幼稚園フェスティバルが終わった日、
私が指導にかかわった幼稚園から
花束をいただきました。
この花束を見るたび、
また本番の感動がよみがえります。
今日は本番前に泣き出した
かい君(仮名)の話をしましょう。
朝10時集合。
本番は11時半。
それまでは、
客席で他の園の演目を見ます。
朝、緊張の面持ちできたかい君。
みんなに集合の声がかかると、
わんわん泣いているではありませんか!
年中さんの年のわりには、
とってもしっかりしていて、
いつもセリフをリードしてくれる彼。
あまり激しく泣いていたので、
先生方が熱をはかりますが、
なんともありません。
誰かに嫌なことをされたわけでもない。
ミュージカル大好きのかい君は
どうしてしまったのでしょう?!
そう、かい君は本番のプレッシャーに胸がいっぱいで、
自分でもわけがわからなくなって、
泣き出したのです。
小さいこどもは、
まだまだ自分のエネルギーを
コントロールしたり、
配分したりできません。
自分の中であふれたエネルギーが、
いっぱいになると、
時々、こうして泣くことで
ぬいているのです。
私は彼の横で、
背中と胸をほぐしながら、
「泣いてスッキリしようね」と、
あたたかく包みました。
だんだん体の熱がゆるんでくると、
彼は泣き止みました。
後は担任の先生にまかせ、
私は他の子の様子を見てまわります。
数分後、
かい君のところにいくと、
「今日、本番が終わったら、
うどん食べに行くねん!」と
嬉しそうに、いっています。
「天ぷら、三個のせるねん!」
「そっか、じゃあ、大成功して、
四つにしてもらったら?」
「そんなに食べられへんわっ」
「そうか?食べられるかもしらんで。
だって、舞台はお腹すくからな」
さあ、彼はいくつ
天ぷらを食べたかな?
本番の輝きはすばらしかったですから、
きっと、お腹いっぱい食べたでしょう!