに消えたくらいで、

他はこれと言って変わったところはありません。

それだけでも十分ホラーな話ですが、添乗員曰く「幽霊ではなく仙人だ。」とのことでした。

先ほどと変わった光景を求めて歩いている間に、私たちは少し山に入り込んだようです。

突然のことでした。着物(?)を着た人間が、森林の中で宙に浮いているのを見ました。

急に現れたので、さすがに驚いた私たちは一緒にその場から走って逃げ出しました。

添乗員は仙人だと言っていた割にはかなり怖がっていたように思います。

私たちはできるだけ来た道を戻ろうと走っていたのですが、

まるで狐に化かされたかのようでなかなか元の庭園には辿り着けません。

森林の中を走っていると、前方に立つ木の背後から、今度は長い白髭を蓄えた、

いかにも仙人らしい姿の老人が突如として姿を現しました。

さらに逃げ出そうとしたところで、思いがけないことが起こります。

その老人は、私が元いた世界の日本語で「待て。」と確かに言ったのです。

私は思わず言われた通りに立ち止まって、老人の方に目をやりました。

これには添乗員も驚いていたようで、私と同様に立ち止まって振り返っていました。

思い切って老人に問いかけてみることにしました。

私「お爺さん、俺らの言葉がわかるんですか?」

老人は得意げな表情で「わかる。」と答えました。彼はそのまま続けます。

老人「わしは1000歳を超えとる。そこもとがいた世界でいうところの仙人じゃ。国を越え時代を越え、世界線を越えてあらゆる物事を知っとる。」

私は何とも言えない畏怖の念と歓喜が混ざったような気持ちになりました。

まさか本当に仙人と会えたという話は、まさに前代未聞かと思います。

仙人に会った証拠を残したい――などと考えていると彼は続けます。

老人「そこもとはこの仙境を穢した。よって神罰を受けねばならん。」

何を言われているのかさっぱりわかりませんでした。

神罰を受けるほどの悪事は一切記憶にございません。思わず言い返してしまいました。

私「何もやってへんわ。ポイ捨てもながらスマホもしてへんし。」

老人「そこもとは妙な臭いの霧を口から吐き出しておったぞ。わしは十六里向こうから見ておった上に、妙な臭いも届いておったわ。」

それを聞いてまず思い出したのが煙草です。

この日に吸ったのは朝食後とあのカラフルな道の駅的な場所に立ち寄った時だけです。

ちなみに書くのが遅くなりましたが、この世界にも煙草は流通しており、

旅館や道の駅的な場所にも喫煙所はありました。

私が吸っているのは加熱式タバコなので、

まあ確かに知らない人には妙な臭いに感じられるかもしれません。

添乗員は話の流れに付いていけないのか、黙って私と老人を交互に見ています。

私「もしかして煙草の煙のこと?」

老人「否、あれはわしの知る煙草ではない。見せよ。」

私は言われるままに加熱式タバコの本体とカートリッジを出しました。

彼は加熱式タバコの本体を見るなり「こんなものは知らん。」と言い放ちました。

私「世界線を越えて何でも知っとる言うたやないけ。」

老人「何でもとは言っとらん。あらゆる物事と言ったのじゃ。」

私「これ加熱式タバコっていいます。俺は五年前からこれ使うてます。」

老人「わしが最後に行ったのは十年以上前じゃ。その頃にはなかったんじゃろうな。」

私「なるほど納得。最後が十年前ってずいぶんご無沙汰やないですか。」

老人「世界線はいくつもある。そこもとの住む世界にばっかり行っておれんわ。」

私「ってか加熱式タバコそんなに臭かったですか?」

老人「初めて嗅いだ臭いじゃったからそう思ったのかもしれん。」

私「以後気を付けます。」

老人「うむ、では神罰を与えよう。」

私「何でえな。謝ったやろ。」

老人「気を付けると言っただけで謝ってなどおらん。」

私「はい、すいません。」

老人「ほう、もう吸わんのか? まあ良い、言い残すことはないか?」

私「ってことは俺タヒぬ?」

老人「うむ。だがタヒなん。現世から追放する。」

私「要するにタヒぬってことちゃうの?」

老人「違う。追放じゃ。」

私「なるほどわからん。」

老人「そこの友人に別れを告げよ。」

しかし、そんなことを急に言われて受け入れられるはずもなく、

隣にいる添乗員に何をどう伝えれば良いのか思い付きません。

とりあえずは老人から言われたことをそのまま伝えてみました。

すると添乗員は寂しそうに「せっかく会えたのにな……。」といったことを話しました。

付け加えて彼は「タヒぬわけじゃない。」「元の世界に戻されるんだよ。」

添乗員の話を聞いた私は、老人の言い方がいかにえげつないのかと感じました。

と同時に、人を異世界に飛ばすほど仙人の力はすさまじいのかとも思いました。

私は添乗員に「短い間だったけど、ありがとう。」とお礼を言って、覚悟を決めました。

老人「では、二人とも目を閉じるがよい。まぶしさで目を傷めてしまうでな。」

私は言われるままに目を閉じようと思ったのですが、

一つだけやり残したことを思い出して老人に問います。

