今年のとぶくじらの
子どもミュージカルは、
『美女と野獣』。
ワガママ王子は、
女神に魔法をかけられて、
野獣の姿に変えられてしまいます。
この「野獣」という言葉、
日本ではそのように訳されていますが、
フランス語では「Bête」と書き、
「愚か者」という意味もあります。
女神にかけられた魔法で、
王子は着飾っていた姿がとれて
本来の愚かさが出てきたのか、
獣の姿に変えさせられたのか、
はたまた…
それは見る人しだいです。
成長する過程で、
誰もが容姿の変化をとげます。
背が伸び、
大人の体になっていきます。
永遠に子どものままではいられません。
野獣の変化も、
もしかしたら、
成長過程の変化かもしれません。
それを受け入れられない王子は、
ますます心を閉じて、
引きこもってしまいます。
家来たちに怒りをぶつけ、
城の中でだけで暮らし、
人と会わないで暮らします。
そこにベルがやってきます。
好奇心旺盛で美しいベルは、
父を助けに城に赴き、
城に暮らすことになろうと、
城の物がしゃべろうと、
自分がドレス姿におめかしされようと、
それらを受け入れて楽しんでいます。
人には「変わるべき時」
というのがあります。
このコロナ禍で
変わらなきゃダメな場面も、
変わるべき瞬間もたくさんあります。
今までのようにはいかないことも
たくさんあり、
考え方も変えていく時でしょう。
その変わることを恐れず、
素直に受け入れ、
今、できることを楽しんでやる。
だからこそ、
ベルは美しく輝きます。
野獣はやがて、
ベルの姿に心を開き、
自分を受け入れ、
できることをし始めます。
命がけでベルを守り、
そこで魔法はとかれ、
もとの姿に戻ります。
それは実は、
彼の姿が変わったのではなく、
周りの彼を見る目が変わり、
気高く凛々しい王子と
見えるようになったのかもしれません。
変わるべきタイミングに、
自分の魂をはりつけて変われたら、
美しい成長を遂げる物語。
本番では、子どもたちもまた、
成長してグンっと変わっていくんだろうな。
楽しみです。