山本義隆「近代日本150年 -科学技術総力戦体制の破綻-」(2018) | 北条得宗家の鎌倉めぐり

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山本先生、どうもお久しぶりです!…と言っても、ご本人は覚えていらっしゃるわけありませんね。普段は河合塾に行きながら、夏期講習や冬期講習の空いた日に駿台予備学校や代々木ゼミナールの授業を入れるという手法で、受験は乗り切りました。予備校は特に出席を取ることもないから顔と名前は一致しないし、授業も大学みたいに淡々と進むだけで、自主性が重んじられます。私は物理受験をしてはいませんでしたが、中学3年の時に社会(公民)の授業の一環として…ある1本のビデオを見せられたんですね。それが東大全共闘による大学紛争でした。

 

 

それが山本先生との最初の出会い(?)だったと思います。だから私が一方的に脳裏に焼き付けられているだけあって、ただ単にサインを貰いに行ったぐらいでした。今でも実家に飾ってあるぐらいですね。とてもとても大切な思い出です。私も体がウズウズしてきたら、ゲバ棒を持って来て暴れたいぐらいですよ(笑)。山本義隆先生、再び何らかの運動をするなら援護射撃しますね。ただし、お互いに体が満足に動いたら、の話ですが(笑)!もうお互いに普段の生活からして、老体に鞭打って動こうにも…以前よりは明らかに動かなくなりましたね。青春時代最高。

 

それで本の内容ですが、科学技術に特化して、日本の150年の歩みを振り返るものです。1868(明治元)年から2018年で150年ということですね。さすが岩波新書だけにお堅い部分があり、硬質な文章なので、読むのに結構、苦労する人もいるかもしれません。ただその分だけ読みごたえもあるということです。こんな話はあまり聞いたことがないでしょう。原子爆弾の作り方。実はウラン235(濃縮ウラン)から核融合を起こして抽出される中性子をウラン238に吸収させたら、プルトニウム239原子核が出来上がる。これが電気でも使われている元の材料ですが、本にある通り、インドのような貧乏国レベル(失礼!)でも、原子炉からこれを作り上げました。問題はドイツやイタリアや台湾がゆくゆく原子力発電所を解体させて、自然エネルギーの活用を表明しているのに対し、日本はいまだ、原発にこだわっていることこそ、問題があるわけですね。

 

元を辿れば明治期に群馬県にある富岡製糸場にてフランスから最新式の機材を取り寄せ、世界最高峰の製糸場を完成させました。日本はその後も福沢諭吉の「脱亜入欧」を合図に、日清戦争を仕掛けて賠償金で福岡県北九州市に八幡製鉄所を作りました。続けて昭和初めごろには三菱重工業や川崎重工業など、工業化がますます顕著になっていきました。陸軍大将が東条英機。海軍大将が山本五十六。そこに岸信介が割って入るという構図になっていくわけです。ここが原点でもあるのです。彼ら実は、東京府東京市を解体し、東京都を作った張本人。

 

実は日本もドイツも原子爆弾製造の計画はありました。結局ユダヤ系だとしてドイツにいるより安全なアメリカに移住してきたアインシュタインが、政府に騙されて原子爆弾のメカニズムを解明することとなったわけです。当時、日本もドイツも、今現在の人たちのように「日本人は親切だ!」といちいち口で言うことはなく、実際にはアメリカ人を皆殺しにすることも画策していたぐらいの事実はあったわけで、だからこそ、中国でも、ますます危険視されていました。その頃、中国には満州国という政府のない未承認国があって、宣統帝・溥儀を初代皇帝とする関東軍によるロボット国家も存在しています。長春から大連まで鉄道を敷いたり、朝鮮半島や台湾で便利にしたこともたくさんあるのですが、これにはさすがにやりすぎだと非難の声が世界中で上がっていました。それでも戦争をやめられなかったのは岸信介による核武装構想がありました。 

 

ドイツやイタリアや台湾などは将来、核武装構想を永遠に葬り去ることを表明しましたが、日本でやめられない理由。それはあくまで「嘘つき&戦争大好き安倍晋三」が絡んでいるからでしょう。かつて「もんじゅ」という原発がありましたが…ナトリウム漏洩事故を起こし停止しました。

 

2010年に再び稼働させましたが、再び火災が発生して永遠にお陀仏という状況に。1兆700億円~1兆800億円は22年間存在した「もんじゅ」の歴史の中で、わずか250日の稼働という実態を残して、ご愁傷様となってしまいました。しかし、先述の戦争大好き&嘘つき安倍晋三は岸信介のマネをして、核戦争を起こそうとたくらんでいます。もともと岸信介はソヴィエト連邦との核戦争を想定したことが1960年代にあって、それで当時の日本の予算と技術力を結集した結果「わが国の方が被害が大きく…」という専門家の意見でやめることになった(当たり前だ!)。

 

この辺は大変分かりやすかった。さすが物理の先生ですね(笑)。他には茨城県東海村の原発事故が97年にあったし、元を辿ればソヴィエト連邦のウクライナ・チェルノブイリにおいて発生したチェルノブイリ原発事故も1986年に発生しており、本来、左派系の思想であれば、農業や工業重視なのですが、アメリカ合衆国との行き過ぎた超大国による宇宙開発競争によっても、かなりの負債を抱えてソヴィエト連邦は、崩壊。

