私がよく行くパン屋さんで、
台風一過の後、
窓が汚れたから掃除しなきゃと、
番頭さんが言って、
窓拭きキットを眺めていました。
たまたま、居合わせた私は、
その窓拭きキットを見て、
昔、バイト先のドーナツ屋さんで
働いていた時のことを思い出しました。
リニュアルオープンして間もない頃、
夜11時くらいに、
友達と遊んだ帰りに、
店の前を通ったら、
当時の副店長が、セッセと
窓を磨いていました。
「おかえり〜」と、
笑顔で声をかけてくれて、
「気をつけて帰れよ」と
気遣ってくれました。
「なんでこんな遅くに
窓拭いてるんですか?」と聞くと、
「だって、窓が綺麗だとお客さんが
気持ちいいだろ?」
「でも、まだ新規オープンして間もないから、
バイトのみんなも忙しいから、
できる人がやればいいんだ」と言って、
嬉しそうに、
窓をピカピカにしていました。
翌朝、バイトに行った私はその窓を見て、
感動しました。
誰かがキレイにしてくれているから、
窓もキレイになるんだな。
よし、私もその誰かの1人になろう!
その日から、
副店長に窓のキレイな拭き方を習い、
朝出が多かった私は、
暇な時間を見つけては、
窓をしょっちゅう拭いたものです。
と、言うわけで、
その窓拭きキットを見て、
窓が無性に拭きたくなって、
やらせてもらうことにしました。
雨の後がなくなり、
景色がよく見える窓に
さわやかな気持ちになり、
窓拭き、好きだなぁと思いました。
そのドーナツ屋さんの
当時の店長さんも立派な方でした。
靴を揃えることは、
心を正すこと。
倉庫整理は、
頭を整理して、
論理的思考をするのに役立つ。
字は読む相手のことを考えて、
キレイに書く努力をする。
店長さんに教えられた教えを、
副店長がみずから実践して見せてくれて、
当時の私たちバイトはその背中を見て、
努力したのを思い出します。
初心、忘るるべからず。
久しぶりに大切なことを
たくさん思い出しました。
今、こどもミュージカルでも、
下駄箱がある会場では、
ちゃんと靴を下駄箱にいれるよう指示したり、
衣装を大事に扱うよう伝えたり、
雑巾掛けで合同レッスンを始めたりも、
私はこの時、学んだことを
次世代に伝えたいと思うからです。
ピカピカになった窓の清々しさに、
大切なことを思い出した一日でした。
また時々、拭かせてもらわねば!