川端康成「雪国」(2022:新装版)と「山の音」(2022:新装版) | 北条得宗家の鎌倉めぐり

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養老孟司教授の著書に書かれている医療や歴史の他に鎌倉散策の様子などを中心に紹介

 

鎌倉散策をしていてハッと思い出した。先日、甘縄神明宮に行ったのがキッカケだ。評論文なら内容を書き連ねることは出来るのだが、それより小説を説明しろというのは非常に難しい。従って皆さんの大好きな日記のような書き方になってしまう。私にとっての日記というのは「小学生が夏休みに提出するヤツだろ?」としか思っておらず、やはり大人になっても成熟できないか、あるいは成熟拒否と言ってハナから大人になる気はないという人が少なくないのだろう。特に戦後生まれ世代に顕著なことは確かだ。

 

まず手に取ったのがノーベル賞受賞作の「雪国」と甘縄神明宮に関係のある「山の音」だ。ノーベル賞受賞作は後になって読んだ記憶がある。冒頭「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」というのは三国峠とされているが、ここ実は鎌倉から北鎌倉に向かう横須賀線の中で、寒い冬になると亀ヶ谷トンネルを抜けたあたりで雪がチラチラ舞うそうなのだ。確かに温暖化が顕著な今はそうでもないが、実際に箱根駅伝の中継を観ていると戸塚中継所あたりで雪が降ることは度々あった。つまり川端康成は三国峠には行っていないという。この想像力と創造性が作家ならではの巧妙さなのだ。後ろを見ると令和四年度第二刷となっていた。発売日に買った訳ではないからね。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022)から、ようやくひと段落したといったところだろう。

 

 

例えば新潮文庫なら何度も表紙を差し替えているハズ。小学生だか中学生だかで何度も読んだのは「伊豆の踊子」だ。新装版があった話をしたら先日、私と同じで捻くれた母親が映画まで観に行ったことがあると口にした。その時は主人公が三浦友和で踊子が山口百恵だと言っていた。こういう映画や音楽などは世代がすぐに分かってしまうモノだが、当時はかなり流行ったという。内容よりも配役で話題になるのはほとんど変わらない。若い人のことを口にする戦後世代は、では自分の時はどうだったか?がまったくスッポリ抜けている。有名人というと一人にワッと押し寄せた挙句に周りが見えなくなるのは今も昔も、オウム真理教が社会問題になった時も、統一教会が話題になっている今も、ほとんど変わっていない。そう養老孟司教授が述べている。まさに宗教的。

 

現在の妄想世界はインターネット教に取って代わるのだが、そこには恋や愛や悲しみや憎しみと言ったモノは感じられない。だから私は川端康成なら読めるのだろう。そう思う。日本人であれば儚い終わり方というのも好まれる。読み返すと改めて納得した。

 

【ニューソース】

浄土宗・長谷寺 公式サイト

浄土宗・高徳院 公式サイト

江ノ島電鉄・株式会社 公式サイト