 

アメリカ合衆国は双子の赤字を抱えることとなったわけです。それでも民主主義が勝ったのは、実は大間違いだったというのが目に見えていて、そこからアメリカやイギリスを中心とした新自由主義に転換するわけですが、90年代のイギリスでは、浮浪者が溢れかえる結果になった。

 

江戸末期から明治初期において「欧米に追い付け追い越せ!」とばかりにイギリスを筆頭として競争することが、いつの間にか150年後には福島第一原発の後始末になっていたのです。ドイツもイギリスと欧州の盟主を争っていたし、日本も中国とアジアの盟主を争うことが、いつの間にかアメリカ軍やイギリス軍やオランダ軍によって木端微塵に撃墜される状況に。これもまた第一次世界大戦から終われなくなった理由があるのですが、みなさんは「アメリカ・イギリス・日本・フランス・イタリア=5:5:3:1.67:1.67」という公式を見たことがあるでしょうか。これは第一次世界大戦の戦勝国による戦艦の割合ですね。これ以上、作ってはいけませんよということですね。でも人間はバカだからやめられない。

 

のちにドイツも加わって第一次世界大戦の約束は見事に破棄されるのですが、それでどんどん行くところまで行き、日本の国家予算における第二次世界大戦当時の割合はなんと85%にまで達していたんですね。今はそこまで行っていないとはいえ、嘘つき安倍晋三が首相になると、再び軍事大国・帝国主義に舵を切り、軍事費が膨れ上がったわけです。これも…左派系の東京新聞や著書などで、私は目にしています。

 

 

東京新聞についてはご存知の通り、菅義偉バカンボウチョウカンによる質問シャットアウト攻撃で、望月衣塑子記者の「国民は知る権利があると思う…」に対して「あなたの質問に答える必要はない!」という、まるでCNNの記者ジェイソン・コスタに対するドナルド・トランプのような子供じみたイヤガラセなど、報道の自由が現在の政府によって奪われ続けているのです。せめて…答える必要は、あってしかるべきでしょうに。

 

 

実は都市化した分だけ、悪いことも起きるのです。工場がどんどん作られれば、大気汚染だ!とか言って、四日市ぜんそくや水俣病など数々の公害問題に悩まされた時期もあったわけです。明治期には女工が結核問題を抱えていて、少なくとも昭和末期から平成初期にかけてツベルクリン反応やBCGなど確かにそういう変な検査をやった記憶があります。思いっ切りブスっと刺す注射ではなく、体の反応を見たり、ハンコみたいなものをポンと押したり、あれって結核予防だったんだ!と今現在になって分かりましたよ。最近…再び結核が流行っていますもんね。

 

自動車が増えれば交通戦争も起きる。実は1970年前後がいちばんルールさえなっていなかった時期なわけですね。だって知らないでしょうが、昔は酒酔い運転で、今のような酒気帯び運転ではなかったのです。ではどう違うか。酒酔い運転は「ちょっとそこ歩いてみて」と警察官に促されたら、千鳥足でも真っ直ぐ歩ければオーケーだったんです。つまり酒飲んで運転してよかった。今現在は酒飲んでも、少しの反応だけで基準値を超えてしまう。これが酒気帯び運転。昔の方が、人間性がよっぽど野蛮で無法地帯だったんです。若い人の悪口を言う連中は、何をもって自己主張しているんでしょうかね。今現在の若い人の方が断然おとなしいに決まっていますよ。悪いのは特にシラケ世代(1950年~1969年生まれ)。なぜなら好き勝手にお金を使った挙句バブル絶頂期まで日本経済をもっていき、勝手に、日本経済を崩壊させたわけです。

 

それこそタバコ吸っている人って、ポイ捨てした経験ありませんかね。あれって「失火罪」という立派な犯罪なんです(軽犯罪法ですが)。タバコのポイ捨てから火事になったり、昆虫がいなくなったり、昔はしょっちゅうだったはずです。ただ軽犯罪法だからと言って、重犯罪法より軽いというわけではないので、被害届が出されていれば警察官だって動くし、そもそも、世の中を舐めてるところさえあるんじゃないですかね。勝手。

 

このように自然観に立ってみれば、人間の愚かな行為が自分で自分の首を絞める状況にもなりかねないのです。物理学が応用物理学として、大学ではおもに量子力学と熱力学に分かれ、ほかに流体力学とか色々あるのですが、何と言っても、この量子力学と熱力学の応用が、暮らしを豊かにし、便利にした分だけ、その代償も計り知れません。良いこともあれば悪いこともある、昼が来れば夜も来る、プラスがあればマイナスもある、北があれば南もある、東があれば西もある、火と水は対象で、風と土が対象で、太陽が昇れば月は沈み、月が昇れば太陽は沈む。当たり前のことなんだけど、当たり前に思っていないのが人間なんですよね。山本義隆先生の言っていることって、養老孟司教授の「あーすればこーなる式」に、かなり近い感じがします。山本義隆先生の初の新書、読めてよかった。2018年は再び思い出の年となったな~。

 

【ニューソース】

岩波書店・岩波新書 公式サイト