
本船のメンテナンスのため、
潜水士として現場へ出動です。
今回の任務は、船の海水吸入部である
「シーチェスト(Sea Chest)」の清掃・点検に伴う
【止水(プラグ)作業】です。
💡 シーチェストってなに?
船に乗らない方にはあまり聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、一言でいうと「船底にある、海水のまとめ吸入箱(ポケット)」です。
船のエンジンや発電機などを冷やすためには、大量の海水が必要です。しかし、船底にバラバラと何本も吸入パイプが飛び出していると抵抗になりますし、メンテナンスも大変になります。
そこで、船底に一度「大きな海水の部屋(シーチェスト)」を設け、そこから各機器へ配管を分岐させています。
⚠️ なぜ潜船して「止水」するのか?
今回の目的は、そのシーチェストから繋がる「船内配管」の内部点検。
当然ですが、そのまま配管を外すと船内に勢いよく海水が流れ込んで沈没してしまいます。
そこで我々潜水士の出番です! 海に潜り、船底の外側からシーチェストの吸入口を完全にシャットアウト(止水)します。
ちなみに今回の本船で使用したのは、5インチ(約12.5cm)のテーパー状(先細り)の木栓(ウッドプラグ)。
船底の吸入口のサイズに合わせて、現場にはいつも何種類もの止水プラグを用意して挑みます。これを水中でピタッと叩き込み、海水の圧力も利用しながら完全に密着させることで、船内の機関士さんたちが安心して配管を分解できるわけです。
💥 配管を開けてビックリ!驚愕の内部
無事に止水を完了し、船内で配管のフランジを外した結果がこちらです。
配管の奥から出てきたのは、大量のムラサキイガイやフジツボの群れ!
海水と一緒に吸い込まれた小さな幼生が、配管の内部でぬくぬくと育ち、
ここまで巨大な「壁」になって通路を塞いでいたのです。
これだけの量が詰まっていると、冷却水の流量がガタ落ちし、
最悪の場合は航行中にエンジンがオーバーヒートを起こしてしまう危険性があります。
まさに、船の動脈硬化。 綺麗に掻き出して、本来のクリアな水路を取り戻しました。
安全航行を水面下から支える
普段、船が何事もなく海を走っている裏には、こうした定期的な点検と、それに応える職人たちの技術があります。
外からは見えない船底の、さらにその奥の詰まりを解消し、本船がまた安全に出航する準備ができました。