私「爺さん、仙人に会ったって証拠残したいんですけど、写真撮って良いですか?」

老人「嫌じゃ。」

私「お願いします。ブログに載せるだけですんで。」

老人「ブログ? 何じゃそれ。」

私「ネット上の日記かな。俺ブログやってるんですよ。TOSHI's diaryっていう。」

老人「こんなお爺を載せて何が楽しいのやら。」

私「顔にはちゃんとモザイクかけます。」

老人「わしの長い髭が映るわい。髭で特定されて家に悪戯されるのではないのか?」

私「ご迷惑はかけませんので。そもそも異世界の人間なんで特定されることもないはず。」

老人「それよりも骨と皮だけの姿を撮られるのはのう……。若い頃は男前じゃったが。」

私「髭剃るか、どっちみち顔は隠すんで――。」

老人「ほう……。良いことを思い付いたぞ。これなら顔でも何でも好きに撮ってかまわん。」

老人はそう言った次の瞬間、ふわっと桃色のオーラを放ったかと思うと、

驚いたことに全く別人の若い女性の姿に変化してしまいます。

添乗員も驚いた様子で「ワォ。」と声に出していました。

 

 

私「ホントにさっきの爺さん?」

老人「こんなことは朝飯前じゃ。撮るなら早う撮れ。こういう姿勢で良いのか?」

私「はい、感謝します。」

老人「ブログでも雑誌でも好きなところに載せるが良い。」

私が老人(彼女と呼ぶべき?)を撮っていると、添乗員も物珍しそうに写真を撮っていました。

自称1000歳を越えたお爺さんが少女に化けるというのは、

よくよく考えてみれば恐ろしい話ではあります。

この術を使えば年齢詐称をし放題ではないですか。

仙術を悪用していないことを願います。

老人「気は済んだか?」

私「済みました。」

老人「よし。ではこの世とおさらばじゃな。」

私「だから言い方……。」

老人「いろいろ言うたが、この世界はそこもとには合わぬのじゃ。」

私「良い人が多そうでしたよ?」

老人「そういう問題ではない。話せば長くなるからここまでじゃ。元の世界に帰れ。」

私「わかりましたよ。」

改めて添乗員と老人にお礼と別れを告げました。

添乗員の彼と握手を交わした時、これまでの短い思い出を振り返って泣きそうになりました。

そして老人は少女の姿のまま、何やら仙術を使い始めます。

やがてとてつもないまばゆさに包まれ、強く目を閉じたと同時に、

徐々に眠りに就くかのような錯覚に見舞われたのです。

 

ハッと目が覚めて気が付くと、電車内で移動中の状態に――

異世界へ飛ぶ直前の状態に戻っていました。

ここでまず初めに確認したのが財布の中身でした。

異世界で手に入れたお金がなくなっており、元々持っていたこの世界のお金しかありません。

実はこの一瞬の間に、長い夢を見ていただけというオチだったのかもしれません。

次に確認したのはカメラ内のフォルダでした。

それを確認した途端に、私は驚いて飛び上がりそうになりました。

異世界で撮った写真が全て残っていたのです。

夢だったとして、なぜ写真だけが残っているのでしょうか。

つまり夢ではなく、私は実際に異世界へ飛んでいたのかもしれません。

何はともあれ撮れ高さえ残っていれば、当ブログに載せることができます。

こうして掲載したのが異世界で撮った写真になります。

しかし、もし仮に写真が残っていなくても、異世界で過ごした日々を私は忘れないでしょう。

〈了〉 

 

 

ここで読者の皆さまに重要なお知らせがあります。

ごめんなさい全部嘘でしたm(__)m

エイプリルフールは嘘を吐いても良いということで、

この日のために半年くらい前からシナリオを考えて、ちまちまと画像を生成させていました。

つまり、AIによる画像生成ですね。

まあタイトルでネタバレしていたにはしていましたが。

Stable Diffusion Online (stablediffusionweb.com)

こちらのサイトにて生成した画像になります。

ただ、半年ほど前は旧バージョンだったのか、今より画質が少し粗目ですね。

なので一見すると写真に見えても、じっくり見ていると違和感があるかと思います。

それと現在はロゴが入るようなのですが、半年前にはありませんでした。

画像生成はプロンプトというワードを英語で入力して生成させていきます。

例えば最後に掲載した仙人の画像は「Chinese fairy in the forest, photograph」

といった具合に入力して、作ってもらう感じですね。

ストーリーに合わせてこれだけの画像を揃えるのに、かなり時間がかかりました。

まあ現在は精度が上がって、生成時間が短くなっている点もあり、

もしかしたら気が向いて新しい話を考えるかもしれません。

惹き込まれるような物語を考えられるようになれたら良いなという思いで、

遊び半分で作ってしまいました。

 

ということで今回は以上になります。

長い話でしたが、最後までお読みくださりありがとうございました。

ではでは皆さんまたお会いしましょう。