原発 小さな疑問 その1 自然放射線




原発の問題を考えるときに、小さな疑問が残っていて、それが気になって理解を妨げているものがある。そのようなものを簡単に取上げてみたい。 

今回は「自然放射線」である。 

自然放射線についての多くの人の疑問は、 

1) 自然放射線は1年間に2.4ミリシーベルトと官房長官が言ったのに、なぜ1年間に1ミリシーベルトが問題になるのか、 

2) 東京等の測定値を見ると比較的低いのに、自然放射線だけで1時間あたりで0.3ミリシーベルトもあるので、福島原発からあまり放射線が来ていないのではないか? 

という疑問である。 

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政府(官房長官)は4つ、普通の人なら錯覚するような表現をした。だから真面目な人は計算が合わないし、わかりにくい。 

1) 2.4ミリシーベルトというのは、世界の平均で、日本は1.4ミリシーベルトである。 日本の他の放射線量と比較する時には、1.4ミリシーベルトを使わなければならない、 

2) おまけに、1.4ミリシーベルトの3分の2は「内部被曝」である、 

3) それなのに、普通に発表されている数値は「外部被曝」(推定)である。 

4) 関東は関東ローム層があって外部放射線が低く、関西は花崗岩が多いので、若干高めである。 

4重に微妙に表現が適切ではないので、真面目な人が計算するとどうも合わないということになる。また発表される数値が外部なのか、外部と内部を足したものかも明言しない。私が公表されている測定方法を見るとどうやら外部だけらしい。 

つまり、日本人があびる自然放射線の内、外部からは関東で0.02程度で、後は食材や水、ラドンという元素からの内部被曝である.

だから、比較するときには、自然放射線(1時間あたりでは0.02マイクロシーベルト)と、発表される数値(東京の0.092マイクロシーベルト)が同質の数字である.

そうすると、引き算して0.072マイクロシーベルトが福島原発から東京まで来た放射線ということになる。 

ところが、今回の場合、内部被曝(たとえば、マスクをつけてなかったので、空気中の放射性物質を吸い込んだ)がハッキリしていない。普通の自然放射線と同じように、外部が3分の1、内部が3分の2とすると、およそ3倍の1時間で0.2マイクルシーベルトぐらいになる。  

それに水と食材を加えると、さらに0.14ぐらいを足すから、余計にあびている放射線は1時間に0.34となり、1年間では約3ミリシーベルトになる。 

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一応、自然放射線の内容を示したが、現在ではあまりにデータが少なく、このように正確に計算しようとするとむしろ混乱する.

そこで、このブログでは「発表値×4」で自分が被曝する量を計算しておくのが良いのではないかと考えている(私の4には、水の放射線が少なくなれば、その代わりに魚が入ってきたりするので、当面は4が良いと判断している).

(平成2344日 午後9時 執筆) 

























武田邦彦