■実運用からの事実
D-Star(GMSK)⇔デジ簡(4値FSK)比較
・デジ簡の方がモービルで粘る印象
→断続しながらもデジ簡は何とか復調できる
S/Nが回復してからビット列が取れるまでのラグが短い?
D-Starは断続の「断」が長い印象
D-Star(GMSK)⇔LCR(4値FSK)比較
・LCRの頭切れが短い印象
→信号強度が強くともD-Starは1秒前後頭切れする場合あり
・D-Starの復調復帰までの待ちが長い印象
→アンテナをわざと振ったり倒したりすると1秒以上途切れる
→というか、LCRが驚異的に早い
■下衆の勘繰り
GMSKは帯域のナロー化を符号間干渉より優先する考え方で、
そもそも移動体通信としては4値FSKより不利?
(符号間干渉とマルチパスの合わせ技とかでメタくそになる?)
静的な運用でのビットレートと帯域で言えばメリットあるものの、
マルチパスやQSBが不連続に起こる実環境においては、
結局実効レートが下がって4値FSK同等未満になる?
正しくは2G携帯電話同様の帯域幅を使う事で符号間干渉を抑制、
と言うよりTDMさせて帯域をシェアさせつつ帯域自体を広げるのが
本来のGMSKの使い方なんじゃないか?
GMSKは原理上どうしても位相の同期を取るのが必要なはずで、
単純なディスクリで済むはずの4値FSKと比較すると、
S/Nが一旦低下して同期が外れてから復帰までのラグと、
その上の層のフレーム同期のラグ、コーデックの復号再開のラグ、
と3つのラグがあるはず。
面白いことに、
https://www.icom.co.jp/beacon/backnumber/technical/ama_dig/content.html
によるとD-Starの検討段階において4値FSKを詳細に検討した
感じがせず、もしかしたら当時でも枯れていた4値FSKよりも、
比較的新しく2G携帯にも使われたGMSKの方がいいはずだ、
みたいな先入観もあったんじゃないのかなあ。
そもそもD-Starのキーワードに「次世代」的なのがあったろうし、
そういう意味では納得できなくもないけれども、
結局使ってナンボなのが無線な気がしていて、微妙です。
D-Starは日本ではほとんどGW接続レピータによるラグチュー、
モービル間の場合切れやすくなるので敬遠気味という、
なんともナローな使われ方しかされていない。
■知りたいやりたい
という下衆の勘繰りを確信に変えるべく、
「C4FMのモービル運用ってどんな感じなんだ?」
というのを知りたいです。
が、相手局が絶望的に少なそうなのが難点。
■TOKUDER
印象的なLCRの「復帰の早さ」。
これってもしかして、「TOKUDER」の効果なのか?
音声的にはAMBE+2よりも更に低レートな感じですが…。
個人的にこの「復帰の早さ」は、D-Starの移動体通信としての
ネガ部分をICOM自らが再チャレンジして潰してきた、
と思っています。
■それにしても…
D-Star、帯に短しタスキに長しだなぁ…。
D-Starが4値FSKだったらどうだったんだろうなぁ…。
でも、きっと画像も送りたかったんだよなぁ…。
正しくは、「移動体通信寄りの低レート次世代通信」と、
「固定局寄りの高レート次世代通信」を分けるべきだったんだろう。
もちろん、両方カバーするリグは高くなるでしょうが。
ただこれを、ICOM(と一応KENWOOD)だけじゃなくて、
Yaesuにも積んでもらえたら…、なんて。
GMSKなのか4値FSKなのかの違いなど、OSI階層モデルで言えば
物理層程度なのだから、IPとの絡みは共用できたと思うし。
というか、それってC4FMによるWires-Xという話なんでしょうが。
■アマチュアの悩み
デジタルの場合、電話だとしても変調方式とコーデックという、
2つの要素が合致しないと通信が成立しないわけで、
決まり切った2局間の定時連絡ならいざ知らず、
不特定多数とやる場合はこれが本当に重い足かせに…
自作の難易度とそこら辺の面倒くささもあって、
いつまでたっても電話はアナログがメイン、なんでしょうね。
色々考えてみてもD-Starの現実的なチャレンジとしては、
いかに困難な状況であってもQSOが成立させられるか、
ということで、QRPpだったりモービル運用だったり、
というのが現実的な線か?
もちろん、シンプレックスでのQSOそのものが高難易度、
ですが…。
■これからどうするのか
アマチュアの場合、リグが自作可能であることは必須だと思われ、
それにはそもそも「個人レベルで作れる」「部品が買える」
技術が必要条件だと思われます。
「作れる」は「参考書を読めばシステム構築できる」でもあるはず、
なのでD-StarのAMBE+2のようなブラックボックスは、
本来であれば避けるべきだったと思います。
最近時はArduinoやらラズパイやら、ビット列を処理するのが
大分簡単になってきていて、
アマチュアレベルで「これだね!」となるコーデックさえ決まれば、
ある程度自由にデジタル電話無線機が自作できるのでは。
(要はコーデックとプロトコルをある程度固定して自作を楽しむ)
そっち方向の動きに敏感でありたいし、
自らもムーブメントを起こさないといけないな、
と思うのでした。
(何かやることが決まったわけではないですが…)